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朝ドラ「虎に翼」の弁護士考察・第7週(信頼できる弁護士ほか)

第7週は、いよいよ寅子が弁護士デビューを果たしましたが、スタートから大きな壁にぶつかる日々。

NHK連続テレビ小説「虎に翼」を視聴して、弁護士目線で気になったことを、毎週noteにしたためています。


信頼できる弁護士

寅子は、「女性かつ未婚」というハードルのもとで、依頼者から信頼を得ることができない日々を過ごしました。寅子は、法律家としては確実に優秀な存在であったにもかかわらず、なぜここまで、依頼者の信頼を得ることに苦労したのでしょうか。

今でこそ、インターネットで様々なクチコミが得られるようになり、「よい弁護士」「悪い弁護士」を選びやすい世の中になりましたが、そのような情報媒体が全く存在せず、そもそもほとんどの人にとって法律事務所が無縁の存在であった当時の事情のもとで、「信頼できる弁護士」を依頼者が見極めることは至難の業であったと思います。

「女性よりも男性のほうが優位」「人間は結婚してこそ一人前」というステレオタイプが根強かった当時の社会事情のもとで、多数の依頼者が、寅子に対して「信頼できない弁護士」というレッテルを貼ってしまったことは、やむを得ないことであったと思います。

ちなみに、私が考える「信頼できる弁護士」は、「依頼者がどのようなことに悩んでいるかを見極めて、多様な視点で解決策を考えられる弁護士」、そして、「簡単にあきらめず、粘り強く依頼者のために行動する弁護士」です。寅子のように、何事に対しても「はて?」と疑問を抱き、難題に直面しても粘り強く立ち向かう姿は、まさに、「信頼できる弁護士」そのものであると思います。

非公開の裁判所

雲野弁護士が弁護人を担当することになった出版法違反事件で、被告人となった落合教授を支持する門下生・大学関係者が、裁判(公判)の傍聴を拒否されるエピソードがありました。

日本国憲法
第82条
 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

戦後に制定された日本国憲法では、「出版に関する犯罪」は非公開で裁判をすることができないことが明文で定められています。これは、市民の表現の自由が脅かされた際に、裁判所が秘密裏に不当な判決を下さないための重要なルールです。

当時の裁判所が、人権救済の観点で、今ほど市民に開かれた場所でなかったことが描かれたシーンでした。

戦争に向かう足音

反ファシズムに対する言論統制が次第に厳しくなり、日本が戦争に向かっていく足音が聞こえてくるようでした。来週は、どのような展開になっていくのでしょうか。

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