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【夏の自由研究】第32回オリンピック競技大会(2020/東京)開会日におけるブルーインパルスの展示飛行について③(事前予行)

前回までの記事はこちら。

7月19日(月) ブルーインパルス飛来日

 7/19(月)に入間基地に到着した12機のブルーインパルス。
 予行が実施されることは事前に報道されていたものの、その実施日及び詳細な時間帯については、密集を避けるため、実施直前の公表とされていた。

 大まかなルートも併せて公表されたが、肝心のオリンピックシンボルを描く場所については明記されておらず、各社の報道ベースで「国立競技場上空」との情報のみがもたらされたことで、詳細な飛行ルートの予想や、Google mapとにらめっこして撮影場所を検討する人たちがSNSに溢れ、もともと自衛隊に興味を持っていなかった人を巻き込んでとても賑やかだった。

 もれなく私も、ルートや地図とにらめっこしていた一人だ。仕事や先約があり、予行の候補日はいずれも参加不可ではあったが、本番当日のための脳内妄想を始めていた。
 初め、私は平成26年(2014年)5月に旧国立競技場で行われた「SAYONARA 国立競技場 FINAL FOR THE FUTURE」での展示飛行を参考に、メインスタンドから一番綺麗な形で見えるように競技場の少し東側に五輪が描かれると予想を立てた。競技場の東側で、かつ視界が開けている場所(写真的にはもちろんのこと、無線をしっかり拾うため)はなかなか見当たらなかったが、神宮軟式球場の噴水広場が条件に当てはまる雰囲気だったので、ひとまずそこを第1候補とすることとした。

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 しかし、この後オリンピックシンボルの描き方についての記事を見つけたことで、その甘い想定は脆くも崩れることとなる。

 ここで書かれていることが正しいとすると、競技場東側で描く場合、進入方向から考えてメインスタジアムからは、○が上に2つ、下に3つとなり、シンボルが逆さに見えることとなってしまう。そのため、上記の自説は早々に撤回し、代替案を検討することにした。

 よくよく考えてみると、開会式は夜であり、展示飛行が行われると思われる日中の時間帯にも競技場内においてはそれらしいイベントの開催予定も無いため、メインスタジアムから綺麗に見えるようにする必要はない。

 …あれ?そういえば、聖火っていつ到着するんだ?

 調べてみると、聖火は最終到着地である都庁に23日(金・祝)の12時34分に到着予定となっている。これだ!

 大体の場所の検討がついて安心したためか、この辺りで急な眠気に襲われ、力尽きてしまった。「具体的な撮影ポイントは予行の様子を見て決めればいいか。」と、キリの良いところで脳内シミュレーションを切り上げ、この日は布団に入った。

7月20日(火) 予行候補日1日目

 翌20日、この日は人間ドックで朝からクリニックへ。電車の中でSNSをチェックするも、入間基地では機体のコックピットにカバーがかけられており、動く気配は無い。正午を過ぎた頃、空自の公式SNSでもこの日は予行を実施しない旨の通知があった。

 この時点で、予行は明日かなと予想していた(22日だと、仮に何かしらのトラブルで予行ができなくなってしまった場合に、ぶっつけ本番になってしまう。)のだが、何と18時ちょうどに公式発表が。結構親切なのね。

7月21日(水) 予行実施日

 21日(水)は在宅勤務ということで、お家でお仕事。普段であれば仕事しながらSNSチェックするくらいの余裕はあるのだが、この日は朝からガンガン仕事が舞い込んできて、それどころではなかった。

 仕事が落ち着いた頃には既に予行が終わっており、SNSには青空の広がる都内をブルーインパルスが華麗に舞う姿が次々とアップされていた。

 そして、肝心のオリンピックシンボルはというと…まさかの代々木公園上空で実施。しかも、報道ヘリに配慮し、5000ft予定のところ、3000ftの比較的低高度で実施したため、地上から見るとかなり巨大でカメラの画角に収まりきらない人が多数いたようだ。なお、NOTAMは高度上限6000ftと通報されており、報道ヘリも一番低いものでも7000ft以上の高度を確保していたので、報道ヘリ側が著しく危険な高度を飛んでいたわけではないのだが、安全のため一定以上の高度差は確保しておきたいとの考えから、3000ftでの実施になったものと思われる。「だったら最初から10000ftくらいの高度上限でNOTAMを出しておけばいいのに」との意見もあろうが、至近に羽田空港もあり、頻繁に離発着を行っていることから、国交省側に認めてもらえなかったのかもしれない。

150500 RJAAYNYX
(4209/21 NOTAMN
Q)RJJJ/QWALW/IV/M/AW/020/060/3546N13939E009
A)RJTT B)2107200320 C)2107230400
D)0320/0400
E)AIR DISPLAY :
1.FLT AREA : AROUND THE LINE CONNECTED BY FLW POINTS
            355200N1393140E 354620N1393740E 354122N1394130E
            353931N1394444E 354236N1394839E 354122N1394130E
            354047N1394254E 354236N1394839E 353931N1394444E
            353738N1393729E 353952N1393138E
            (FUJIMINO-SHI, FUJIMI-SHI, SHIKI-SHI, NIIZA-SHI,
             ASAKA-SHI, WAKO-SHI IN SAITAMA,
             NERIMA-KU, NAKANO-KU, SHINJUKU-KU, SHIBUYA-KU,
             MINATO-KU, CHUO-KU, SUMIDA-KU, TAITO-KU, CHIYODA-KU
             BUNKYO-KU, MEGURO-KU, SETAGAYA-KU, KOMAE-SHI,
             CHOFU-SHI IN TOKYO)
2.HLDG AREA : 354620N1393740E (NERIMA-KU IN TOKYO)
3.USING ACFT: T4 X 12(MAX)
4.WX COND   : VMC ONLY
5.RMK       : FOR FURTHER INFO, CTC JAPAN SELF DEFENCE FORCE
             TEL:03-5362-4816
F)2000FT AMSL G)6000FT AMSL) 

 それでも、やはり都内を飛ぶということは想像以上に多くの人の目に留まることになる。動きが速過ぎて上手く撮れなかったことも、五輪が大き過ぎてカメラに収まらなかったことも、後々いい思い出になることと思う。ブルーが飛ぶことを快く思わない人も一定数いただろうが、俯きがちになるこのご時世に、大勢が空を見上げ、そして笑顔になれる機会をくれたブルーインパルスの持つ力は本当にすごい。

 ちなみに、本番は6機×2編隊の体制で飛ぶことになっているが、予行では6機+1機の1編隊で飛んでいた(羽田の管制官も2編隊で飛んでいると勘違いしていた。)。編成は以下の通りで、本番で各機の前席を担当するメンバーが搭乗していたようだ。
※()内は本番でのポジションを表している。
 (例:村上3佐(B4F)=ブラボー編隊 4番機 前席)

1 06-5784(ノーマル機)  遠渡2佐(A1F)/名久井2佐(A1B)
 2 06-5790(#2)    住田1尉(A2F)/東島1尉(B2F)
 3 06-5787(#3)    鬼塚1尉(A3F)/平川3佐(B1F)
 4 36-5693(#4)    永岡1尉(A4F)/村上3佐(B4F)
 5 16-5663(#5)    河野3佐(A5F)/手島1尉(B1B)
 6 36-5697(#6)    真鍋1尉(A6F)/佐藤1尉(B6F)
 7 16-5666(#4)    江口1尉(B5F)/久保1尉(B3F)

Blue Control(地上統制)   原3佐

 さて、次回はいよいよ展示飛行本番のレポができればと思う…が、もしかしたら横道に逸れてしまうかも。

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