見出し画像

配膳ロボットを体験してみた

最近、日本でも導入が進んでいる「配膳ロボット」の体験レポートです。

1. フードデリバリーロボット BellaBotとは?

Pudu Robotics社が開発する、BellaBot(べラボット)。案内から配膳・下げ膳までサービス業務をこなす事ができます。ディスプレイが猫の顔になっており、親しみやすい会話ができるのが特徴です。新型ライダーが採用されており、高さ2cm、正面だと10m先の障害物探知が可能で安全面でも安心の性能。気になるお値段は…一括購入で291万5000円!(※2022年02月23日時点の情報)

【転載】ITmedia ビジネスオンライン>リテール大革命>しゃぶ葉やガストが導入する「配膳ロボ」の実力は?  最先端、中国のロボット事情


2. すかいらーくグループ「ガスト」「しゃぶ葉」1,000店にロボット導入

すかいらーくホールディングスは、'22年4月までに「ガスト」や「しゃぶ葉」を中心に約1,000店の規模でフロアサービスロボットを導入する。顧客満足度の向上と働きやすい職場環境の実現を目的とし、前者については実験店舗でのアンケートでは8割の顧客が評価しているという。

【引用】Impress Watch:「ガスト」「しゃぶ葉」1,000店にロボット導入


3. 「しゃぶ葉」で体験してみた

私が訪れたお店では、お肉の配膳のみを業務として担当しており、ホームポジションであるキッチン前の通路で待機していました。(他の店舗も同様なのかどうか?については分かりません。)

キッチンの入り口付近の通路で待機している様子

3-1. お肉の配膳を担当

「しゃぶ葉」はビュッフェ形式のため、野菜/米/ドリンク/デザートなど、お肉以外はセルフサービスです。テーブルにあるタブレットでお肉を追加注文した時だけ、店員さんの代わりにロボットが運んでくれました
その際、お皿をたくさん重ねて運んでいました。(回転ずしの食べ終わったお皿のように)もしかしたら、今後は「デリバリーロボットにより適した形状の食器が増えるのでは?」と感じました。

利用方法が記載されたメニュー

3-2. ギリギリで人を避ける機敏さ

お客さん1人とロボットがすれ違うことができる幅の通路を、人がゆっくり歩く速度程度のスピードで移動していました。ライダーでセンシングして、ギリギリで軌道修正して機敏によけていました。曲がる際は、後ろから見ると、ウィンカーでわかります。正面で対峙するお客さんは、人を避けるようにロボットを避けていました。UXの観点では、今後はロボットが周囲をセンシングし、すれ違う人に目くばせするなど、周囲と簡単なコミュニケーションが取れるようになれば良いのかもしれない…と感じました。

移動中
背面にはウィンカーを表示 ※テキストも表示可


4. ロボットであるメリット

4-1. ピーク時の人手不足解消

キッチンで用意したお肉の皿を通路のロボットに乗せ、ボタンを押すだけで配膳をしてくれるようです。忙しい時間帯であれば、一定の人手不足解消に役立っているのかな?と感じました。(その辺りの正直な話、店員さんに聞いてみたいですね…)

待機中に店員さんが見るメニュー画面

4-2. 店員さんの接客時間の短縮

店員さんが各テーブルにいく度に発生していた、「食器を下げる」や「お客から呼びかけられて、質問に答える」という従来のタスクが発生しにくい状況が生まれ、店員さんの接客時間の短縮が起きている?と感じました。

4-3. お客さんが急かされにくい

人ではなくロボットが配膳することで、「早くテーブルを片付けて、受け取らなきゃ」と考えることがなくなり、急かされることなくお皿を受け取れる点は良かったです。

4-4. 子供たちの人気者

我が家の子供たちは「ネコさんが来た!」と喜んでいました。(最初だからではありますが…)可愛いらしいキャラクターにすることで、心理的安全性を保っていると感じました。ちなみに、子供がロボットに会いたくて1皿だけ注文したら、店員さんが持ってきてくれました。(心の中で、「ロボットじゃないんかい!」とツッコミました)


5. 導入への課題と予測

「初期投資費用」「広い通路を確保できる、店舗レイアウト」「大規模展開できるチェーン店での導入」「従業員の学習コストと運用ルール」など、事業者側の視点で考えると、まだまだハードルが高いと感じます。
一見、トラブルなどは起きていなさそうでしたが…お客の自分が見ていないところで課題があるんだろうなと思います。

5-1. しばらくは配膳のみに徹する?

ロボット自体に機能があっても、現実的な運用ルールも伴っていないと多くの役割をロボットが担うことは難しいと思います。しばらくは「配膳のみに徹する」という形で、大規模店舗を中心に徐々に導入されていくのではないか?と感じました。

5-2. 店舗デザインも普及の鍵?

例えば、ルンバなどの家庭用掃除機が普及したことで、家具の足の長さに変化が起きました。今後、店舗デザインが変わっていくことが予想できます。2022年北京オリンピックで話題となった、天井を介して配膳する食堂のような、ロボット×店舗デザインによって、ローコストで導入できるような仕組み作りが普及の鍵になるかもしれません…

【転載】朝日新聞デジタル:調理から配膳まで 全自動食堂 北京五輪メディアセンターに登場


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?