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14人での富士山登頂はマネジメントにおける学びの連続だった

先日、富士山を14人で登り、全員登頂するという経験をしました。
「なんでそんなに何回も登るの?」と思われる方も多いと思いますが、自然に触れる喜びを得られることはもちろん、同じ経験をするからこそ得られる学びや成長実感、そして、誰かの「人生で一度はやってみたい」を叶えたいと思うからです。

特に今回の富士登山は、全員登頂の達成感に加え、前代未聞の総勢14人で登る中で、「マネジメント」面での学びが大きかったので、経験をシェアしたいと思います。

目次は下記になります。


なぜ登山において「マネジメント」なのか?

登山においては、「全員で登頂する」という目標に向かって、個々人の能力や状態、あるいは外部環境等を見極め、必要な情報を伝え、行動を変えていくことが必要だと考えています。
また、今回の場合、特に当日は14人全員を私一人で見る/サポートすることができないため、リーダー役を複数巻き込み協力してもらうことも必要でした。これらの要素が仕事における「マネジメント」とも大いに共通していると思います。
下記では、実際に取り組んだことと、そこから得られた学びについて綴っていきます。

取り組んだことについて

1. 目標設定

富士登山ではシンプルに登頂するということが一般的な目標になると思いますが、私は、
・「登れたけど辛過ぎた」にしないこと(ネガティブな思い出にしてほしくない)
・せっかくなら楽しく登って、人生の思い出の1ページに残るような体験にしたい
という裏目標を立てていました。
これにより、自分自身のモチベも高まりましたし、事前の準備や当日のサポートにおいて、何をやるべきかが明確になりました。
普段では目標をチームに伝えることが大事ですが、登山においては「登頂」というシンプルなゴールになるため、伝達にはそこまで力を入れていませんでした。

2. 下見とイメージトレーニング

今年は、この14名登山の前に偶然2回別の富士登山が入っていました。せっかくなので、この2回を下見の意味合いも兼ねて、できる限り自分の体験を言語化したり、14名のパターンではどうなるか、適宜想像したりしました。
例えば、山では午後は天気が崩れやすい・また仮眠時間確保のため、五合目で高地順応しつつも、早めに登り始める方が良いのですが、14人で行動するとランチ一つとってもとても時間がかかります。そのため、みんな一緒に行動するのではなく、集合時間を決めて、別行動にするという方法を考えました。また、別行動でもそれぞれが必要なアクションを取れるように、五合目やることリストをNotionで作成し、五合目に到着して「リスト見て行動してください。集合はここに何時でお願いします!」と言うようにしました。
このNotionは、今年1回目の富士登山の時に、帰りのバスで作り始めました。
別の例として、夜間登山中は14人いるとお互いの位置確認が難しくなるため、色が変わるペンライトを先頭と最後尾がリュックに挿して登ればいいのではという案も採用しました。結果的に、スムーズに出発することができました。

3. コンテンツ作成

私がイメージトレーニングをしたのと同様に、メンバーにとっても、初めてのことに取り組む際、いかに解像度を高めて必要な準備や行動をとるかが重要だと考えています。
特に富士登山については私自身が何度もリサーチ&経験していることだったので、とにかく知っている情報をまとめることにしました。
Notionで専用ページを作ると共に、この登山に合わせて、note記事も複数リリースしました。

Notionの目次
ランチ情報も共有してお店選びの時間を短縮しました

リリースしたnote記事

4. 当日の観察とフレームワーク

今回の富士登山では、年齢こそ20代と近いものの、
「周りから全力で止められた。とても不安。」というメンバーもいれば、
「部活の合宿の後、弾丸登山(宿泊なしの登山)して登頂した」という猛者もいました。
もちろん、その間のメンバーも体力や経験値はバラバラでした。
猛者系に関しては、もはやマネジメントなんてしなくてもきっと登れますし、当日はむしろ自分のサポート役をお願いすることにしました。
不安なメンバーに対しては事前の体力作りの方法をインプットしたり、当日は皆の表情をみながら、キリマンジャロの経験をもとにして体力に余裕のあるメンバーで荷物を分担して持つなど、全体最適を意識しながら登りました。

5. 雰囲気作り

登山にはメンタルも重要なので、チーム全体が上手く進むように、雰囲気づくりも意識していました。今回のメンバーはそのような雰囲気作りが私よりも遥かに得意なメンバーが多かったのでお任せしつつも、私自身が極力元気で明るくいれるように努めるのはもちろん、「今日は12回登った中でもTOP3に入るくらい天気が良いよ!」という声かけや、「高山病は初期なら対処できるので、ちょっとでも変だと思ったら遠慮なく言って!」ということも明確に伝えました。また、ちょっとした工夫ですがセルカ棒で写真を撮ったりもしました。

6. 打ち上げの開催

今までの経験を踏まえて、絶対打ち上げはやった方が良いと思っています!笑
登山中は疲れてなかなか話せないこともあるため、登山のその日に、あえて打ち上げの機会を作りました。単に大好きなメンバーと飲みたかっただけというのもありますが、真面目に、みんなで経験を共有、言語化する、そして祝福することで、個人の振り返り・成長の機会になったり、チームビルディングの機会にもなるので、登山後の飲み会はとてもおすすめです。登山後ということで、お店は焼肉にして、登山中も「終わったら焼肉が待っているよ〜」と言ってモチベーションを上げていました。特に下山はメンタルを保つのが難しいので、焼肉をご褒美がわりに設定していました。

