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<書評>「楽園の泉」

アーサーCクラーク楽園の泉

「楽園の泉」アーサー・C・クラーク 山高昭訳 原著1979年 早川文庫1987年及び2006年

「2001年宇宙の旅」の原作者として著名なSF作家、アーサー・C・クラークの代表作の一つである。そして、クラーク作品に共通する人類と宇宙人との遭遇が描かれている。

正確には、宇宙人の送り出した通信機器(スターグライダー)との遭遇だが、メインとなるのは、ロケットに代わって宇宙空間への移動を簡便にする、宇宙ステーションまでのエレベーターを構築する技術者のストーリーだ。そして最後には、地球から惑星への人類の移住までストーリーは展開する。

また、クラークが居住しているスリランカの、著名な世界遺産シギリアをモデルにした王の神話的物語と、21世紀の地球工学博士とのストーリーを重層的に描く手腕は、何よりも一流作家のスキルに満ちている。SFでありながら、一種のサスペンス的色彩があるのは、多くの読者をひきつける要素になっただろう。

ところで、このモデルになったシギリアに、私は1994年1月に行ったことがある。絶壁に作られた錆びて老化した階段を昇るのは、非常な恐怖心との闘いだった。そして、ジャングルに屹立した岩山に、なんで宮殿を作ったのか、未だによく理解できていない。

シギリア案内の動画
https://youtu.be/IQZIXZRXmGE

だから、小説を読み進むうちに、モデルとなったシギリアの風景が頭の中に浮かび、小説で美化された表現と実際のものとの差異に躊躇する箇所もあったが、全体的にはクラークの創造力と想像力に関心した。

ところで、今年はアメリカがUFOの存在を認めた他、日本各地で火球やら隕石やらが多数落下している。何か、宇宙的規模で地球に影響があるような出来事が起きそうな予感がする。

最も期待したいのは、地球外知的生命体との遭遇と交流だ。もしかすると、クラークの預言した「地球幼年期の終わり」は、2020年なのかも知れない。

そういえば、今年初めにニースに旅行したとき、ローマ時代の遺跡を見ていたら、UFOが出現した。これも、なんらかのメッセージなのだろうか。

20200202ニース考古学博物館UFO



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