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<ラグビー>ブレディスローカップ第3戦兼TN(トライネーションズ)第1戦ワラビーズ対オールブラックス,プレビュー

参考とした記事
https://www.allblacks.com/news/all-blacks-team-named-for-third-bledisloe-cup-match/
https://www.nzherald.co.nz/sport/bledisloe-cup-rugby-all-blacks-make-several-changes-for-wallabies-clash-at-anz-stadium-in-sydney/YQBL7MB6LDNZJCLWXH4ANBPPHI/
https://www.nzherald.co.nz/sport/bledisloe-cup-rugby-wallabies-first-five-james-oconnor-ruled-out-as-dave-rennie-makes-seven-changes-for-all-blacks-clash-in-sydney/A4JKIANBQ57XIO4MVLVYUUEGPM/
https://www.rugby.com.au/news/2020/10/28/wallabies-team-named-to-play-all-blacks-in-bledisloe-iii-sydney-2020-noah-lolesio

日時:2020年10月31日(土) 19:45キックオフ
場所:ANZスタジアム,シドニー
レフェリー:ベン・オキーフ
アシスタントレフェリー1:ポール・ウィリアムス
アシスタントレフェリー2:ニック・ベリー
TMO:アンガス・ガードナー

オールブラックス:( )内はキャップ数
カール・ツイヌクアフェ(14),ダン・コールズ(71),オファ・トゥンガファシ(37),
パトリック・ツイプロツ(32),サムエル・ホワイトロック(118),
シャノン・フリッゼル(11),サム・ケーン(70,キャプテン),ホスキンス・ソツツ(2),
アーロン・スミス(94),リッチー・モウンガ(19),
カレブ・クラーク(2),ジャック・グッドヒュー(15),アントン・リエナートブラン(45),ジョルディ・バレット(19),
ボーデン・バレット(85)
(リザーブ)
コーディ・テイラー(52),アレックス・ホッジマン(1),タイレル・ローマックス(2),スコット・バレット(37),ダルトン・パパリイ(3),TJ・ペレナラ(66),ナガニ・ラウマフィー(13),リエコ・イオアネ(31)

オーストラリア・ワラビーズ:
ジェイムズ・スリッパー,ブランドン・パエンガアモサ,アラン・アラアラトア,
ルッカン・サラカイアロト,マット・フィリップス,
ネド・ハニガン,マイケル・フーパー(キャプテン),ハリー・ウィルソン,
ニック・ホワイト,ノア・ロレシオ,
マリカ・コロイベテ,イラエ・シモーネ,ジョーダン・ペタイア,フィリポ・ダウグヌ,
ダン・ハイレットペティ
(リザーブ)
ジョーダン・ウエレーゼ,スコット・シオ,タニエラ・ツポウ,ロブ・シモンズ,フレイザー・マクライト,テイト・マクダーモント,リース・ホッジ,ハンター・パウサミ

プレビュー:
オールブラックスのイアン・フォスター監督は,NO.8アーディ・サヴェア及び右PRネポ・ラウララの2人が妻の出産のため欠場することから,先発3人を入れ換えた。また,左PRジョー・ムーディは脳震盪のため,引き続き欠場となっているため,1番PRにはカール・ツイヌクアフェ,3番PRにはオファ・トゥンガファシが先発する。

5番LOにはベテランのサムエル・ホワイトロックが怪我から復帰し,サヴェアの代わりにNO.8に入るのは,クラーク同様に将来が大きく期待されるホスキンス・ソツツが先発する。BKの先発に変更はない。

リザーブでは,17番に引き続きアレックス・ホッジマンが入り,18番には,第1戦以来となるタイレル・ローマックスが入った。19番には,第2戦に続き,怪我から復帰のLO兼FLのスコット・バレットが入る。20番には,昨年のRWC以来となる期待のダルトン・パパリイが入った。パパリイは,多くの才能がひしめくFW3列の争いを勝ち抜いてきた。22番には,怪我から復帰の力強い突破力が魅力なナガニ・ラウマフィーが入り,この関係でリエコ・イオアネが23番に移動した。また,ダミアン・マッケンジーがメンバー外となっている。

イアン・フォスター監督のコメント:
「4試合シリーズの3試合目で,かつブレディスローカップの戦いでもある。この試合はカップをNZで保持する絶好のチャンスであり,トロフィー保持の栄誉を賭けて戦うものだ。トロフィー保持は大きな意味を持っているが,我々が保持すべきである証拠をお見せしたい。トロフィー保持という栄誉を賭けた戦いに挑む試合を,とても楽しみにしている」
「(ホスキンス・ソツツは)既にブレディスローカップである程度の時間をプレーしているので,先発に不安はない。彼はとても楽しみにしているし,初めての先発ということで彼には特別な試合になるだろう」

「(2009年にカップ保持をオーストラリアで決めて以来のゲームとなるが)我々の経験値の高い選手を含めて誰も,オーストラリアでカップ保持を決めたゲームを経験していない。これまでの10年間は,NZでカップ保持を決めてきた。そのため,今回のゲームは我々にとって良い挑戦となるだろう」
「これまでの2試合で我々は学ぶことが多かった。1番目は,チームとしていかに向上できるかだ。しかし,幸いにチームの新たな選手たちが成長してくれた。今回は,そうした成果を安定させるものにしたい。二番目には,おわかりのとおり,我々はオーストラリアがどういうチームなのかを,分析できたことだ」

