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【書籍一部公開!】#1 砂漠に住む夫婦との出会い。

こんにちは!私ごとですが、先日、カナダ放浪旅の体験を綴ったエッセイ本「18歳女子が、カナダ放浪旅で見た世界」を出版することができました!お友達や親戚などのお世話になった方々から、興味を持ち本を購入してくれた方まで、読んでくださっている方がいる事に心から感謝しています。

そして本当に幸せなことに、本を読んでくださった方に「ワクワクした」「自分も旅をしているような気分になった」という声をいただきました。

そこで私は、夏に1か月、相方と共にしたカナダ横断旅(書籍の中では第3章)を、いくつかの記事に分けてシェアしようと思います。プラス、相方が作った動画があるので、一緒に載せていきます!

本を一部公開する目的は、より多くの方に、本の一部を楽しんでもらうということと、本をすでに読んでくださった方に、【文章×動画】という形で、よりその時の空間を身近に感じて楽しんでもらうことです!

それでは、横断旅1日目に出会ったカナディアン夫婦とのミラクルホームステイ体験をお楽しみください!

①砂漠に住むカナダのダッド、ママとの出会い
 旅の相方「マイケルたいが」が日本からカナダに上陸した。私たちはカナダ横断のこの旅で、移動手段はヒッチハイク、宿は野宿かホームステイという方法で旅をした。有名な何都市かを目的地ポイントとして決め、そこまでは運命に従う事にした。私については、横断後の残りのカナダ生活を送る場所を決めるという目的もあった。
 まず、バンフという町を最初の目的地としてバンクーバーからヒッチハイクを始めた。私は外国の高速道路を見る事さえ初めてで、あまりにも新鮮でワクワクした。私たちはカナダ地図を買い、これから出会う人に、地図上にメッセージを書いてもらうことにした。
 しかし、ヒッチハイクは簡単なものではなかった。段ボールに行き先を書いて、私たちのうち一人がそれを掲げて、もう一人が親指を上げ笑顔で立った。しかし車は私たちの前をただ通り過ぎる。雨も降ってきた。
 ヒッチハイクで世界一周をした経験のある相方、プロ級であるはずの彼が少し焦っているように見えた。私は「あれ?」と少し戸惑ったが、続けるしかなかったので頑張った。
 三十分くらいすると、白いトラックが私たちの前をゆっくり通り過ぎ、五メートルぐらい先のちょっとした広場に、ウインカーを出して止まった。私はぴょんぴょん飛び跳ねた。地面に降ろしていたバックパックを担ぎ、しっかり背負わないまま全力で車に向かって走った。すると、乗っていたのはすごく優しそうな奥さんと、顔色をあまり変えない亭主関白そうな旦那さんだった。歳は六十歳ぐらいだ。
「雨なのに大変だったわね。濡れる前に乗りなさい。」
奥さんの方が柔らかい笑顔で言ってくれた。そして私たちは後部座席に乗せてもらった。話は弾み、彼らは綺麗な景色が見えるポイントや道中で何度か車を止め、少し辺りをツアーしてくれた。車に戻り話していると、彼らは田舎の砂漠地帯に、自分たちで家を建てて住んでいると言った。私と相方は顔を見合わせた。
 相方は言葉さえ発しなかったが、「そこへホームステイしたい。」と顔が語っていた。すると彼が、驚く行動に出た。
「あのお、もしよかったら今日の夜、一泊ホームステイさせてもらえませんか?」
彼はズバリ聞いてしまったのだ。前に座っている二人は驚いた様子だったが、お父さんが少し考えてから、
「OK」
と言った。顔は見えなかったが、声色は決して迷惑そうではなかった。そうであってほしいという願いから、勝手に自分の中で変換しただけなのかもしれないが…。
 そこから、私たちが降りるはずだったポイントを過ぎて、彼らが住む田舎に続く道を進んだ。ただ一本長く続く道を走っていると、お父さんはハンドルをゆっくり左に切った。同じ景色が続くこの道で、何を目印に左折ポイントが分かったのかと疑問に思った。車はぐねぐね道を通り、門の前で止まった。門の向こうからは、かなり大きい犬が走ってきていた。
「ここが私たちの家だよ。」
お母さんが門を開けお父さんが車ごと中へ入った。するとそこには、でかい家が「よく来たな」と歓迎してくれているように、そびえ立っていた。
