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アイデアの価値は倫理観次第で消失する

アイデアは人である。

けっこう前の話になるので、きちんと書き記します。

とはいえ内容が赤裸々すぎますし、かなりデリケートな「パクり」にまつわる問題なので、途中からは一応有料にしておいてロックをかけます。

これは恨み節ではなく、1つのアイデア論として書き残しておきます。

人が生み出すアイデアの価値とは?
アイデアマンの存在意義とは?

避けて通れないことであると同時に、毎度泣き寝入りして目をつぶるわけにもいかない。
アイデアを使う世界なら他のお仕事でも起こりえる話だと思いますので、1つのアイデア論であり仕事論として書くことに決めました。


数年前、あるテレビ局員に呼んでもらい、「番組の企画を考えてもらえませんか?」と言われました。

その局員は若手のほうではありましたが、これまで一度も企画を通せたことがないと悩んでおり、「何かしら企画のアイデアを頂けませんか?」とのことでした。

テレビ局の喫茶にて2人きりで企画会議。
あーでもないこーでもないと企画の種になりそうな話を喋り続ける私。私の喋る言葉をメモり続ける彼。

2つの新企画を生み出し実際に企画書を作成するのは各々が一つずつ担当することに。

その企画のうちの一つは、私が以前から頭の中で考えていたことを企画として提案しました。

それは「居酒屋などで1人呑みしている人って、どんな人たちなんだろう…?どんな心境なんだろう…?」という些細な疑問。

こちらの記事でも書かせていただきましたが、私は店に行って1人呑みをすることに大きなハードルを感じていました。

誰かと数人で飲みに行った際も、カウンターで1人呑みしているおじさんの背中に目が行く機会が多く、少し興味があったのです。

家飲みだってできるのに、1人で飲みに来る感覚ってどんな感じなんやろ…?
もしかすると、何かしら人には言いにくい人生を背負っているのでは…?

何かしらの哀愁を感じ、そんな妄想が勝手に膨らんでいたので、、、
おじさんに限らず店で1人呑みしている人に取材を敢行し、その人の人生を深掘りして話を聞いていく。
もしかすると、1人きりで時間を過ごしている人の背景には思いもよらぬドラマが隠されているかもしれない。

そんな企画はどうかと私は提案したのです。

ディレクターの彼は「なるほどー!いいですねー!」と言い、それ企画書にしましょう!となりました。

テレビ東京で多く見られた「切り口一発系」と私が呼んでいる分野であり、当時のトレンドとも言えます。

その企画書を書くこと自体は簡単です。
店のカウンターで1人呑みしている人に話しかけ取材を申し込んで話を聞く。
「1人きり」という切り口だけがあり、どんどん人間味と人生を深掘りしていくドキュメント。シンプルなので企画書はA4の紙一枚にまとめられます。

だが、それだけでは企画に対する熱意が感じとりにくいので、私はそのディレクターに告げました。

もし、この企画書を書くのなら自分の足で店まで飲みに行って、1人カウンターで飲んでいる人に話を聞いたほうがいい。
そして、話を聞けた人の許可をきちんと取って、企画書に実際聞けた話の内容を盛り込むのはどうだろうか。

自分が足で稼いだリアルな実例が載ることによって、企画書に臨場感が出て熱も加わる。
その要素を企画書に盛り込めば企画が通る可能性を感じると私は彼に伝えました。

彼は「企画書を書くための取材やってみます!」とスイッチが入り企画会議は終了。

それから彼は本当に居酒屋へ飲みに行き、1人で飲んでいる人に話を聞いて、そこで掘り下げた取材内容を企画書の中に盛り込みました。

締め切り直前にその企画書を出したのですが、「最終選考までいったんですけどダメでした」との報告。

ハッキリ言って、企画書などほとんど通りません。
様々な都合もあるので、そこは受け入れざるをえない。
「まあ残念だけど仕方ないね」という言葉と共に終了。 

細かい話ですが、私のギャラはゼロ。
アイデアを捻り出し、企画書を書いても通らなければギャラは1円も発生しないのです。

それから数ヶ月後…

私は腰が抜けるほどのネットニュースを偶然発見したのです。


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