オールブラックスの参考となる数字等:
・アーロン・スミスは95キャップとなり,歴代オールブラックスキャップ数のベスト10入りをする。
・ジョルディ・バレットは,現在19試合で89得点(13トライ,9コンバージョン,2PG)となっており,まもなく100得点に到達する。兄のボーデンが既に100得点を達成しているので,兄弟でテストマッチ100得点を達成する最初のケースとなる。
・キャプテンのサム・ケーンは,オークランドのゲームで70試合プレーして70得点(14トライ)を達成している。
・これまでの対戦は,169戦,オールブラックス116勝,ワラビーズ44勝,8引き分け。ブレディスローカップは,2003年以来オールブラックスが保持している。


オーストラリア・ワラビーズのデイヴ・レニー監督は,チームの大黒柱であるSOジェイムズ・オコナーを,練習中の膝の怪我で失う危機となった。代わりには,ブランビーズのSOとして今シーズン活躍した,20歳のノア・ノレシオが初キャップながら先発する。また,SOのカバーもできるベテランCTBマット・トゥムーアは,第2戦で股関節を負傷したため,欠場する。そのため,SOのカバーは,リース・ホッジ又はダン・ハイレットペティぐらいしかいなくなった。

トゥムーアに代わり,12番CTBにはワラビーズのデビューとなるイラエ・シモーネが入り,13番には18歳のョーダン・ペタイアが入る。FWでは,3番PRをアラン・アラアラトアとタニエラ・ツポウでローテーションし,FBには,トム・バンクスがメンバー外となり,代わりにダン・ハイレットペティが入った。

リザーブでは,21番SHをジェイク・ゴードンから,ワラビーズのデビューとなるテイト・マクダーモント,20番FLには同じくワラビーズのデビューとなるフレイザー・マクライトを入れた。また,23番にはペタイアとローテーションしたハンター・パウサミが入っている。

デイヴ・レニー監督のコメント:
「4人のワラビーズのデビューとなる選手を迎えて,とても楽しみにしている」
「ロレシオとシモーネの2人は,ともに多くの良いプレーをしてきたので,彼らがテストマッチに適用できることに疑いを持っていない」
「マクダーモントとマクライトは,スーパーラグビーAUで良いプレーをした他,過去1ヶ月の練習で良い印象を残している」

この試合でワラビーズは,2017年にオールブラックスに勝利したブリスベン以来となる,アポリジニの図柄をデザインしたジャージを着用する。

【個人的見解】
ここにきて,選手層が非常に厚いオールブラックスと,選手層が極めて薄いワラビーズとの決定的な差が表面化しました。

ワラビーズは,オコナーがいなくなってはアタックリーダーが不在となります。いくらロレシオが才能ある若手といえども,いきなりオールブラックス相手にテストマッチでデビューすれば,大きなプレッシャーから通常の力すら出せないのが普通です。それが,シドニーの地元で,負けたらブレディスローカップが今年もオールブラックスに持って行かれることが決まる試合で,いくらオーストラリア国内のスーパーラグビーで優勝するのに貢献したといっても,ここで活躍できる選手は皆無です。

さらに,レオシオをサポートすることが期待されたトゥムーアも欠場ですから,ワラビーズのBKラインを指示できるのは,先発SHホワイトぐらいしかいません。ホッジもハイレットペティーもSOはできますが,本来はバックスリーの選手ですから,もしSOを交代させるのであれば,マクダーモントをSHにして,ホワイトをSOにした方が良いかも知れません。

対するオールブラックスは,NO.8ソツツが第2戦のクラーク同様にどれくらい活躍してくれるかが非常に楽しみです。また,クラークも第2戦でスター扱いされたのにもかかわらず,コールズやホワイトロックの感想では,舞い上がることなくとても落ち着いていて,人格的にもしっかりしているようですから,アウェイとなるシドニーのゲームでも地力を発揮してくれるでしょう。

さらに,後半に入ってから,スコット・バレットやラウマフィー,リエコという,他のチームでは先発に固定される選手が出てくるのですから,オールブラックス有利は動かしがたいと思います。心配なのは,雨が予想される天候のため,第1戦のようなキッキングゲームになるため,オープンプレーが減少することと,ワラビーズ弱いと見限ることによるチームの慢心だけです。ただし,フォスター監督が述べているように,オーストラリアでブレディスローカップ保持を決める勝利を挙げたことがないので,この試合に対するオールブラックスのモチベーションは高いことが期待されます。また,先発に抜擢されたソツツは,パパリイやサヴェアとの激しいポジション争いがあるので,ここで安閑とするプレーは許されないでしょう。

同様に,CTB及びバックスリー争いも激しいので,クラーク,グッドヒュー,リエナートブラウン,ラウマフィー,リエコらには,このゲームが生き残りを賭けたゲームですので,自ずと力が入ることでしょう。特にリエコは,第1戦で数々のミスを犯したので,第2戦で十分できなかった汚名挽回のチャンスを得るために,大いに活躍することが期待できます。

しかし,フォスター監督も,全員がラグビー史上最も成功した監督となったスティーヴ・ハンセンですから,後任者としては大きなプレッシャーがあると思います。第2戦で完勝して一息つきましたが,前任と最低でも同等の結果を期待されるのですから,オールブラックス監督というのは,スポーツの世界で最も責任が大きい指導者の1人であると思います。

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