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<ラグビー>スーパラグビートランスタスマン,第4週結果

クルセイダーズ29-21フォース

クルセイダーズとしては,決勝進出のためには,ここで大差の勝利を収めてブルーズとの得失点差を縮めたい。スコット・ロバートソン監督は,チームの主力である,PRジョージ・ボウワー,LOサムエル・ホワイトロック,SOリッチー・モウンガ,WTBセヴ・リースを休養させた。1番PRにはタマイティ・ウィリアムス,SOにはファーガス・バークを先発させる。

19番LOのリザーブには,135キャップを持つ大ベテランのルーク・ロマノを入れた。SHはブリン・ホールを先発させ,ミッチェル・ドルモントをリザーブにした。13番CTBにはブライドン・エンノーが肩の怪我から復帰した。12番CTBデイビット・ハヴィリがバイスキャプテンとしてBKをリードする。リザーブには,17番PRイシレリ・トゥンガファシ,20番FLトム・サンダース,23番BKジョシュ・マッカイを入れた。全体として,Bチームの布陣となっている。

フォースのティム・サンプソン監督は,先発4人を入れ替えた。NO.8オリー・カランはスーパーラグビーのデビューとなる。21番SHのリザーブには,100キャップとなるイアン・プライアーを入れた。HOフェレティ・カイツウが先発に戻り,FBにはロブ・カーニーが脳震盪となったため,ジェイク・ストラッチャンが先発する。元オールブラックスのリチャード・カフィはCTBから11番WTBに移動した。22番SOにはジェイク・マッキンタイヤーが怪我から復帰している。

3分,フォース14番WTBトニー・プル-がトライ。10番SOドミンゴ・ミオッティのコンバージョン成功で,0-7。
14分,クルセイダーズ14番WTBマナサ・マタエレがトライ。10番SOファーガス・バークのコンバージョン成功で,7-7。
20分,クルセイダーズ15番FBウィル・ジョーダンがトライ。バークのコンバージョン失敗で,12-7。
28分,クルセイダーズ6番FLウェツカモカモ・ダグラスがトライ。バークのコンバージョン失敗で,17-7。
32分,フォース8番NO.8オリー・カランがトライ。ミオッティのコンバージョン成功で,17-14。
36分,クルセイダーズ14番WTBマタエレがインゴールに入るが,9番SHブリン・ホールのノッコンが確認されて,ノートライ。
41分,クルセイダーズ1番PRタマイティ・ウィリアムスがインゴールに入るが,フォース9番SHトマス・クベーリにノッコンさせられて,ノートライ。
42分,クルセイダーズ7番FLシオネ・ハヴィリタリツイがトライ。バークのコンバージョン成功で,24-14。

前半,クルセイダーズ24(4T2C)-フォース14(2T2C)。

43分,フォース23番BKジョーダン・オロワフェラがインゴールに入るが,スローフォワードが確認されてノートライ。
47分,クルセイダーズFBジョーダンが2つ目のトライ。バークのコンバージョン失敗で,29-14。
50分,クルセイダーズFBジョーダンがインゴールに入るが,タッチに出ているのが確認されて,ハットトリックを逃す。
80分,フォース23番BKオロワフェラがトライ。21番SHイアン・プライアーのコンバージョン成功で,29-21。

後半,クルセイダーズ5(1T)-フォース7(1T1C)。合計,クルセイダーズ29(5T2C)-フォース21(3T3C)。
Bチームのクルセイダーズが,ボーナスポイントを取り損ねてしまい,決勝進出がほぼ難しくなった。FBウィル・ジョーダンは,アタックは素晴らしいが,ディフェンスのミスがあり,オールブラックスとしてプレーするには,ちょっと物足りない。


レッズ21-31ブルーズ

レッズは,10番SOジェイムズ・オコナーと15番FBブライス・ヒガティーをメンバー外とした。SOには22番のハミッシュ・スチュワートを,FBにはマック・グレーリーを,22番にはジョシュア・フルックをそれぞれ入れた。

12分,ブルーズ10番SOオテレ・ブラックがPG,0-3。
21分,レッズ8番NO.8ハリー・ウィルソンがトライ。12番CTBアイザック・ヘンリーのコンバージョン成功で,7-3。
26分,レッズ2番HOブランドン・パエンガアモサがチーム反則の繰り返しで,シンビン。
27分,ブルーズ7番FLダルトン・パパリイがトライ。ブラックのコンバージョン成功で,7-10。
35分,ブルーズ11番WTBマーク・テレアがトライ。ブラックのコンバージョン成功で,7-17。
42分,レッズ12番CTBヘンリーが40mのPGを失敗。

