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吉原を舞台にした花魁小説です。

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江戸時代の吉原を舞台にした花魁小説です。 自分の好きなアイドル達を見ていて、まるで遊郭の遊女や花魁達の世界のようだと思い書き始めました。安野モヨコ先生のさくらんや、時代小説剣客商…
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#江戸時代

第四十八話

「見張りはうちだけでなく、蔦谷様の方でも用意してくれると言っていたが、遊女総出となると気…

第四十九話

 昼見世は客が少なく遊女達はゆっくり過ごす事が多いのだが、最近は源一郎の幼馴染だという男…

第十五話

 何かを、心から欲しいと思うことなどなかった。 だって、欲しいと願う前に、すべて自分の手…

第十六話

「兄上はまだ帰ってきていないようだな」 「この大事な時に、どうせまた吉原にでも行っている…

第十八話

 その男が視界に入ってき瞬間、万緑の中に、薄紫の花を撓に咲かせた藤の木が突然現れたかのよ…

第二十話

「梅!なんだいその腑抜けな様は!同じ引込みでも、あんたとお凛じゃ立場が全然違うんだ!まと…

第二十一話

 なぜだろう?心から夢見ていた、喉から手が出るほど欲しかったものが確かに今手の中にあるのに、心底喜ぶことができない。幸せを感じられない。  違う、違うのだ。自分はこんな方法で、それを手に入れたかったわけじゃない。 「おまえ、何をそんなにいつまでも固まってるんだ?せっかく吉原に連れてきてやったというのに。ほら、遠慮せずに飲め、今日は全部わたしのおごりだ」 「あ、はい、ありがとうございます」  蔦屋に勧められるまま酒を受け取り口に運ぶも、極度の緊張のため味が全くわからない。そ

第二十二話

 勝鹿派の門下に入り気付けば早10年。相変わらず売れない日々を過ごしていた毅尚は、師匠のつ…

第二十四話

(私のせいだ)  客間に寝かせられている毅尚の頭に濡れた手拭いをあてがいながら、きよは毅尚…

第二十五話

「お披露目の新造だしはこれからですが、この子が引っ込みとして育ててきました花里です」  …

第二十六話(*性表現があるのでご注意ください)

 亡八とは、人間が持つといわれる八つの美徳、仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌、すべてを失っ…

第二十八話

「それじゃあ行ってくるけど、くれぐれも無理しないでね」 「…うん」  いつものように、仕…

第二十九話

「全く、こっちも暇じゃないってのに何やってるんだか」 「…」  もうとっくに来てもいい時…

第三十三

(これは夢か?)  目の前には父慎一郎、弟慎之介。さらに、今や江戸幕府で絶大な権勢を誇る老中間部忠義を始め、錚々たる顔ぶれの男達が厳粛な面持ちで一堂に座し、海の横には、純白の着物に身を包んだ忠義の愛娘華子が慎ましやかに座っている。 「では海様、華子様、三々九度の盃を」  仲人の言葉に、まるで他人事の芝居でも見ているような心地だった海は、まじまじと華子の横顔を見つめた。盃の酒で唇を濡らし、長い睫毛に縁取られた瞳を伏せた華子の顔は目を瞠るほど美しく、よくできた人形のようだ。