 駐車が済むと、私たちは車から飛び降り辺りを見渡した。するとそこは、まるで私たちだけの世界で、黄色い壮大な大地が広がっていた。自分の身がこの大自然に溶け込めきれていないうちに、お父さんが家の中を案内してくれた。家の中を見て、私と相方はずっとうるさかった。この家が手作りだとはまるで信じがたく、感動を黙って見てはいられなかったのだ。お父さんが家ツアーを二十分くらいかけてしてくれた。壮大な砂漠を移す四方八方に並ぶ、大きな窓があるリビング。四つのバスルームとテレビ室、地下室の大広間。お母さんが美容師なので、プライベート用の美容室を別棟に。その隣に続く二つの小さい小屋、お父さんの仕事のための工具や趣味のレコードが大量にコレクションされた大きい倉庫…。私の驚きを充分に表す言葉は、もうとっくに尽きていた。
 お父さんは、この全てを自分の手で作り上げたというのだ。私は、英語のリスニング力のせいで聞き間違えたのかと思ったが、彼の持っている設計図や写真を見せられ、信じるしかなかった。私は人間の可能性を間近で見る事ができて、明らかにワクワクしていた。
 家ツアー中、お母さんは庭でグリル料理を作ってくれていて、
「料理ができるまで、ゆっくりしていてね。」と言ってくれた。私と相方は本当の子供の用に、広すぎる庭で犬と遊んだり、フカフカの芝生に大の字で寝転んだりしてママのご飯を待った。
「ご飯できたわよ。」
「やったーーーありがとう!」
即座に家の中に入ると、豪華なハンバーガーや、野菜、ポテトのサイドメニューが入ったボールが、透明で清潔感のあるテーブルの上に並べられていた。
 私はそれらを目の前に、ごくん、とつばを飲んだ。テーブルを四人で囲み、皆で手をつなぎ「アーメン」と感謝をしたあと、おかずをボールから自分の皿に移して時計周りに次の人へ回した。
「さあ」という風にお父さんが一番先にそれへかぶりついた。
 次はお母さん、相方、私というように、一人ずつ順番にでかい一口目を自分以外の残りの三人に見せつけた。
 思えば今日、数時間前に初めて会ったはずの私たちは「家族」のようで、奇跡的な時間を、まるで何気ない日常の中の一部かのように過ごしていた。
 夕食が済むと、砂漠の黄色と調和する真オレンジの夕日が沈み、夜になった。私たち四人は庭に出て、真っ暗の中ベンチに座り、楽しく語り合った。私たちが喋らないときには、「シーン」という音が響いた。あたりには他の音を創り出す私たち以外の人が居ないので、自然が作り出す「無の音」が誇張されていたのだ。私たちはそれを体で感じながら、顔を上げて星を見た。美しかった。
 私と相方は、めいっぱいの「ありがとう」の気持ちを込めて、全力で歌を披露した。宴会のように聴こえてもおかしくないパフォーマンスだったが、「運命的な出会い」と「現実離れした一日」という事実の中で成り立つ空間がそれを良い形でまとめてくれた。
 今日会った人たちと「GOOD NIGHT」で閉める一日は素敵だった。
 次の日朝起きると、四方八方に並んでいる窓に、強く生き生きとした太陽が差し込んでいた。それを朝一のエナジーにし、皆に「おはよう」と元気に言った。皆も「おはよう」と返す。
 お父さんは私たちより先に仕事へ出た。彼が出発する前、メールアドレスを交換し、連絡先の名前にCanadian Dad and Mom(カナダのお父さん、お母さん)といれた。
「昨日から僕たちは君たちのカナダの父と母だ。旅先での安全を報告するように。」とダッドが言ってくれた。
 お別れの時、相方は一緒に過ごした素敵な時間を一本の動画にして送り、私はダッドとママへ筆ペンで手紙を書いてプレゼントした。
 準備をして、車に乗り込もうと外へ出ると、隣人の奥さんが馬に乗って登場し、そのままお母さんと世間話をしていた。私と相方は、そんな彼女たちの異様な光景を見てひそかに笑った。
 お母さんは女騎士との世間話を終え、私たちの新しい旅の出発に「安全に、思いっきり楽しんでね」とハグでお別れを言ってくれた。
 少し悲しくなったが最後ではないと確信していたので、泣かなかった。私たちにとって、カナダ横断一発目のホームステイは、大大大成功だった。

*Made Byマイケルたいが▶︎https://www.instagram.com/tennis55ttg/?hl=ja

*書籍ページ📚▶︎https://www.amazon.co.jp/dp/B091JQ1MDV/ref=cm_sw_r_cp_awdb_imm_75VXN0RJ18S3F9PXZTCC

*JuinoのInstagram 🌈▶︎https://www.instagram.com/whats_up_juino/



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