前半,レッズ7(1T1C)-ブルーズ17(2T2C1P)。

44分,ブルーズ4番LOパトリック・ツイプロツがトライ。ブラックのコンバージョン成功で,7-24。
49分,レッズ2番HOブランドン・パエンガアモサがトライ。ヘンリーのコンバージョン成功で,14-24。ただし,ビデオ映像では,ボールがラックから前にこぼれていて,ノッコンとするのが正しかったが,レフェリーが見逃してしまった。
54分,ブルーズ9番SHフィンレイ・クリスティーがトライ。ブラックのコンバージョン成功で,14-31。
71分,レッズ11番WTBフィリポ・ダウグヌがトライ。ヘンリーのコンバージョン成功で,21-31。
80分,レッズ11番WTBダウグヌが40mのPG成功で,24-31。

後半,レッズ17(2T2C1P)-ブルーズ14(2T2C)。合計,レッズ24(3T3C1P)-ブルーズ31(4T4C1P)。

ブルーズは,主力ジェイムズ・オコナー抜きのレッズに圧勝できなかったのは想定外だった。しかし,確実に勝利し,トランスタスマンシリーズの首位を維持した。


ハイランダーズ59-23ワラターズ

先週のレベルズ戦でボーナスポイントを取り損なったハイランダーズとしては,このホーム最終戦で,大量得点及び大差の得失点差が欲しいゲーム。しかし,監督代行チームのシェーン・クリスティー,クラーク・ダモーディ,リキ・フルーティは,主力のSHアーロン・スミスをオールブラックスからの要請により休ませ,ケイン・ハミングトンを先発させる。それでも,ハミングトンは50キャップを迎える。21番のリザーブには,デビューとなるジェイムズ・アースコットが入った。FLシャノン・フリッゼルは足首の怪我で6週間の欠場となった。オールブラックス戦に影響することが心配される。

5番LOにブリン・エヴァンス,7番FLビリー・ハーモン,8番NO.8姫野和樹が戻ってきた。6番FLには7番からジェイムズ・レンチースが移動した。17番PRダニエル・リエナートブラウン,18番PRジョシュ・ホーネック,22番bkサム・ギルバート,23番FLテアリキ・ベンニコラスが,それぞれメンバーに戻った。リザーブは,FW6人+BK2人となっている。

ワラターズの監督代行をする,クリス・ウィタカーとジェイソン・ギルモアは,主力である,PRアンガス・ベル,ハリー・ジョンソンホームズ,テテラ・ファルクナーの3人が怪我で欠場するの痛い。そのため,FW1列は初めての組み合わせとなった。7番FLにカリオ・ティッザーノが戻り,20番FLにウィル・ハリスが下がった。10番SOベン・ドナルドソンも怪我で欠場し,ウィル・ハリソンが先発する。ベテランのジャック・デンプシーは,8番NO.8に移動した。

リザーブは,FW6人+BK2人とした。16番HOロビー・アベル,21番FLラーボニ・ウォーレンボスアヤコは,スーパーラグビーデビューとなる。バスアヤコは,日本のサンウルヴズ,NTTコム,サニックスでプレーしていたが,日本代表資格となる居住条件を満たせないため,オーストラリアに戻り,ワラターズと契約して初登場となる。

2分,ハイランダーズ13番CTBマイケル・コリンズがトライ。10番SOミッチェル・ハントのコンバージョン成功で,7-0。
9分,ワラターズ10番SOウィル・ハリソンがPG,7-3。
11分,ワラターズ15番FBジャック・マドックスがトライ。ハリソンのコンバージョン成功で,7-10。
15分,ハイランダーズ14番WTBパテレシオ・トムキンソンがトライ。ハントのコンバージョン成功で,14-10。
18分,ワラターズ11番WTBマーク・ナワカニアワセがトライ。ハリソンのコンバージョン成功で,14-17。
21分,ハイランダーズ1番PRイーサン・デグルートがトライ。ハントのコンバージョン失敗で,19-17。
29分,ハリソンが45mのPG成功,19-20。
33分,ハイランダーズ2番HOアッシュ・ディクソンがトライ。ハントのコンバージョン成功で,26-20。
39分,ハリソンがPG,26-23。
41分,ハイランダーズ11番WTBジョナ・ナレキがトライ。ハントのコンバージョン成功で,33-23。

