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2020.08.28 サティ・バレエ《本日休演》の幕間映画のための音楽『シネマ』について

やっと日記が追いついた。
過ぎた日の出来事の詳細なんて書いてたらキリがないし、かと言ってその日取り組んだ音楽を端折って書けば乱暴になる。カメラロールからその日の食事を見つけて書くぐらいになってしまうが、1〜2週間前に食べたものについて書くのもつらい。いま食べたいのがハンバーグでも2週間前のラーメンについて書かなくてはいけない。日記は溜めてはいけない。毎日日記が書ける時間を確保出来る日々が送れるよう祈るしかない。

9月3日に『モグランド』というイベントでヴァイオリン、チェロ、ギターの編成でサティを演奏しますが、そこでの演奏予定の中から『シネマ』の譜読みをしていました。
ピアノ譜で19ページぐらい、演奏時間は約10分となかなかの大作です。本番は5日後なんですけど出来るんでしょうか。

この曲はサティの最後の作品となり、1924年に上演されたバレエ『本日休演』の幕間に上映された映画の音楽になります。こんなタイトルですから、上演される会場には『本日休演』というチラシが張り出されてしまう訳です。想像するだけで面白いのですが、本当に初日は(たしか2日目も)休演になってしまいました。
ダダの詩人・画家ピカビアの台本による映画はずっとナンセンスな映像の連続で、音楽も映像を音で説明するような素振りもなく反復を基本としてひたすら単純だったり奇怪なフレーズが並び続けます。そしてこの映画には屋上からエッフェル塔めがけ大砲をぶっ放すサティの映像も収められています。とても貴重です。この作品がなければ私達は動いているサティを見る事は出来なかったのでしょう。

同じくピカビアの台本によるバレエは優雅な若い婦人を中心に道楽者達が繰り広げるパリの夜会の物語で、その人物に合わせサティは大衆的なシャンソンの引用を用いました。その事についてサティは、「小心者をはじめとする道徳家たちはこうしたテーマを使用した私を非難するでしょうが、そんな人達の意見に関わる必要はありません」という文章を残しています。見習いたい姿勢ですね。
サティは『本日休演』の初演直後から肝硬変を患い聖ジョゼフ病院に入院、肋膜炎を併発し 1925年7月1日に亡くなりました。

幕間のための音楽、シネマ、なかなか生で聴く機会はないと思います。
9月3日、モグランドに聴きに来て下さい。
完全予約制ではないですが、興味ある方は予約のご連絡頂けると助かります。
オープンマイクもありますよ。よろしくお願いします。

国分寺クラスタ『新感覚型ライブイベント・モグランド』
東京都国分寺市本多2-1-11GT本多ビル2F
チャージ+2ドリンクチケットの合計2000円

「サティ特集」
19:30〜 サティ限定オープンマイク
20:00〜 ぶよぶよした本当のモグランドトリオ
21:00〜 オープンマイク(サティ以外も大歓迎)

演奏予定
ジムノペディ第一番
金の粉
ノクチュルヌ第一番
嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ『彼の鼻眼鏡』
サラバンド第一番
ひからびた胎児『なまこの胎児』
「星たちの息子」への3つの前奏曲 第1幕への前奏曲「天職」
風変わりな美女『大リトルネッロ』
バレエ《本日休演》の幕間映画のための音楽『シネマ』

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