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できるだけ楽に富士山に登頂する方法についてロジカルに考えてみた

こんにちは。富士山に9回(2023年時点)登ったゆいきです。
つい先日、アフリカ最高峰キリマンジャロに登頂しました!
キリマンジャロの体験談も準備中なのですが、圧倒的に「富士山登りたい」という声の方が多いこと、そして夏に向けてぼちぼち準備が始まるタイミングなので、先に富士山記事を書きます!

みなさん、

  • 富士山、人生で一度は登ってみたくないですか?

  • そして、せっかく登るなら登頂したくないですか?

  • でも、さまざまな不安があるのではないでしょうか。

富士山頂からの御来光

私は、その不安を解消して挑戦を後押ししたいですし、そして、せっかくであれば、できるだけ苦しまずに、登山を楽しんでほしいと思います。

そのためには、自分にとっての苦しみのパターンや登頂を阻むものを知り、それに備えることが大事ということを、私はキリマンジャロで学びました。
そして、それは富士登山にも活かせると気づきました。

普段バリバリ運動しているわけでもない私が、今までのべ29人と一緒に富士山を登り、今までアテンドした人のうち天候を除く登頂率は100%ではあるものの、「もっとこうしたサポートができればよかった」と後悔しながら改善し、そして、キリマンジャロで準備+6日間どっぷり登山に向き合ってきた今だからこそ語れる、富士山登頂を「阻むもの」とそれに対する「解決策」を紹介します!
(もちろん、ガイド付きツアーに参加するというのも一手ですが、自分たちのペースで楽しみたいという人も多いと思います!)


・本noteはあくまで個人の経験談によるものです。登山に関する資格等は持っておらず、主にネットでのリサーチ+9回の登山経験を通して得られた知見をまとめたものであり、常にご自身のご判断でご活用いただけますと幸いです。
・本noteで紹介する知見は「吉田ルート」の体験をもとに作っています。吉田ルート以外のルートでは当てはまらない可能性がある点について、ご了承ください。

自己紹介(登山歴など)

まずは改めて自己紹介です。
「自分にとっての苦しみのパターンや登頂を阻むものを知り、それに備えることが大事」と書きましたが、「自分にとっての」というところがとても重要なので、登山に関する部分をまとめます。

▼ゆいきのプロフィール

  • 運動習慣など:普段はデスクワークで運動はあまりせず。難易度高めの登山の前だけジムやピラティスに慌てて通う。登山のためにはもう少しスリムになりつつ筋肉量を増やしたいと思っている。

  • 運動経験:高校時代、ゆるめの運動部に所属。大学以降は座ってばかり(泣)

  • 登山経験:富士山9回登山、うち1回は0合目から登頂。天候以外の理由で登頂を諦めた経験はなし。その他は涸沢カール、瑞牆山、乾徳山など。2024年のゴールデンウィークにキリマンジャロ登頂。

  • 登山のペース:ペースで言えば、普段運動している男性陣より基本先に息があがる。だいたい「ちょっと休憩していい?」は私から。

  • その他:週5-6は飲んでいる。

という感じで、フィジカル的には全然登山ガチ勢ではありません(もっと鍛えたい)!他の部分でカバーしております。

そもそも、富士登山ってどんなもの?

まずは富士登山の概要について、簡単に説明します。
(もっと詳しい記事はニーズがあれば書きます!)

  • 日程は2日間、五合目(標高1,400m~2,400m、登山口によって違う)から登り、7~8合目の山小屋に夕方に着き、夜中に山小屋を出発し、頂上(3650~3776m)でご来光を見て、その後下山するというのが王道パターンです。

  • 登山ルートは吉田ルート、須走ルート、富士宮ルート、御殿場ルートの4つありますが、一番山小屋が多く、最も人気なのは吉田ルートです!(本noteでは主に吉田ルートについて書いています)

  • 一番人気の吉田ルートの場合、登りは6時間、下りは4時間が平均タイムですが、個人差や、登山道の混雑具合によって変わります。

  • 登山道は坂と軽い岩場(軍手を使って登る)がありますが、難しくはないです。

  • 富士山を登れるのは基本雪もなく天気も晴れやすい7月と8月です。夏でも頂上の夜明け前は0~5度と極寒です。

  • ガイド付きツアーで行くパターンと、個人で行くパターンの両方あります。

【一覧】できるだけ楽に富士山に登頂する方法

私自身、一緒に登った人、あるいは聞いたことのあるエピソードから、富士山登頂を阻むもの、苦しみの原因となるものを洗い出しました。
それがこちらになります。

詳細は一つひとつご説明しますが、この中から、自分に合った対策を選ぶことが重要です。特に「体力・スタミナ不足」や「身体の痛み」については、普段の運動習慣や筋肉量によるので、自信のある方は、当日少し心掛けするくらいで良いかもしれません。逆に不安な方は、できる限り対策をすることで、より安心してチャレンジできるのではないかと思います!

