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日本人との交流はタブー?!

ロンドンに着いてまもなくひいてしまった風邪はけっこう長引いた。幸い40度を超える熱とかは出なかったから、この際無視することにした。だるかろうがなんだろうが時間は過ぎていく。だいたい、学校を休んでどうするのだ。ホームステイ先で寝てるのはいやだった。ちょっとしんどいだけでわたしは生きている。風邪をひいても活動する場合、日本人ならマスク着用が普通かもしれないが、海外ではマスクなどほとんどの人がしない。2020年の今の騒ぎの中ではそれもちょっと事情が違っていそうだけれど。

わたしは元々マスクが大嫌いだ。着用も嫌いだが、マスク文化が嫌いなのだ。もちろんエキゾチックで怪しいマスクとか仮面舞踏会とかっていう文化は大好きだけども。マスクをしているとコミュニケーションに多大なる影響を及ぼすと思う。わたしは表情の見えない人と喋るのがとても苦手なのだ。日本だとたまに初対面だろうがマスクを取らず、最後まで顔が分からずさよなら、ってこともある。こういうのほんと勘弁してほしいな。そんなわけで海外でマスクをしているとそれはほとんど不審者にしか見えないのだ。

だるさを抱えながら学校に行く。それが数日続き、完全に治るまでも1~2週間かかった気がする。無視すると決めた以上無視していたので、このへんはあまり覚えていない。

宿題は相変わらず毎日出た。1週間が過ぎるとクラスが変わり、わたしはビギナークラスに移った。あれ?それまでもビギナークラスだったよね?と思ったかもしれないが、その通り。わたしはビギナー中のビギナークラスだったのだ。幼稚園から小学校に上がった感じの次のクラスは、サムという先生がメインで担当してくれた。ウェールズ出身の優しい先生だった。喋り方も優しいもんだから、あまり声が大きくない。聞き取りが不自由なビギナーにはそれもトレーニングだったのかな?でも、そういうことを意識しながら教える先生もいた。ナチュラルな英語に慣れなければならないのだから、と物凄い速いスピードで喋る(喋ってくれる)先生とか。

気づいたのは少し後になってからなのだが、授業のテーマは1週間ごとに変わる。例えば、今週はFood、次はTravel、Criminal、Music、みたいな感じで。先生のレクチャー、テキストを読む、生徒同士のディスカッション、みたいな感じで授業は進む。このクラスは少し人数が多かった。ロシア人の子も同じクラスだったが、その他にもいろんな国から来た生徒たちがいた。日本人の生徒もいたけれど、そこまで多くなかった。

学校で日本人に出会った時、最初はどうしようかと思った。彼女の方もそうだったようで、お互いなんとなく交わらないようにしていた気がする。でも、ある時休憩時間にラウンジで顔を合わせて会話をする機会が。さて、どうするか。ここは日本語で行くべきか。それが自然と言えば自然である。でも日本語使ったら迷惑かもしれないしな。目が合ってから話すまでの一瞬にそんなことをぐるぐる考え、いざ挨拶。わたしたちは何も示し合わずに英語だけで会話をしたのだった。本当は100交わせる会話を1で我慢しながら。

日本人が少ないのは、言わずもがな、英語学習にはとても良いことである。留学関連のアドバイスでも、よく「日本人との交流は避けるべし」みたいなことが言われる。当然、英語を使って使って使いまくるための環境に身を置くのが留学に踏み切る一番の利点なわけだから、日本語を使える人と交流してばかりいては意味がない。日本人同士でも英語を使え、とは言ってもやっぱりそれは難しいから、それならいっそ交流しない方が良い、それぐらいの心構えでなきゃ英語を話せるようにはならないぞ、みたいなことを聞いたことがあると思う。それはある意味本当のこと。でも、我々が思うより世界はラフだったようだ。イタリア人、ロシア人、スペイン人、みんな休憩時間は母国語でベラベラお喋りしていた。時には授業中にも同じ国同士母国語で喋り続け、先生に何度も「English!!」とか言われていたっけ。

留学に関する当たり前の心構えさえ、お国柄が表れている。もちろん、ヨーロッパ圏の人が英語を学ぶより、アジア圏の人が英語を学ぶ方がハードルは高いから当然ではあるけれど、そこまでストイックなのは日本人が一番じゃなかろうか。この日本人意識…留学中は、良くも悪くもさんざん感じさせられることになる。続く。

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