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吉原を舞台にした花魁小説です。

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江戸時代の吉原を舞台にした花魁小説です。 自分の好きなアイドル達を見ていて、まるで遊郭の遊女や花魁達の世界のようだと思い書き始めました。安野モヨコ先生のさくらんや、時代小説剣客商…
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記事一覧

第四十六話

 その日、お凛の住み替えはひっそりと行われた。お凛を見送る事は、誰一人として許されず、迎…

第四十四話

「は?何を言ってるんだい?」  源一郎が目覚めたと聞き、喜び勇んで駆けつけたお吉の顔が、…

第四十三話【*性表現と暴力表現があるのでご注意ください】

 もう、どれくらい時間が経ったのだろう?  折檻部屋に入るやいなや、乱暴に両手足を後手に…

第四十二話

「まったく、なんで私があんたみたいなヤブ医者と一緒にいなきゃいけないんだか。もう手当が終…

第四十一話

 紫の上客である蔦屋を引手茶屋まで迎えに行き、夜見世とともに玉楼で始まった宴席で、梅は、…

第四十話

 今夜は中々客入りがいい。  源一郎は、入り口から大広間まで、玉楼一階全体を見渡せる内所…

第三十九話(*性表現がありますのでご注意ください)

「いいかい、あんたはね、玉楼どころか、吉原一だった夕霧や佳乃と並び立つ花魁になる特別な新造なんだ。だからこそ水揚げも、あんたと紫を描いてもらったあの四季の間でできるんだよ。千歳屋様に気に入られたあんたは本当に幸せ者だよ!」 「…」  上機嫌で話し続けるお吉の言葉に不快感を覚えながら、お凛は、このまま大火事でも起きて水揚げなどできなくなればいいと願う。しかし当然、そんな事態は訪れず、お凛はあっという間に四季の間に辿り着いてしまった。  分かっていたこととはいえ、毅尚に絵を習っ

第三十八話

 今朝未明、楼主として数多くの女を目利きし、花魁に育てあげてきた父虎吉が亡くなった。享年…

第三十七話

(もう時間がない、はやく!はやくしないと…)  源一郎と話し終え、襖を閉めて廊下へ出た途端…

「極夜の月」について

こちらは、私が小説を書き始めたきっかけのお話です。 およそ20年近く前、まだ10代の推しがソ…

プロローグ

「おい、知ってるか?あの玉楼の花魁、夕霧が身請けされるそうだ」 「なんだって?相手はどこ…

【第一章】第一話 

 女衒の弥七に連れられてやってきたその子供は、お世辞にも器量よしとは言えず、目じりの切れ…

第二話

 体中が痛い。目を開けると、周りは暗闇でほとんど何も見えなかった。ここはどこだと身体を動…

第三話

 昼4ツ(午前10時)廓の遅い朝が始まる。座敷の掃除は禿達の仕事だが、佐知が様子を見に行くと、お凛の姿が見当たらない。 「お凛!お凛!まったくあの子は、掃除さぼってどこ行ってるんだか」  佐知がお凛を呼びながら下へ降りていくと、丁度起きてきたばかりの源一郎と居合わせた。 「どうかしたのか?」 「座敷の箒がけを頼んでおいたってのに、お凛ときたらまたどこかへ消えちまって。最近逃げなくなったと思って油断してたらこのざまですよ」 「お凛だったらさっき梅と一緒に廊下を雑巾がけして