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<書評>「ラグビー知的観戦のすすめ」

ラグビー知的観戦の薦め

「ラグビー知的観戦のすすめ」 廣瀬俊朗著 2019年 角川新書

もう、完全に2019年RWC(ラグビーワールドカップ)日本開催と、TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」とのコラボレーションとして、商魂たくましく作られたことが見え見えの新書である。

だから、内容としては非常に軽く、やさしい言葉で、ラグビーを知らない人にも理解しやすいように書かれてる。さらに、例えばラグビーの細かなルールの解釈や、フットボールからサッカーとラグビーに枝分かれし、さらにラグビーリーグとユニオンとに分かれた歴史なども、簡潔明瞭に書かれている。これは、ラグビーを多少とも知っている人であっても、大変に参考になる内容となっている。

だからこそ、書名の「知的観戦」というのが何かいやらしい。ラグビーを観戦するのに、知的・痴的・稚的もへったくれもない。ひいきの選手やチームを応援するのも良し、ただラグビーのぶつかり合いが好きなのも良し、サインプレーの成功を楽しむのも良し。つまり、そもそもラグビーに「正しい」観戦の仕方なんてないし、知的観戦なんてものはない。

これは、出版社が売れるために、無理矢理付けた書名だと想像するが、その編集者は、ラグビー精神を知らない上に、正直言わせてもらえば、商売が下手な人だと思う。

私が編集者だったら、単刀直入に「ラグビーワールドカップは、こうやって楽しめ!」、「ラグビーは、ワールドカップで倍返し」、「ジャパンラグビー、飛躍の裏側」といった書名を付けたと思う。

と、ここまでは、書名以外を誉めている内容になっている。ただし、書籍としての価値という概念があるとすれば、または極めて個人的な基準で、「この本は読んだ後も、大事に所蔵したいか」という問いがあれば、申し訳ないがNOになってしまう。廣瀬(広畑)さん、すんまへんな。

でも、意外と面白く役に立ったのが、最後の参考として付けてある、RWC参加20ヶ国のナショナルアンセム(ラグビーソング)と挨拶・応援の言葉だ。

これは、RWCだけでなく、普通のテストマッチの時にも役に立つし、オリンピックなどの各種国際スポーツ大会で国歌が流れるときにも、その国への理解を深めることができる。20ヶ国だけとはいえ、国際スポーツを数倍楽しくさせてくれる、優れものだと思う。

ところで、私はNZと南アフリカの国歌(メロディー)が頭の中に記憶されているので、この歌詞カードを見たら、簡単に歌えてしまった!感謝、感謝。

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