今回の結果と学び

これらの工夫の結果、やはりきつかったメンバーもいたものの、14人全員登頂、そして14人中10人が剣ヶ峰(3,776mの地点)にもいくことができました!
私自身、とても嬉しかったですし、改めて振り返ると、さまざまな学びがありました。

1. 12回の登山経験そのものが、よくある成長プロセスだったという気づき

改めて振り返ってみると、12回の登山経験はプレイヤーからリーダー、マネージャーへの成長だと捉えることができると思いました。
初めての登山は小学5年生のとき、当時65歳の祖母と一緒に登りました(覚醒遺伝でしょうか。祖母は人生7回目に最後の富士山と言って私を連れて行ってくれました)。当時はガイド付きツアーを利用し、よくわからないままでしたが、体が軽く体力もあったので、そんなにしんどい思いもせず、登ることができました。
その後、大学2年生の時に登ったのですが、これが予想以上に辛く、悔しいというか、もはやショックでした。
その後、少しずつ他の山も登ったりしていくうちに徐々に体力がつき、富士山に数人を連れて登るようになったのですが、当時は私自身がリサーチ大好きなタイプで、富士山については多くの情報も調べれば出るため、最低限の情報を伝達しつつ、「あとはそれぞれ自分お願いします」スタイルでした。ただ、そのスタイルでは失敗してしまい、なんとか登れたものの、余分な荷物を持参して体力を消耗してしまうなど、辛い登山にしてしまったことをとても後悔しました。また、ザックの背負い方など、プレイヤーとしてもまだまだ伸び代のある時期でした。それ以降、誰かと富士山に一緒に行くときは説明会を開催したり、説明会は工数上回らなくなったので、上述のNotionやNoteを活用して情報発信をするようになりました。
この時、リーダーとしては失敗でしたが、逆にその結果大幅に登山時間がかかり、寝不足で登下山しても大丈夫だったことから、自分自身の体力については成長実感を得られたため、次は念願だった富士山0合目にチャレンジすることにしました。
この「富士山0合目チャレンジする」という目標がプレイヤーとしてのターニングポイントになりました。身体づくりのためにパーソナルトレーニングに行き、登山に必要な筋力や、食事方法等にも気を遣うようになりました(現在もまだまだではありますが、、、)。その結果もあり、今までで一番辛い登山ではあったのですが、0合目から無事に登頂することができました。
プレイヤーとしてのさらなる覚醒はやはりキリマンジャロです。体力作りはもちろん、富士山より2,000mも高い場所の環境を再現した高地トレーニングや、各種登山用品に関する知識など、富士山よりも難しいことをするからこそ、富士山にも応用できるような体系的な知識が身につきました。
このようなプレイヤーとしての成長、リーダーとしての成長があったからこそ、チーム全体のマネジメントをすることができたと思っています。
また、プレイヤーとしての成長のきっかけに、新しい目標があったということにも改めて気づくことができました。
さらに、最近は一定そのプロセスについてやり切ったと思えており、次の新たな目標は、「新しい形の富士登山」にチャレンジすることです。いろんなメンバーと一緒に登ったり、ディスカションしたりする中で、富士登山とマネジメントや、チームビルディング、あるいはウェルビーイングのワークなどは相性良さそうという話が出ています。ただ、自分で全部企画をするのは難しいので、専門家と連携したいと思っています。これも、自分や自社だけで天井が見えた時、外部と連携していろんな可能性を広げていくという仕事のプロセスともとても似ていると感じました。ちなみにまだパートナーが見つかっていないので、富士山をコンテンツに何かやりたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ディスカッションの機会をいただきたいです!

2. マネジメントについてと仕事への応用

山登りはシンプルかつ結果もわかりやすいからこそ、普段は気づきにくいことがたくさん学べると思っています。
今回はやはり事前の適切な情報発信の重要さと、観察や荷物を持つなど何人かでマネジメントも分担するという考え方が活かせると思いました。そして、人の個人差の大きさも改めて感じました。「体力」という外から見てもわかりやすい指標だったからこそ、改めて感じましたが、内面に関することは見えづらくも、人によってこれほどの差があるかもしれないという前提を持つことで、見える世界も広がっていくと思います。
そして、さらに面白かったのが、みんなで打ち上げで語っていた際に、「みんなプライドがある中で、素直に荷物を持ってもらう(=助けを求める)ことをお願いできたのは何故か。仕事では助けを求めることが難しいが、なぜそれができたのか」というテーマにもなりました。そこで、ある人が「登山の場合は、周りから見た『しんどそう』と本人の『しんどい』という自己認知が一致するからではないか」と言っていて、なるほどと腑に落ちました。仕事だと、自己認知と周りからの認知が一致していない場合があるから、そこを丁寧に認識合わせしていくことが重要ではないかという結論になりました。

このように、向き合えば向き合うほど、登山は面白い経験だと思いました!
また引き続き語っていきたいと思うので、よろしければ、フォローいただけると嬉しいです!

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