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<ラグビー>2022~23シーズン、大学準決勝及び花園準々決勝の結果から

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
 
 録画しておいたウィーンフィルのニューイヤーコンサートを少しだけ見た。昔は、コンサートそのままの映像だったが、最近はかなりの曲にバレエの映像をつけている他、振り付けや映像(そして舞台になった、ドイツのバロック建築の修道院も!)が、実に素晴らしい(こういうときに「ブラボー!」と舞台に掛け声をするのが、クラシックの古き良き伝統)。もともとシュトラウス一家が作ったワルツのコンサートだから、バレエには非常に合っているわけで、こんな素晴らしい音楽を聴き、そして良いバレエを見ると、新年から目と耳が清められるような気がする。

1.大学準決勝結果

京都産業33-34早稲田

 両チームとも似た柄と色合いのため、きちんとセカンドジャージーを着ていた。早稲田は、デザイン的に練習用に見えたが、京都産業は、そのままファーストでも通用する良いデザインだと思った。セカンドジャージー対決では、京都産業の完勝でした。

 大学選手権で多発していたレフェリーのスローフォワード見逃しが、11分に早稲田のスローフォワードを取ったことで、適正化したようだ。また、それだけで試合が競り合いになる予感を持たせた。ただし、スクラムは京都産業が押していたのにも関わらず、早稲田にPKを与えた場面が多かったのは、やや興ざめになった。また、ラインアウトのノットストレートは、ちょっと厳しすぎるような気がしたが、これはどちらかが有利になったわけでもないので、判断は難しい。

 京都産業は、3枚のゲインライン突破役と、2枚のトライゲッターがいるため(アナウンサーは、「留学生」を連呼してちょっと差別的に聞こえたが)、ゴール前に攻め込めさえすれば、得点できる強みがあった。また、特攻隊のようなタックラーの7番を筆頭に良いディフェンスをしていたが、後半に外側のタックルが甘くなったのは、チームとして致命傷だった。また、やはりゲーム全体の駆け引きと言うか、綾というか、そうしたものは経験値の高い早稲田に一日の長があり、その部分が最後の一点差になったのだと思う。

 もし京都産業が勝っていれば、沈滞ムードの大学ラグビー界において、レギュラーシーズンの東洋大に続く、正月早々の爽快、痛快なアップセットだったが、結果的に早稲田のサクセスストーリーとなったので、多くのラグビーファン(ほぼ=早稲田ファン)は、大満足ではないでしょうか。

帝京71-5筑波

 もう最初からあきらめていたけど、この試合が準決勝であることは、そのまま大学ラグビーが衰退・停滞していることの証明に思える。その理由は、帝京が強すぎるのではなく、他の大学が弱すぎることに尽きる。岩出-相馬監督の優れた手腕を、伝統校でないからと排除しないで、ラグビー協会もきちんと評価して欲しい。

 なお、もし筑波が、早稲田や京都産業と試合をしていれば、7点差以内の接戦になったと思うし、この3校と明治と慶應を加えた5校の力の差は、かなり少ないと思う。この5校同士では、勝負の綾やレフェリーとの相性などのわずかなポイントで勝負が決まるから、全体のレベルは別として、勝敗自体は楽しめると思う。

 しかし、ここまで大人と子供のような差が開いてしまったら、ラグビーの試合の面白さはなくなり、文字通りミスマッチになってしまう。そして、決勝もこの再現、つまりミスマッチになることは予想せざるを得ない。早稲田の奮闘(アタックのことはもう忘れて、サッカーの(0-0を目指す)ディフェンスゲームのように、ボールポゼッションとディフェンスだけに専念して、できるだけ失点を少なくするゲーム)を祈る!

2.花園準々決勝の結果

佐賀工業18-24東福岡

 今日一番の好試合だった。強豪東福岡に対して、挑戦者である佐賀工業が様々なムーブによるアタックと、強靭なディフェンスで、後半10分までに18-14とリードした。また、ここまでは、東福岡らしくないミスが多発して、そこに佐賀工業がリードできた一因もあった。しかし、個人もチームもラグビーが上手く、さらに経験値のある東福岡だ。後半21分には、筋書きどおりに逆転してみせた。逆転劇のポイントになったのは、東福岡がPKを取ったスクラムだが、高校生は1.5m以上押せないルールなので、PKを取るまで圧倒したことは、練習のたまものだと思う。

 惜しくも負けた佐賀工業だが、挑戦者として非常に良くやったし、考え抜かれた良いプレーをしていた。準々決勝までのプレー振りからは、個人的に評価が低かったのだが、この試合を見て見直した次第。良いチームだ。

大阪桐蔭12-15京都成章

 強豪同士の対戦なので、ちょっと期待したが、両チームともミスが多く、ゲーム内容としての評価は低くなってしまう。勝った京都成章の勝因は、最後まで粘り強くやったディフェンスと、解説の御所工業元監督の竹田氏によれば「湯浅監督はペテン師」だそうなので、この試合のために用意したような特別なムーブによるトライだった。

 一方、負けた大阪桐蔭だが、ディフェンスが良かったものの、ラインアウトのミスを連発したのが最後まで響いてしまった。しかし、後半16分に、右タッチライン際を抜けた7番FLが絶妙な内返しのゴロキックパスをしたのは、絶賛すべきプレーだと思う。BKなら普通かもしれないが、FWでこんなプレーをできるのは、オールブラックスのジンザン・ブルック以来ではないか。

天理8-5長崎北陽台

 申し訳ないが、両チームがイージーミスを連発する一方、テニスのようなキックの応酬が長く続き、途中で居眠りしてしまった。得点が低くなったのは、ディフェンスが良いわけではなく、アタックの精度が低かったせいと言わざるを得ない。特に天理は、ミスなくつながっていればトライというパスが数回あったから、本当は3点差以上で勝てたと思う。

 後半30分、天理がターンオーバーし、ノーサイドと思ってタッチにキックを蹴りだしたが、レフェリーからまだ時間があると言われて、長崎ボールのラインアウトで再開したのは、ちょっといただけないプレーだった。原因がレフェリーにあるのか、天理の選手にあるのかはわからないが、少なくとも準々決勝以降はタイトなゲームがあるので、タイムキーパー性(つまり、ノーサイドのホーンを鳴らす)を導入しても良いように思う。

東海大大阪仰星21-31報徳学園

 三回戦までの報徳は、ぱっとしないゲーム振りだったが、ここにきて本領発揮となった。試合巧者で良い選手を揃えている他、経験値も高い仰星相手に、横綱相撲を見せてくれた。仰星は、試合開始早々から2トライを重ねて、14-0として良いスタートだったが、報徳には、良い選手が多く、個人技で流れを変えてしまう。特に、1番、2番、6番、8番はFWながらランニング能力が高く、トライを取りきる決定力がある。また、9番と10番は、チームをうまくけん引するだけでなく、自分からしかけることもできる。そして、15番のハイボールキャッチと11番の終盤の自陣ゴール前からのインターセプトトライは、実に素晴らしいプレーだった。

 仰星は、個々の対決で負けたことが、チームとしての負けにつながってしまったが、ミスの少ない良いプレーぶりだったと思う。対戦相手が異なっていれば、決勝まで行けたチームだったのではないか。

 抽選の結果、1月5日(木)の準決勝の組み合わせは以下のとおりとなった。東福岡と報徳学園がここで対戦しなくて良かったと思う。この両チームには決勝で対戦して欲しい。

天理対報徳学園

京都成章対東福岡


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