前半,ハイランダーズ33(5T4C)-ワラターズ23(2T2C3P)。
まるで,第1週のハリケーンズ対ワラターズ戦のような,トライを取り合う乱打戦。姫野和樹を筆頭に,FW3列のジェイムズ・レンチース,ビリー・ハーモンを加えた3人がアタックで貢献している。

45分,ハイランダーズ1番PRデグルートが2つ目のトライ。ハントのコンバージョン成功で,40-23。
52分,ワラターズ15番FBマドックスがインゴールに入るが,ノッコンが確認されてノートライ。
62分,ハイランダーズ8番NO.8姫野和樹がトライ。ハントのコンバージョン失敗で,45-23。
71分,ハイランダーズ11番WTBナレキが2つ目のトライ。ハントのコンバージョン成功で,52-23。
76分,ハイランダーズ23番FWテアリキ・ベンニコラスがトライ。ハントのコンバージョン成功で,59-23。

後半,ハイランダーズ26(4T3C)-ワラターズ0。合計,ハイランダーズ59(9T7C)-ワラターズ23(2T2C3P)。
ワラターズのラインアウトが機能していないことが,大きく結果に影響した模様。やはり,不慣れな選手を多く入れたことが原因となっている。またブレイクダウンでも,ハイランダーズのFW3列を中心にした戦いに負けている。ハイランダーズは,圧勝したことで2位に浮上し,ブルーズ,クルセイダーズとともに決勝進出へ前進した。CTBスコット・グレゴリー,WTBジョナ・ナレキの,セヴンズで活躍した選手が良いプレーをしている。


ブランビーズ12-10ハリケーンズ

ハリケーンズとしては,首位のブルーズとの得失点差を少しでも縮めるような圧勝をしたいゲーム。リザーブをFW6人+BK2人として,ブランビーズにFW戦で勝負する意向か。しかし,キャンベラのブランビーズ戦は相性が悪く,苦戦することが多い。

12分,ブランビーズ9番SHライアン・ロナーガンがトライ。10番SOノア・ロレシオのコンバージョン成功で,7-0。
18分,ハリケーンズ2番HOダン・コールズがトライ。15番FBジョルディ・バレットのコンバージョン成功で,7-7。
24分,ハリケーンズ7番FLデュプレッシー・キリフィが,ブランビーズ4番LOダーシー・スワインへのハイタックルでシンビン。
37分,バレットが約50mのPG成功,7-10。

前半,ブランビーズ7(1T1C)-ハリケーンズ10(1T1C1P)。
ハリケーンズは,シンビンの影響もあり,思ったとおりに得点できていない。ブランビーズとしては期待通りのゲーム展開か。

52分,ブランビーズ13番CTBレン・イキタウがトライ。21番SHニック・ホワイトのコンバージョン失敗で,12-10。
74分,ハリケーンズ18番PRアレックス・フィドウがインゴールに入るが,TMOで,アーディ・サヴェアの前のプレーでのノッコンが確認されてノートライ。ただし,ノッコンではないという報道も多く見られる。
79分,バレットが約52mのPGを失敗。
81分,バレットが左タッチラインから15m,距離30mのPG失敗。

後半,ブランビーズ5(1T)-ハリケーンズ0。
合計,ブランビーズ12(2T1C)-ハリケーンズ10(1T1C1P)。
ハリケーンズは後半に得点できず,レフェリングに泣かされた部分もあったが,もっと得点できてよい実力があることからも,これは想定外の敗戦。NZ勢としては2チーム目となった。最後に連続して勝ち越しのPGをはずしたFBジョルディ・バレットは,悔いが残るゲームとなった。これがテストマッチでなくて良かったし,この経験がテストマッチやRWCのゲームで生きてくることだろう。ハリケーンズは,この敗戦により総合順位で4位に落ちたため,決勝進出はほぼ不可能となった。勝ったブランビーズは,オーストラリア勢が勝つとすれば,トライの取り合いでなく接戦に持ち込むしかないため,こうしたゲームを上手く作り出せたのが勝因ではないか。


チーフス36-26レベルズ

先週レッズに対して,最後の追い上げが時間切れで惜敗し,NZ勢で唯一の負けを喫したチーフスとしては,ここは汚名をすすぐためのマストウィンのゲーム。NZハミルトンで開催する予定だったが,レベルズのホームであるメルボルンで新型コロナウイルス感染が発生したため,NZに渡航することに支障が生じ,土曜のゲームを日曜に移動した他,シドニーのレイクハードットオーバルで開催することとなった。

チーフスの中心であるSO/FBダミアン・マッケンジーは,先週のレッドカードにより,6月19日までの3週間出場停止処分となってしまった。裁定委員会では6週間の処分としたが,これまでのプレー歴から3週間に減らした。この結果,トランスタスマンシリーズではプレーするチャンスがなくなったが,オールブラックスのゲームには間に合う。

