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SIerから、PdMプロダクトマネージャーへのキャリア・パスを考えてみた

 元々アクセンチュアでSAPコンサルや戦略策定 ▶ Tech系スタートアップの事業開発支援をしている人が書いた記事です(支援先は、資金調達額1億~50億円超。フェーズはシードからPMF超えたくらい、と多岐に渡る)

はじめに

・対象読者:

・(タイトルにも書いてますが)Sierの開発上流工程の仕事をしているけれども、PdMプロダクトマネージャーになりたい人

・上記の人たちの中でPdMプロダクトマネージャーになりたいけれど、どのようなキャリアパスを描けばよいかわからない人

・ちなみに、SIerの開発上流工程の仕事をしている人とは、具体的には、主にウォーターフォール型の大規模開発で、要件定義~基本設計やプロジェクト・マネジメントなどを行い、特にプログラミングによる開発を行わない人たちを想定しています。

・この記事を読むメリット(①~②):

①: Sierの開発上流工程(主にPMや要件定義などの仕事)からPdMプロダクトマネージャーへの行き方が分かる

②:PdMプロダクト・マネージャーとは何か、PdMプロダクト・マネージャーの役割の復習ができる(プロダクト・マネジメント・トライアングル)

書いてる人 と この記事を書く理由:

 元々アクセンチュアでSAPコンサルや戦略策定 Tech系スタートアップの事業開発支援をしている人です
(主なフェーズはシードからPMF超えたくらいの会社様たち)

・Twitterやっています。アカウントはコチラ

 複数社Tech系スタートアップのCTOやPdMとも、PdMとして必要なスキルや、PdMになるまでのキャリア・パスなどもディスカッションする機会があったので一度自分のためも含めて棚卸しをしたいと思っていました。

 僕は 割とネットワークは広いほうで、僕 自身 SIerに近いかたちで、キャリアを始めたこともあり、また、SIer出身の人に「PdMになるにはどうしたらいいか」というキャリアを相談されることも多いのでこのようなテーマの記事にしました。

そもそもPdM プロダクト・マネージャーとは

それでは、そろそろ本題に入っていきたいと思います。

 そもそも PdM プロダクト・マネージャーとは、というところから始めます。ここに紙幅を割く理由は、人・会社によって求められる役割・定義が結構違うことが多いからです。つまり 目線合わせです。

プロダクト・マネジメント・トライアングルから見るPdMプロダクトマネージャーの役割

 諸説ありますが、ここでは引き合いに出されることが多く、また複数のCTO、CEOと話しても、概ね合っていると感じる 「プロダクト・マネジメント・トライアングル」 に則って人まずは役割を定義(というか先人たちのおさらい)してみます。

 中心にプロダクトがあり、角にはそれぞれ ①デベロッパー(開発者)、② ユーザー、③ ビジネスが位置する構造を表しています。ユーザーが何かしらの課題を持っているとすれば、プロダクトとはそれを解決する使命を持っています。

 プロダクトはデベロッパーなしでは作れません。しかしながら、かといってユーザーとデベロッパーだけが存在すればよいわけではなく、ビジネスとして成立しなければ(つまり儲からなければ)プロダクトは維持できません。

 プロダクト・マネジメントとは、このように3つの観点を持って推進する必要があり、それがすなわち、PdMプロダクトマネージャーの持つ役割とされています。

 また、① デベロッパー(開発者)、② ユーザー、③ ビジネス、三者の間には、図のとおりですが、空白が存在します。つまり、ユーザーはデベロッパーのことはわかりません(当然ですね)。デベロッパーはビジネスのことがわかりません。ビジネスはユーザーのことがわかりません。この空白を埋めるのもPdMプロダクト・マネージャーの役割とされています。

 具体的には、それぞれの間で、以下のような具体的な業務(A~Cに分類)を通じて、役割を担うことになります。

A.【① デベロッパーと ② ユーザーをつなぐ】
 ・UI/UXデザイン
 ・SEO
 ・ソーシャルメディアマーケティング

B.【② ユーザー と ③ ビジネス をつなぐ】
 ・価格設定
 ・売り方
 ・ソーシャルメディアマーケティング

C.【① デベロッパー と ③ ビジネスを つなぐ 】
 ・仕様決定
 ・プロジェクトマネジメント
 ・開発予算管理

 どの程度、どの業務も実施するのかは、組織とプロダクトの状況にも寄ります。例えば、プロジェクト・マネージャーがいる組織なら工程管理は、PdM自体が担うことは明らかに減りますし、UI/UXデザイナーがいればそこも同様です。とはいえ、これで概ねのPdMプロダクトマネージャーの役割がつかめたと思うので次に進みます。

PdMプロダクトマネージャーになる代表キャリア・パターン3つ

やっと今回の記事の本題に入れます。(笑)

 以上を見てきたとおり、PdMプロダクトマネージャーの求められる役割は、(諸説あれど一旦は概ね合意されるという仮定で)プロダクトと組織の成長を推進するために、① デベロッパー(開発者)、② ユーザー、③ ビジネス、三者 をつなぐこととであり具体的には、UI/UXデザインや売り方や価格設定や、開発管理だとしました。

 求められる役割と、それに応じて、必要なスキルも多岐に渡ることがわかりました。しかしながら、そもそもこのようなスキルを全て持ち合わせている人はいるかというと、そんな人はまずいないでしょう。

