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あの滝みたいな花火を見にいきたいの

「あのさ、前話したナイアガラの滝みたいな名前のすっごい花火が見られる花火大会どこだっけ?」

「うーん、色々あるけど、ゆちゃんが言ってるのはたぶん新潟の長岡花火じゃない?行く?」


こういう私の些細な言葉やワガママなお願いにちゃんと向き合って欲しい。フットワークが軽くて、思い立ったが吉日!でわくわくすることにスッと飛び込んでいける人。
何の気なしに言い出したことを覚えていてくれて、調べてくれて、行くよ!ほら!忘れ物あったら向こうで買えばいいよって、くしゃっと笑うの。


最高の夏、プチトリップデート。
東京駅の丸の内線の丸ビルの改札口で待ち合わせをして、いざJRに。地下のグランスタでお弁当を買う(きっと選ぶのに迷うので時間には余裕をもって集合する)。デザートは新幹線南乗換え口に近いエキュートでケーキを買う。

新幹線の車内で長岡に着いたら何をするか一緒に考えたり、途中で飽きたら、おのおのイヤホンを取り出してひとりに没頭してもいい。ちょっぴり寂しくなったら肩にもたれて少しだけ甘える。そうしたら優しく片方の耳だけイヤホンを外してくれて「なにどうしたの?眠たい?」って聞いてくれる。私はそれに満足して「うん」とだけ答えて、手を握る。彼はそのまま何も言わずに、でも手は握ったままにしてくれて、イヤホンを元の位置に戻し音楽を聴き続けるんだ。

それか深夜1時くらいに新宿に集合する。私は終電で向かって彼の運転する車に乗り込む。夜の首都高に少し緊張しながら、関越道経由で新潟まで行くのもいい。真夜中の人気のない静かなサービスエリアのコンビニで買ったアイスを頬張る。途中で眠たくなったら車の中で寝て。運転は1時間半おきくらいで交代する。車内でかける音楽は運転する人の特権だから好きなのものを流す。彼はアップルミュージックのプレイリスト。私はYouTubeでおさるのジョージ。(実は最近おさるのジョージをYouTubeで見てるの。ここだけのはなし。)私が運転していると、眠たいのに助手席で頑張って起きてくれていて、でもやっぱり睡魔に勝てなくて寝てしまう。彼が眠っているのに気付いたら、ボリュームを少し下げるんだ。そして寝顔を盗み見てひとり幸せをかみしめるのだ。完璧。


長岡花火はすっごく綺麗で鳥肌が立つと思う。
花火を見ながら、隣の彼を見て、花火に照らされてほんわか赤みを帯びた横顔に目を奪われる。私が見とれているのに気付いて少し恥ずかしそうにこっちを向いて「ほら、花火ちゃんと見な?」って世界一甘く、はにかみながら言うんだ。


まぁ長岡花火行ったことないけど。なんなら恋人と花火大会行ったことないけど。全部妄想だけど。妄想デート。最高。

サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。