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数字で見る「ユニクロ vs ZARA」

グローバル低価格ブランドと言われて真っ先に思い浮かぶのが
「ZARA(社名Inditexグループ)」「H&M」そして国内の雄「ユニクロ(社名ファーストリテイリンググループ)」ですが、近年ユニクロがH&Mに追いつき、「ユニクロ vs ZARA」の構図がハッキリしてきました。

今回のnoteでは、この2社の違いを振り返っていきます。

この2社を同じ「ファストファッション」と括るのは浅はかで、そもそも戦略がまるで違います。

ユニクロとZARAの商品戦略の違い

まず、商品戦略が違います。
ユニクロは品番数を規模の割に極端に絞り、大量生産することで1着あたりの製造原価を大幅に下げ、高品質な製品を低価格で提供しています。

新作企画にかける期間は平均1年〜1年半と非常に長く、熟考した商品展開が特長です。
また「ヒートテック」「エアリズム」「ウルトラライトダウン」など機能性商品の展開が特長的で「LifeWear」をコンセプトにファッションではなく生活のアイテム(パーツ)を提供するのがユニクロです。

ユニクロが「少品種大量ロット型」に対しZARAは真逆で「多品種小ロット型」です。
機能性は無く、トレンドや売れ行きを細かく分析し、クイックに商品リリースします。
商品企画から店頭に並ぶまで最短2-3週間を実現しています。
しかも追加発注をしない売り切り型のため、ZARAは他のファストファッションに比べて価格は高いです。

ユニクロの商品戦略 → 少品種大量ロット型
ZARA → 多品種小ロット型

サイズ展開も考え方が違います。
ユニクロは各地域でローカライズを行っているのに対し、ZARAは世界共通サイズ展開しています。
ファストリの粗利率が48.9%で、中国やバングラデシュなどコストの安い国で製造しています。Inditexは56.7%と高粗利です。

製造はほとんど人件費の高いスペイン、ポルトガルで行っていての数字です。

ユニクロとZARAのマーケティング戦略の違い

次にマーケティング戦略の違いです。
ユニクロはスポーツ選手や著名人を起用し、テレビCMやスポンサーなど大々的にプロモーションを行う一方、ZARAは世界的に見ても大きな広告宣伝はせず、店舗での発信を行うことを徹底しています。
商品の頻繁な入れ替えにより顧客への魅力訴求の発信地としています。

営業利益率にハッキリと出ていてファーストリテイリング11.2%に対して、Inditexは16.7%です。
ファストリの売上が2.3兆円に対してInditexの売上は3.3兆円。ちょうど1兆円離れています。
 Inditexの方が売上も利益率も優秀な結果になっています。
ユニクロのZARA超えにはまだまだ時間がかかりそうです。

今後もユニクロは成長率を維持していく。その理由とは?

ユニクロにとって今後のチャンスは大きいです。

まずグローバルの市場で見るとユニクロの海外売上は上がってきているとはいえ、やはり中華圏やアジアの比率が高く、ヨーロッパではまだまだ1,000億円程度です。
ZARAは売上の半数がヨーロッパです。
ユニクロの市場拡大チャンスは大きいでしょう。

逆にZARAはトレンドを押さえたオシャレ着なためユニクロに比べ地方に出店しづらいブランドです。

また、デザイナーズブランドとのデザイン模倣問題で幾度となく訴訟で敗訴を経験しています。
ファッション業界では近年権利問題に注目が集まるため、トレンドを模倣する商品展開の有効性に陰りが出るかもしれませんね。今後も要注目です。

以上、「ユニクロ vs ZARA」の観測をまとめました!
グローバル低価格ブランド2社は比較されることは多いですが、戦略も全く違います。

ファッション小売の奥深さが感じられますね。

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