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映画「タイトル、拒絶」感想

監督 山田佳奈 主演 伊藤沙莉

なかなかの骨太の映画だったと思う。
セックスワーカーと呼ぶんだろうか?まあとにかく、そこで働く、いや集うということが適切なのか、女性、そして男性の群像劇。

予告編から伊藤沙莉のブラ姿を出し、強烈なインパクトがあった。
この人には、こういうめちゃくちゃな映画の方があってるわ。
監督は「全裸監督」の脚本も担当していた山田佳奈。
初めて聞いた名前でしたが、劇団「ロ字ック」を主宰している方で
この映画も2013年に初演された舞台の映画化ということらしい。
どうりで、台詞が生生しいし、とがっている印象だった。

「フルーツ宅配便」も同じくデリヘル嬢を扱うドラマだったが
フルーツの方もよかったけど、恋愛や生き方、笑いも含めていたので
楽しめる作品だった。
一方こっちの映画は、この生きづらさを真正面から描いているという印象で
衝撃的な内容になっていた。

伊藤さんもよかったけど、やっぱりマヒルを演じていた恒松祐里さんという女優の方、今回一番印象には残った。
ものすごく演技が上手いってこういうことだと思う。

マヒルという女性は、容姿もキャラクターも男性受けする人気No.1。
マイペースなマヒルは、とにかくお金だけを信じ、誰とでも寝る。
険悪な女性達の言い争いの中で、一人バラエティー番組を見ながら、終始声を出して笑っている。
妹と並んでしゃべっているシーンでは、妹がまた姉と真逆な対象物としておかれていて、鬱屈した妹のしゃべり語りから、自由奔放にかなり辛辣な罵詈雑言を放つ姿が狂気に映った。

インタビューでは7歳のころから子役として活躍されている方らしい。
この映画での注目度は結構半端ないと思う。

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嬢の待機所がメインシーンで撮影されているが
周りのネオンなどが映り込むことを、いろんな光がきれいに魅せてくれる。
待機所から続く階段では、外の光が余計に入るので、非常に美しいシーンだと感心しながら見ていた。

最後も、バッドエンディングな部分にならなかったのは
この映画の救いだった。
こういう世界でも、どうしようもない自分でも、何とか生き抜いてやるぞって思わせる伊藤沙莉の声は、とても力強かった。


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