見出し画像

クラスメイトは超絶美人

ロンドンに到着し、土日をはさんでいよいよ月曜日から語学学校に通う。ホームステイ先が一緒のイタリア人の男の子は同じ学校ということで、初日は一緒に行ってもらうことになった。そのイタリア人はもう3ヶ月通っていて、そろそろ留学期間を終えて帰国するという。ホストマザー曰く、とっても頑張って勉強していてすごく上達したらしい。たしかにホストファミリーともめちゃめちゃスムーズに会話していた。わたしの3ヶ月後は一体どうなっているんだろう…。

一緒に駅まで歩き、地下鉄に乗る。乗り換えがあったので一緒で助かった。わたし達が通う学校はエンバンクメントという駅にある。ロンドンの中心だけど繁華街とは少し離れていて、テムズ川も近い落ち着いた雰囲気のところだ。学校に着くと彼は「じゃあね」と自分のクラスに向かった。わたしはまずオフィスに行って挨拶をする。今日初日を迎える人たちはパソコンでレベルチェックを受けてから、一斉にオリエンテーションを受けるということだ。

学校にはパソコンルームがあって、レベルチェックはそこで行う。部屋に入るとそこには既に1人生徒がいた。若い女性で、すんごい綺麗な子だった。しっかりオシャレしていて、なんというかセレブな感じ。目も合わさず、気難しい感じなのかな、金髪のロングヘアーと背の高さがちょっと冷たい感じも醸し出していた。あまり話しかけたくもない感じなのかな、とわたしも余計なことはせず、パソコンに向かうことにした。そんな初対面だったから、後にこの金髪美人のロシア人とすごく仲良しになるなんてこの時は思ってなかった。

レベルチェックは当然全部英語で答える。パソコンの画面に表示される英文と選択肢とにらめっこしながらなんとか回答し終えて、お次はオリエンテーション。別の部屋に移ると何人も初日の生徒たちがいた。その新入生一団に校長先生がまとめて話をする。校長先生は年配の女性でジェニファーといった。すごくイギリス人らしい感じの雰囲気で、穏やかで優しく、それでいて英語がままならない人たちを相手にするのに慣れたわかりやすい話し方をする人だった。

学校の決まりや、どこに何があるとか、こんな課外授業があるとかの説明を受けて、テキストをもらう。バインダー形式で、毎回クラスで配られるものをファイルしていくらしい。そしてクラス分けがあり、わたしはビギナークラス(初級)になった。ビギナークラスはとても人数が少なくて、マーガレットというこれまたイギリス人らしい、「lovely」なんて言いそうな、つまり幼稚園の先生みたいに優しい、見た目もふくよかで安心感のある先生が担当だった。

そのクラスにはわたしを含めて3人の生徒がいた。そのうちの一人はさっきの金髪ロシア人だった。ビギナークラスは全員ビギナー。先生の話についていくのもやっとだし、生徒同士にいたっては会話が成り立たない。マーガレットはそんな状況でもにこやかに授業を進められる、ある意味スキルの高い先生なのだろう。さすがにABCが分からないほどの生徒はいないが、知らない単語も多いし、喋ろうとすると言いたいことが言えずにみんなやきもきしながら授業は進む。

語学学校ではみんな滞在期間も違うし、レベルも違うし、目的も違うから、全員が同じように段階を踏むわけではない。個々に合わせてカリキュラムが組まれるから、クラスと言っても一緒に学ぶメンバーは都度違うのだ。レベルや目的が近ければたくさん顔を合わせるし、初めて見る顔にもたくさん出会う。固定のクラスはないからずっと同じ先生ではないけれど、なんとなく担任というものは決まっているようだった。

クラスは週単位で見直しがされる。初週はこのビギナークラスになったわけだが、当然その途中で入学してくる生徒もいる。さすがにABCも知らない生徒はいない。はずだった。そして数日後に、イタリアから来た気の強そうな女の子がこのクラスに加わった。ABCすら知らない子だった。続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?