高山病

「富士山で辛かったこと」おそらくNo.1が高山病だと思います。
私自身なんともない時もあれば、本8合目くらいで軽い高山病になった経験もあります。また、キリマンジャロの2,700m(富士山の7合目)で寝る服装を間違えてうっかり高山病になってしまいました。
高山病になると、頭痛や吐き気、倦怠感などの症状が出ます。
高山病に「なりやすい」「なりにくい」は持って生まれた体質によるようですが、富士山の高度(3,776m)であれば、経験上、対策次第でかなり高山病になるリスクを減らせると考えています(個人差はありますが、時間をかければ、5,895mのキリマンジャロも酸素ボンベなしで登れるのです)。
実際に、高山病でリタイア経験のある人の再チャレンジに同行したこともありますが、対策をしっかりすることで2回目は無事に登頂できました。

対策ですが、肝は3つです。
高山病の原因は酸素が体内の必要な場所に運ばれないことなので、
①必要な酸素を確保する
②酸素を循環させる
③その他(自分の状態を知る、遠慮しない)

※いろんなサイトを読み漁り、何回も富士山に登り、キリマンジャロに向けて低酸素トレーニングを受けた私なりの解釈です。

「①必要な酸素を確保する」については、下記の対策が有効です。

  • ゆっくり登る:運動強度が高まるほど、酸素の消費量が増えます。「このペースならずっと続けられる」というくらいのペースを常に守ることが重要です。「ゆっくり」のスピードについては、富士山で必ず見かける、団体ツアーのガイドのスピードを参考にするという方法があります。

  • 意識呼吸:呼吸の深さと頻度を増やせば、取り込む酸素の量も増えます。頻度の増やしすぎは疲れに繋がるので、深さを意識しましょう。しっかり吐ききることが酸素を取り込むコツです。

  • 高所順応:体を低酸素環境に慣らすことが重要です。具体的には、登山前に5合目で最低1時間は休みましょう(食事や準備などしてOK)。

  • 山小屋の位置の工夫と寝姿勢:寝る時は呼吸が浅くなると言われています。そのため、8合目の山小屋よりも7合目の山小屋の方がなりにくいです(経験上、8合目の前半くらいは大丈夫ですが、本八合目より上は初めての方にはおすすめはしていません)。また、寝るときに仰向けだと舌が下がって呼吸が妨げられるので、横向きに寝る方がより酸素を取り込みやすいそうです。

続いて、②酸素を循環させるについては次の対策が有効です。

  • 快適な服装:寒いと血流が滞ります。かといって汗冷えも良くないので、服装は適宜調節し、快適な体温を保つようにしましょう。また、血液の循環を妨げるような、締め付けのある服装などは避けましょう。

  • 水分補給:血液をしっかり循環させるには水をしっかり取ることが重要です。熱中対策にもなるので、喉が渇く前に飲みましょう。吉田ルートはお手洗いもたくさんあるので、普通の山よりトイレの心配も少ないはずです。

③その他について、一般的な高山病対策のサイトには書いていませんが、個人的にとても重要だと思っているのが下記の二つです。

  • 自分の状態を意識する:高山病はいきなり発症するものではなく、車酔いのようにだんだんひどくなってきます。初期の違和感に気づき、早めに対処すれば、その分回復も早いです。頭が少し重かったり、いつもと少し違う感じがあれば、まずは少し止まって、しっかり呼吸をしつつ、水分を摂りましょう。

  • 遠慮しない:先ほど、ペースや服の調整や水分補給が重要なことを述べました。でも、自分が一番遅かったり、休憩が多い時、言いづらくないでしょうか?「もっとゆっくりにしたい」「水を飲みたい」など、自覚をしているということは必ず必要なことなので、遠慮せずに仲間に伝えるようにしましょう!

    高山病の概要と対策は、こちらのサイトがとてもわかりやすいです。https://www.clubgets.com/fujitozan/jyunbi/altitude-sickness.html

もし高山病になってしまったら、私の場合は、まずはその場や近くの山小屋(できれば座れるところ)で止まり、呼吸、水分、服装などを整えつつ、頭痛がある場合は鎮痛剤を飲みます。その後回復傾向であれば登山続行(過去2回の高山病はこちらで対処しました)、良くならない場合は休みつつ、下山も検討します。この辺りの判断は難しいため、山小屋のスタッフに相談するか、そもそも上記の対策をしっかりと行い、高山病を予防することが重要です。