 そもそもPdMプロダクト・マネージャーとは、先程見たように、三角形のそれぞれがカバーしてない部分を埋める役割であり、その意味では、自然発生的になれるキャリアではないからです。

 現在PdMプロダクトマネージャーの職務を担っている人は、皆どこかしらのタイミングでストレッチやジャンプアップとともに自分の役割を広げてきたタイミングがあります。

 とはいえ、逆に言えば ① デベロッパー(開発者)、② ユーザー、③ ビジネス のいずれかの視点 と 関連する技術を持っている人がPdMになることが多いようです。

つまり具体的には:

① UI/UXデザイナーからPdMになる

② 開発・エンジニアから PdMになる

③ マーケテイングや事業企画からPdMになる

 とういパターンが多いようです。

SIerからPdMプロダクトマネージャーになった人の事例から考える2つの方法

 ① UI/UXデザイナー、② 開発・エンジニア、③ マーケテイングや事業企画から PdMになる人が多いということがわかりました。

 しかしながら、今回の記事のテーマは、「Sierから、PdMプロダクトマネージャーへのキャリア・パス」ですね。

大丈夫です。もう少しだけお付き合いください。(笑)

 それでは、① UI/UXデザイナー、② 開発・エンジニア、③ マーケテイングや事業企画 の経験を持ってない人たちは、PdMプロダクトマネージャーになるのを諦めなければいけないのでしょうか?

いいえ。そんなことはありません。

主な方法は2つあると考えています:

1つ目の方法は、関連スキルを着実に身につけていく

2つ目の方法は、創業期の会社などに飛び込む

1つ目の方法:関連スキルを着実に身につけていく

 1つ目は、今のキャリアが ① UI/UXデザイナー、② 開発・エンジニア、③マーケテイングや事業企画 から離れていたとしても、これらのいずれか、もしくは類似する験値を積んでしまえばよいのです。

 実際にSIierからPdMプロダクトマネージャーになった人のキャリアの例を見てみましょう。

(私の知人ですが、本人を特定できない程度までの解像度で書いています)

■職務経歴サマリ:

・年齢: 30歳
1社目: SIer(トップティア)A社・・・4年
 - システム開発・運用業務・・・2年
 -大手流通CRMの企画にメンバー・・・1年
 -上記システムのUI 設計を経験・・・1年

2社目: Webベンチャー企業 B社・・・1.5年
 -飲食店向け在庫管理サービスのプロジェクト・マネジメント

3社目: Webベンチャー企業 C社・・・3年
 -人事労務関連サービスのPdm
 -事業・プロダクト企画、開発ディレクション~CS構築を遂行

このようなキャリアを歩んでいます。

 この方は、Sierで要件定義の経験(ユーザー)も積んでおり、更に同社にて、CRMの新機能/サービスの企画(ビジネス・ユーザー)の経験と、UIの経験も積んでいます(ユーザー)。

 そのうえで、転職した2社目のベンチャー企業では、飲食店向けの在庫管理サービスの開発においては、開発管理の経験も積みました。
(プロジェクトマネジメント)

 そして、最後の3社目は、正式な職種としても、PdMプロダクトマネージャーとして採用され企画~開発ディレクション~CSまで携わっています。

 このように、もともとは ① UI/UXデザイナー、② 開発・エンジニア、③マーケテイングや事業企画 のいずれでなくても、また関連するスキルセットを持っていなかったとしても、類似する業務を担ったり、職種変更などをすることで、上記①~③の職種ないしは間接的にPdMプロダクトマネージャーに求められるスキルを身につけていくことができるのです。

 また、SIerの場合は、そもそもウォーターフォールではありますが、プロジェクトマネジメント(開発視点)を経験できることが多いです。このような経験を持っているのであれば、PdMプロダクトマネージャーの役割の一つとしての開発工程管理を担える人材として、ダイレクトにPdMプロダクトマネージャーにアプライするのもありでしょう。

2つ目の方法: 一気にジャンプアップする / 創業期などアーリーフェーズの会社に飛び込む

2つ目の方法は、創業期の会社などに飛び込むことです。

 私が知っている例では、もともとは大手SierでITコンサルタント(データマイグレーション)を2~3年やったあとに、創業期のスタートアップに創業メンバーとして参加し、実質的PdMプロダクトマネージャーの職務を担い、その後のキャリアもプロダクトマネージャーとして歩んでいる人を知っています。

 創業期の会社は、人がいないのでやりたい人・手を上げてくれる人にその役割を任せることが多いのです。その意味では、彼にとっては相当なジャンプアップだったでしょうが、彼の例のように一気に役割を広げることができるということもあります。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。言われてしまえば、当たり前の話に聞こえたかもしれませんが、持論としては、キャリアは参考となる他の人の事例=ロールモデルを探すことが大事だと思っています。

 ビジネスの世界において、成功事例や失敗事例を知るということはとても大事だと考えています。

 既にうまくいっている事例があるのであれば、真似をすることは(違法な場合を除いて)悪いことではありません。上手くいかなかった事例を知れば、その道筋は避けることができます。このようなアプローチは、効率的であり合理的であり、PdMプロダクトマネージャーになったとしても当然に求められるとことでしょう。

 今回の記事では、PdMプロダクト・マネージャーという役割を、(一旦の理解として)要素分解しそれらの要素を満たせる具体的なキャリア・パスはどのようなものかという文脈で、2人の実例を紹介してきました。

 特にSIerからPdMプロダクト・マネージャーになりたいと考えている方の参考になれば嬉しい限りです。


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