監督のクレイトン・マクミランは,マッケンジーに代わる10番SOにはブリン・ゲイトランドを入れ,15番FBにはカレブ・トラスクを先発させる。FBだったチェイス・ティアティアは,23番のリザーブに下がった。キャプテンのSHブラッド・ウェバーは21番のリザーブに下げ,9番にはザヴィエール・ローが入り,8番NO.8ルーク・ジェイコブソンがキャプテン代行となる。12番CTBにはクイン・ツパエアが戻り,アレックス・ナンキヴェルは22番のリザーブになった。

レベルズのケヴィン・フート監督は,手負いのチーフスを警戒している。FW3列を入れ替え,バイスキャプテンのマイケル・ウェルスを6番FLにし,7番FLにはリチャード・ハードウィックが戻った。また,4番LOにロブ・レオタが戻っている。14番WTBには,セヴンズで活躍しているラチー・アンダーソンが先発する。リザーブでは,18番PRリーズ・ファンネクが2試合目の出場となる一方,19番LOロス・ハイレットペティと20番FLマイケル・アイセリーのベテランが,若い選手たちをサポートする。キャプテンは,12番CTBマット・トゥムーアが務める。

9分,チーフス14番WTBショーン・スティーヴンソンがインゴールに入るが,オブストラクションが確認されて,ノートライ。
16分,チーフス15番FBカレブ・トラスクがトライ。10番SOブリン・ゲイトランドのコンバージョン失敗で,5-0。
19分,チーフス11番WTBバイリン・サリヴァンがインゴールに入るが,レベルズ選手2人にボールを取られてノートライ。
21分,チーフス13番CTBアントン・リエナートブラウンがトライ。ゲイトランドのコンバージョン成功で,12-0。
25分,チーフス13番CTBリエナートブラウンが2つ目のトライ。ゲイトランドのコンバージョン成功で,19-0。
29分,レベルズ8番NO.8イシ・ナイサラニがトライ。12番CTBマット・トゥムーアのコンバージョン成功で,19-7。
36分,レベルズ13番CTBステイシー・イリがトライ。トゥムーアのコンバージョン失敗で,19-12。
40分,レベルズNO.8ナイサラニが2つ目のトライ。トゥムーアのコンバージョン成功で,19-19。

前半,チーフス19(3T2C)-レベルズ19(3T2C)。
レベルズはタックルミスが多く,また両チームともにハンドリングが悪い。チーフス圧勝ペースかと思ったが,同点で前半を終えた。

44分,チーフス23番WTBチェイス・ティアティアがトライ。ゲイトランドのコンバージョン成功で,26-19。
53分,チーフスFBトラスクが2つ目のトライ。ゲイトランドのコンバージョン失敗で,31-19。
56分,レベルズ22番BKアンドリュウ・ケラウェイがトライ。トゥムーアのコンバージョン成功で,31-26。
65分,チーフス23番WTBチェイス・ティティアが2つ目のトライ。ゲイトランドのコンバージョン失敗で,36-26。
71分,レベルズ15番FBジョージ・ワースがインゴールに入るが,オブストラクションが確認されて,ノートライ。

後半,チーフス17(3T1C)-レベルズ7(1T1C)。
合計,チーフス36(6T3C)-レベルズ26(4T3C)。

チーフス苦戦しながらも,後半に引き離して勝利。CTBアントン・リエナートブラウンが良いプレーをしており,オールブラックスのCTBに確定すると思われる。また,FB兼SOとしての役割をなっていたカレブ・トラスクは,アタックで才能あるプレーを見せており,来シーズンのチーフスSOで活躍しそうだ。レベルズは,主力抜きのチーフスに善戦したが,オーストラリア勢3勝目は無理だった。

第4週を終えて,NZ勢が18勝2敗とオーストラリア勢を圧倒している。このまま行けば,ブレディスローカップとザ・ラグビーチャンピオンシップで,オールブラックスがワラビーズに対して優勢であると考えるの自然だ。しかし,来征するフランスを迎えるワラビーズとしては,このままの状態ではフランスにやられてしまう心配がある。エンターテイメントかつ理想的なラグビーの姿を具現している南半球ラグビーを応援する身としては,このトランスタスマンシリーズを経験することで,ワラビーズが強化されることを願っている。また,ワラビーズが弱いと,オールブラックスの強化にも影響してしまうので,真のライバルとしての存在感を維持して欲しい。

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