体力・スタミナ不足

こちらは個人差が大きい話ですが、当然のことながら、体力がある人ほど楽に登れますし、そうでない人はしんどい思いをするかもしれません。「普段から運動して体力つけましょう!」というのは簡単ですが、なかなかそうもいかないこともあると思うので、短時間でできる対策をお伝えします。

①疲れる要因を小さくする

  • 荷物の軽量化:荷物が重いほど疲れるので、できるだけ軽くしましょう。工夫はたくさんできますが、シンプルなのは水を減らすことです。吉田ルートには山小屋がたくさんあり、水は購入できる(500mlが500円ですが、、、)ので、体力に自信がなければ、最初は1Lくらいにしておきつつ、課金する作戦も選択肢の1つです。また、荷物の背負い方も重要です。それなりに説明にスペースを要するので、気になる方は「登山 ザック 背負い方」などで検索していただければ幸いです。

  • ゆっくり登る:早いペースで登ると早く登れますがその分疲れやすいです。高山病対策のためにも、ゆっくり登りましょう。

  • 休憩しすぎない:人間、心拍数の上げ下げ幅が大きくなるほど疲れます。水分補給などは大事ですが、できるだけ短く済ませて、落ち着いたら、またすぐに登るよことで、体への負担が少なくなります。最悪なのは、ハイペースで登ってたくさん休憩することです。

  • ストックの使用:登山用のストックを使えば、かなり楽に坂道を登ることができ、その分疲れづらいです。また、下山道でも大いに力を発揮します。ただ、人によっては合わないケースもあるようなので、使ってみて合わなければ使わないというのもありです。

  • 事前の体調管理:体調が良くないと、高山病にもなりやすく、疲れやすいです。当日ベストコンディションで迎えるために、前日はしっかり寝ておきましょう!(私は富士山までのバスでもだいたい仮眠しています) 

②基礎体力の向上

  • 事前トレーニング:登山は筋力と持久力が重要です。事前に近くの山を登るのがおすすめですが、なかなか難しいと思います。もっとも簡単でおすすめなのが、階段昇り降りです。時間のあるときは数十分階段を登り降りが良いトレーニングになりますし、忙しい時は移動するときにできるだけ意識して階段を使うだけでも、何もしないよりは遥かに良いです!(トレーニングについては専門家ではないので、気になる人は「登山 トレーニング」等で調べてみてくださいね)私自身、全然トレーニングしていない時期でも登頂はできましたが、意識して階段を使っている時期の方が楽に登頂できました。

③補給・回復

  • 行動食:登山はかなりエネルギーを消費するので、エネルギー切れを起こす前に補給することが重要です(そんなにすぐにはエネルギーに変換されないので)。私はいつも運動前にアミノバイタルを飲みつつ、登山途中はお腹が空いたらカロリーメイトや1本満足バー、ウィダーインゼリー、塩キャラメル、カルパス等がお気に入りです。富士山でもポテトチップスやチョコレート、カロリーメイト等は購入できます。

  • 山小屋での休憩の質向上:富士登山では、一泊するケースが多いと思います。ここでしっかり休めるかも次の日の元気に影響します。「どこでも寝れるよ〜」という方は気にしなくて大丈夫ですが、不安な方は、耳栓やタオル(枕が合わないときに枕代わりになる)などを持参したり、寝る前のストレッチでリラックスしたりして、できる限り休む工夫をしましょう。ただし、もし眠れないとしても焦らないこと。横になっているだけでも身体は回復します。

身体の痛み

こちらも個人差が大きいのですが、身体の痛みも「登山の苦しみあるある」だと思います。
最もよく聞くのが特に下山時の膝の痛みで、私も膝と登山時はほぼ毎回股関節の痛みに苦しんでいます。
私個人の経験で言えば、五合目の往復であれば、我慢できる範囲です。しかしながら、富士山を0合目から登って、実は私が一番つらかったのがこの痛みです。息が上がるとか、スタミナが切れるなどは休んだり、ペースをゆっくりにしたり、ご飯を食べるとある程度復活するのですが、痛みはそんなにすぐ直らず、むしろつらくなるばかり、、、股関節が痛すぎて、山頂直前では杖に頼りながら、時折横に歩いていました。
対策としては、下記があります。

①筋力・柔軟性の向上

  • 事前トレーニング:ざっと調べた情報ですと、痛みに共通するのが筋肉量が足りていないこと柔軟性が低いことのようです。これはそれぞれの部位に応じた筋トレメニューとストレッチメニューを繰り返すしかありません。しかしながら、継続は大変ですし、登山経験の浅い方にとっては、そもそもどこが痛くなるかわからない点がネックだと思います。取り入れやすいもので言えば、当日の運動前・後のストレッチはおすすめなので、ぜひやってみてください!

