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勢いだけでクリエーターズマーケットに出展した時の話

去年のことです。
「何か素敵な物を作って、売る体験をしてみたい!」という衝動が止まらなくなった私は、勢いだけでクリエーターズマーケットの出展申込みをしました。


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出展のきっかけ


普段の私はグラフィックデザイナーとして、チラシだったり、ポスターだったりと主に印刷物を作っています。デザインすることが好きなので、仕事はとても楽しいです。

ただ、それらの制作物は「お客さんが形にしたいもの」であり、「私が形にしたいもの」とは異なります。
イラストなどをSNSに投稿して創作したい欲はちょいちょい発散していましたが、「楽しいものを作って色んな人に見てもらいたい」という欲求は、ずっと自分の内に溜め込んでいました。

そんなとき、実家(縫製会社)がアクリルテンプレート制作のために、レーザーカッターを導入したのです。
なんてったって、レーザーカッターはすごい

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ベクターデータだけ用意すれば、紙でもアクリルでも木でも本革でも、思い通りの形に出来る、夢のような機械です。

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遊んでみたらものすごく楽しい。
作業場に引きこもり、親の会社の機械を好き勝手いじり倒しました。
そして、これを使って何か楽しいものを作れないか?もしかしたら商品として売れるかも?と考え始めたら止まらなくなり、クリエイターズマーケットへ出展するに至りました。



ルール決め


まずはものづくりをスタートするにあたって、最低限のルールを決めるところから始めました。

❶ お客さんのニーズ < 自分が作りたいもの・欲しいもの を作る
超普通な事かもしれないですが、いつものデザイナーとしての仕事のやり方とは、「真逆」をしたかったのです。
どうしても「ターゲットが欲しい物とは?」みたいな考え方をしがちなので…
それともうひとつ、レーザーカッターの技術は凄いものだけれど、展示でそれを発揮したいわけではないので「すごい技術ありき」でデザインを考えるのはやめよう、と決めました。

❷支出はトータル5万円まで
出展料やブース設営費や材料費や移動費、諸々含めての5万円。ちょっときつめの予算設定にしました。上記の❶とは違って、ややビジネス的なルールかもしれません。
ブースなんかも豪華に見せようと思えば、金額次第でオシャレな備品がいくらでも用意出来ます。
でも、私のやりたい事はそうじゃないんです。
設けられた制限の中でいかにやりたいようにやれるか、作りたい物を作れるか。

もともと節約が好きだったりするので、このルールの中でも楽しんで考える事ができました。制約がある事で意外とアイデアも出しやすかったように思います。

❸全体のまとまり感は必須
自分の作りたいようにだけ作っていくと、いつかイメージの脱線を起こすかもしれません。
出展時のブースの印象も、制作物に統一感が無いとゴチャつきが出るはず。こういった状態は私的にあまり好きじゃないです。
そこでものづくりにおいては、使用素材とカラーパレットの制限を設ける事にしました。
好きだな〜と思う作品・写真から色を抽出。(irodoriというアプリが使いやすくておすすめです)

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ここから数色にしぼって、アクリル絵具で再現していくことにしました。

❹アイデアを出し過ぎない
「ものづくりするぞ!」と決めたのは出展日の3ヶ月前です。仕事があるので、しっかりと作業できるのは土日のみ。とにかく時間が無い中、自分一人での作業。おまけに手先は不器用です。
アイデア出しは楽しい時間ですが、膨らみ過ぎたアイデアを再現するには、あまりにも時間が足りません。
作りたい物は山ほどあったのですが、今回の出展では「オリジナルアクセサリー」にカテゴリを絞って制作していく事に決めました。
本当は牛革とかも使いたかったなぁ…勉強の時間も欲しかったです。



アイデア出しと素材の調達


アクセサリーを作るぞ!と固まったところで、ひたすらラフスケッチを描きました。

私の好きなモチーフだったり、こんなアクセサリーだったらどんなファッションでもいけるかな〜とか考えたり。とにかく自分が好きなもの、作りたい物をイメージに落とし込みました。

名称未設定のアートワーク

結果的に、私の不器用さや素材に対する知識不足、時間不足が邪魔をして再現出来なかったデザインの方が多いです。でもアイデア出しは楽しい時間だったな〜…


制作に使用する素材は、ホームセンターを回ったりして色んなものを試してみました。

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実家に帰省しまくっては、トライアンドエラーを繰り返す休日。

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実際に作る

アイデアと加工素材が決まって、いざ実作業!…ここからが自分との長い戦いの始まりでした。
何度も書いてますが本当に不器用なんです。そんなんでよくアクセサリー作ろうなんて思ったな、自分。
研磨作業だけで1日が終わったり、接着剤が上手く扱えなかったり、ノルマが達成出来ず徹夜したりと悪戦苦闘の日々でした。
ただ、普段のグラフィックデザインで作る印刷物たちとは違い、アナログで自ら手を動かす「ものづくり」の楽しさは、クリエイターとして忘れていた何かを思い出させてくれるような…そんな感じがして楽しかったです。

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着色テストとアクセサリー台紙の試作。



出展当日

あらかじめ、ブース設営の際焦らないようにと、自宅の机で展示方法を予習。当日朝はどきどきしながら会場に向かいました。
開催地は、中部国際空港ちかくのAichi Sky Expo(愛知国際展示場)というとても広い会場です。経費節約の為に宅配便を使用せず、商品もブース備品も、大きなバックパックに詰め込んで行きました。

出来上がったブースはこんな感じ。

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ルールで決めた通り、世界観の統一みたいな部分は達成出来たかなと思っています。

開場時間までは緊張と不安で、いてもたってもいられないような居心地の悪さでしたが、いざ始まってみると、チラホラ立ち止まってくださるお客さんも増えてきて、嬉しいことに手が回らなくなるほど忙しい瞬間もありました。

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いただく反応がひとつひとつどれも嬉しすぎて、全部ノートに書き残してあります。
なかでも嬉しかったのが、「その発想はなかった」「もう少し高くても売れますよ!」「素朴なのと色味が可愛くていいですね」などなどのご感想ですね…小さなお子さんが私の作品を見て「すご〜い」と言いながら通り過ぎて行ってくれたのも、一生わすれないと思います。
友人たちも遊びに来てくれたりして、かなりあっという間に感じた1日でした。


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BtoCでクリエイティブを発揮するのは、その時が初めての体験でした。(二次創作で薄い本を作ったりした過去はノーカウント)
時間を持て余していた学生のうちに、一度出展を経験しておけばよかったなーと後悔したり。販促・広告をつくる人間が「売り手の立場になってみる」のって結構大切ですよね。

最近アクセサリーづくりなどの活動はさっぱり出来ていないのですが、また心の余裕が生まれた時にでも、何か楽しいものを作りたいな、と考えてはいます。妄想は得意です。
たくさんのイベントに出展されている方々は本当にすごい…如何せんモチベーションを維持するのが大変でした。そんな理由も込みで、次やるとしたら他の人も巻き込んで楽しく出来たら最高だな、と思っています。


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