Netflix「極悪女王」
すごい映像だった。後半はもうドラマの中に飲み込まれていったかのような感覚だった。「極悪女王」、正直最初の1話ではちょっとダルイなと思ってやめてしまっていたが、2話以降を見てよかった。
プロレスというもののをフィルムで通す
プロレスを普段から見ていないので、特に思い入れもなかったけど
やっぱりこれはプロレス中継でなく、映画だし、見せ方がとてもよかった。
この極悪女王に限らず、プロレスや格闘技の世界にはバックグラウンドがとても重要に言われる。馬場と猪木の因縁など、古巣や新参者、ヒール役など
興行的に作れられた世界観もあったりと、それが「プロレス」と言われているイメージ。
特に80年代あたりの日本では、プロレスだけでなくあらゆる文化が
湧き出た時代だと思っている。
このドラマでもでてくる、ビューティーペアやクラッシュギャルズのように
プロレスラーでもありながら、歌手や役者もやるというスターの誕生は
現代のエンタメの形の祖のようにも見える。
そういったスター誕生の裏で、現れる新たなるスターは既存のイメージをぶち壊すものでなければならない。
そして生まれたのが「悪役ダンプ松本」。
「こうやって生きるしかなかった…」
この台詞は、とても重く受け止めたし、徹底的なヒールになりきった覚悟は
肉体も精神もボロボロになっていったことだろうと想像できる。
悪役を主人公にしたこの狙いこそが、鈴木おさむさんすごかった。
そして徹底した暴力を描き切った現代の深作欣二、白石監督。
唐田えりかさん、剛力彩芽さんがここまでさらけだしたのも視聴者の驚きだったことだろう。二人の役者としての覚悟がえげつなかった。
そして最後にゆりやん。
もちろん女優としてきっちりできているかというとそんなことはないと思う。でもこれはゆりやんでよかったと誰もが納得だったんじゃないかな。
彼女は今後は、世界に出ていきおそらく色んな人を笑わせる人になると思う。そのポテンシャルは今の芸人界では唯一無二の存在。
熱狂と狂気が、人を動かし、時代を動かすことを改めて教えてくれた極悪女王。しびれました。
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