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<閑話休題>坐禅の効用など

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
2024年最初の投稿は、最近多い仏教関係となりました。

〇 坐禅の効用

 最近、毎朝の体操の後に、数分間の坐禅(瞑想)をしている。

 電灯を消した書斎の床に、胡坐をかいて座り、眼を瞑る。静かに呼吸を続ける。吸うよりも吐くことに意識を向ける。呼吸しながら、頭頂から背骨を通って尻の下までのチャクラ(経路)を意識する。そして、天上からのエネルギーが、頭頂から入り尾骶骨に溜まる感覚を意識する。そうした中で、瞑った先に見ようとするのは、やがて見えてくるだろう白い光。また耳は、周囲の音が徐々に聞こえなくなっている。意識していた呼吸も、いつのまにか意識しなくなっている。自分だけの世界に入っている。

 私の痛む腰(背骨)と下肢が徐々に熱を帯びてくる、同時に弱く震えているのを感じる。それらの熱が徐々に身体中へ拡がっていく。熱い。目の前に見えているものも、熱を帯びているように見える。その時間を少しだけ維持する。そして、これをピークとして、徐々にカームダウンして(通常の意識状態に戻って)いく。呼吸に意識を戻す。ゆっくりと強く呼吸する。耳を少しずつ下界の音に向けていく。そのうち熱かった身体が少し冷めたと感じたとき、静かに眼を開く。外の視界に目が慣れてきたら、さらに呼吸を落ち着けて行ない、静かに立ち上がる。天上に向かって背伸びをする。これで、私の坐禅は終わる。

 その後に身体中が温まっていることを感じる。また、腰と足が軽くなっているのを知る。脳は軽快さを感じていて、執拗につきまとっている過去の嫌な思い出が瞬間に消えていき、これから成すべき新しい様々な想念が浮かんでくる。

 これが、私にとっての坐禅の効用である。

〇 他力本願と自力本願
 
 他力本願と自力本願という言葉は、親鸞の浄土真宗の仏教用語だが、一般に流通している使い方には、昔から強い違和感を持っている。
 
 まず、「本願」という言葉の意味は、いわゆる悟りをひらくことと同意であり、浄土真宗においては浄土に往くことである。そして、「自力」とは、浄土宗の教義である念仏をひたすら「自ら」唱えることで本願を得られる(浄土に往ける)ことである。これに対して、親鸞は、「他力」であるところの阿弥陀仏の力に頼ることによって本願を得られるとしている。
 
 つまり、かなり乱暴かつ簡単に言えば、念仏だけでは成仏しない、阿弥陀仏に帰依する願いが大切なのであると親鸞は唱えていることになる。
 
 ところが、私が誤用としか思えない一般的な使い方がある。例えば「プロ野球の巨人は最終戦で負けて自力(本願による)優勝は逃した。しかし、2位の阪神が最終戦に負けるという他力(本願による)優勝の望みがある。」とあるように、仏教用語をプロ野球の優勝するしないの世界に転用している。
 
 さらに自力と他力の意味を、自力=自分だけの力で望みを成し遂げること、他力=他人の力によって自分の望みを成し遂げること、というように誤解して使っている。
 
 また他の誤解している事例として、例えば自分に助けを求めてくる人に対して、「他力本願はよくないから、自力本願でやりなさい」ということがよくある。これは、親鸞の元々の意味から正反対(注:私は真逆という新造語を使いたくない)に使っているという、二重の間違いをしている。(注釈すれば、親鸞における「自力」とは、念仏を唱えること(他者)に頼っている行為であるのに対し、「他力」は阿弥陀仏に帰依するという、自分自身による積極的な行為である。従って、自分自身で積極的に行う行為こそ「他力」であり、他者に依存する行為は「自力」である。)
 
 だから私は、他人から「自力本願でやってください」という言葉を聞くとき、「南無阿弥陀仏」と唱えることにしている。わからない人にはわからないだろうが・・・。
 
〇 死後の後始末
 
 親鸞は、「某(それがし:自分)閉眼せば(死んだ後は) 賀茂河(川)にいれて 魚にあたふべし(与えるべし)」と生前、自分の死んだ後のことを伝えていたそうだ。これは、もともと日本人に水葬という伝統があったからだろうが、私が家族に対して「死んだら遺灰を海に流してくれ。その遺灰は世界中の海を旅できるから。」というのと、近いものがあると自負している。
 
 「遺灰を海に流したら環境破壊だ!汚染物質を流さないでくれ!」と言われてしまうかも知れないが、少なくとも遺灰は汚染物質などとは無関係だから、プランクトンや魚のえさになって、地球規模で考えれば命が循環する輪に入ることになると思う。また、これから、墓を維持していくのは大変だから、(墓地運営で生活している人には申し訳ないが)海に遺灰を流すのは、そんなに悪いことではないと思うのだが・・・。

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