②負荷の軽減
ここからは「モノ」で解決するシリーズです。
ストックは割と万人におすすめ、サポートタイツや靴は過去に痛んだ経験があるなど、特に不安がある方におすすめです。

  • ストック(杖)の使用:一番安価で効果も高いのはストックです。特に膝にかかる負担を軽減することができます。レンタルもできますし、Amazon等で安価で購入できます。

  • サポートタイツ:キリマンジャロでとても効果があったのがサポートタイツです。痛みが怖すぎたので課金しました。実際に使ってみて、軽い筋肉痛にはなりましたが、6日間登山し続けても、辛いと感じる痛みを感じることがなかったです!

  • 登山靴へのこだわり(経験者向け):私は今まで入門編の登山靴をずっと使って富士山を登っていましたが(それでも全然登れます)、キリマンジャロに向けて、上位モデルデビューしました。こだわりたい方は足の形など、登山用品店でしっかり見てもらい、試し履きもするのがおすすめです。私が購入したのはスポルティバですが、軽くて歩きやすく、グリップが効くので軽い力で踏ん張れるところがお気に入りです。こちらにYAMAPの山を歩くインソールをいれるとすごく楽で、今度富士山で試すのが楽しみです!

外傷

怪我も避けたいですよね!こちらもいろいろ対策できます。
①露出を避ける:万が一こけてしまったときに、服を着ているとその分衝撃を和らげることができます。私は日焼け対策も兼ねて、暑い時間でもエアリズムの長袖とサポートタイツを愛用しています。
②ミドルカットの靴を選ぶ:スニーカーでは下山時に足をぐねってしまうリスクもあります。ミドルカットの登山靴が安心です。
③気をつけて歩く:当たり前ですが、気を抜いたり、意識が他のことにいっているとつまづきやすくなります。しっかり地面を見て、気をつけながら歩きましょう。
④ゲーター着用(下山時):特に富士山の下山時においては、砂が靴の中に入ってしまい、怪我までいかなくとも、痛い思いをすることがあります。下山の前に、ゲーターを着用しましょう。
⑤足の爪を切る:爪が長いと靴擦れを起こし、血が出てしまうことがあります。短めにしておきましょう。

寒さ

夜に山頂アタックする際、とても寒いです。頂上は0-5℃、その中でも風が強い日はめちゃくちゃ寒いですし、吉田ルートは混むためあまり進まず、その分冷えやすいです。しっかり着込みましょう。
服装の工夫:詳しくは持ち物編で解説しますが、だいたい下記の感じで着込んでいます。
・上→エアリズム+Tシャツ+ウルトラライトダウン+レインウェア
・下:サポートタイツ+ショートパンツ+レインウェア
・小物:カイロ、手袋(防水)、ニット帽
寒さは日によるのと、下山時はどんどん暑くなるので、脱ぎ着しやすいスタイルがおすすめです。 

熱中症

地上より気温は低いですが、富士山は太陽を遮るものが少ないため、日中は熱中症のリスクもあります。富士山特有の話ではないため詳細は省略しますが、帽子をかぶる、水分や塩分をこまめにとる等の意識は大事です。特に下山時、山小屋が殆ど無いので、必ず頂上で必要な水分を確保しましょう。

天候不良

過去一回だけ、登頂を諦めた(正確にはそうするように山小屋のスタッフに言われた)ことがあるのですが、それは天候不良です。
自分ではどうしようもないものでもありますが、それでも多少は工夫できます。
①天候の良い時期を狙う:富士山に登れるのは夏の期間(吉田ルートは〜)ですが、時期によって天候に多少の違いがあります。こちらについては、申し訳ないのですが、その時期に集中する要因になりうるため、有料版での共有とさせていただきます。
②早めに行動する:山は午後にかけて天気が崩れやすいです。高度順応とゆっくりしたペースで登ることは守りつつ、早めの行動が吉です。
③天気チェック:事前に天気はチェックし、台風が来ていたり、明らかに天気が悪い日は登山を諦めることも一つです。私は主に下記のサイトで天気をチェックしています!

以上、富士山をできるだけ楽に登る方法でした!
改めて洗い出すと本当にたくさんあり、自分でも驚いていますが、不安を潰すことで、安心して、何より少しでも楽に登れる人が増えたら嬉しいです!

そして「結局いつ何やればいいんだ?」という皆さん、有料版になりますが、準備〜当日のタイミングに合わせて、To Do一覧をまとめましたので、ぜひご覧ください!

また、「山小屋の予約が全然取れない!」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。混雑日の予約方法、天気含めたおすすめの時期、推し山小屋、ツアーのバタバタを避けつつサウナやグルメも満喫したい方向けのカスタマイズプラン等、「本当は教えたくない情報」をこちらのnoteで紹介します!

ぜひ、ご覧いただけますと幸いです!

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