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#8 地域と文化の可能性

2021.08.24

こんにちは、ささです!自己紹介でも少し紹介しましたが、地域と文化に対する私の考えを少し深ぼってみたので、今現在行っている取材活動と絡めてお話していきます。

私は、文化の喪失による地域コミュニティ崩壊を防ぐため、文化の記録と発信活動を行っています。

文化遺産国際協力コンソーシアムによると、「文化遺産はその文化を共有する集団の歴史・伝統・風習などを集約した象徴的な存在です。そこに属する人々にとって、何ものにも代え難い時空を超越した存在であり、世界の他文化に属する多くの人々をも感動させる価値」を持つものと定義されています。また、国連が2015年に定めた持続可能な開発目標では、ターゲット4.7と11.4において、文化の持続可能な開発のための教育や、文化遺産の保護と保全の重要性について言及されています。これらの事実から、日本国内だけでなく国際的に、地域に継承されてきた文化は保護されるべきで、その保全は社会的にも課題であると考えられているのです。

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SDGs(持続可能な開発目標のロゴ、国連のHPより)

文化の存在は、それが伝わる地域住民にとって、アイデンティティを形成し、人々が同じ地域の住民としてつながりを持つために必要不可欠です。なぜなら、文化は、その土地や人々によって受け継がれてきており、その地域の独自性を表すものの一つであって、住民にとっては共通の遺産であるからです。人々が自身の地元を見るとき、他の地域と比較して見出された特徴が存在することで、愛着を抱きやすいです。しかし近年、文化に対する無関心や後継者不足から、地元への愛着が希薄になってきていると感じています。これまでの生活で文化について耳にしたことはあるけれど、実際に関わり学ぶ機会が少ないため、それらが自分たちの文化であると強く自覚している人が少なくなってきています。少子高齢化や過疎化に伴って、「自分たちの地元には何もない」と感じる人たちが増えてきていますし、私自身高校時代まで地元に住んでおり、同じように考えていました。

しかし、一度外へ出て他の地域出身の人たちと交流すると、地元の特徴がよく見えてきました。また町の中の小さな地区単位で見ると、私が属する地区には獅子舞を踊る芸能が昔から伝わっており、そのお祭りが行われる際には、性別や年代関係なく地区の人々が相互につながりを強めています。このお祭りを通して、自分たちの地区に愛着を持ち、ここに住み続けたいと考える若者もいます。ここから私は、町全体に視野を広げ、文化には地域に愛着を持たせ、コミュニティを存続させる潜在的可能性があると考えました。

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天狗が獅子舞を踊っている様子

こうした経験から、後継者がいなくなり文化自体を継承できなくなると、アイデンティティの喪失、そして地域コミュニティ存続の危機を迎えてしまうのではないかという危機感を私は持っています。つまり、地域コミュニティの存続において、文化の後継者不足が大きな障害となっているのです。このような理由から、文化の保全・保護をより推進し後継者を増やすことで文化を後世へ継承してくべきだと考えるようになりました。また文化の中でも無形文化は、有形のものと比べて形がない故に保全や保護が難しく、料理や芸能は担い手がいなくなってしまうと、再現が困難になります。人々の生活習慣に結びついていた文化を保護していくことは、私たちの先祖が過ごしてきた過去とのつながりを現在の私たちが持ち、地域の人々が連帯を保つために重要なのです。

私が実際に今取り組んでいることしては、地元に伝わる特産品、工芸品、芸能などの文化を取材しデータとして記録を残しつつ、地元の方々に向けて情報発信をすることです。大学を1年間休学して自分の足で現地へ出向き、実際にお話を聞いたり体験したりしたことを記事や画像、動画を使ってデータとして文化に関する情報を保存しています。そして、自身のSNSや地元の情報を発信するポータルサイトを通して、地元の方々へ文化の紹介をしています。この活動を通して、人々が今まで知らなかった情報に触れることで、地元に対する印象が良いものに変わるかもしれないという自身の仮説を立証したいと考えています。「私たちの地元にはこんな文化の歴史があり、こんな想いを持って文化に関わる人たちがいるのだ。」と地元を誇りに思っていただきたいのです。

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実際に文化を体験している様子

記録・発信という方法を取っている理由は、直接的に文化の継承者を確保することよりも、現時点で残存している文化を記録したい、文化の「今」を知ってほしいと思っているからです。少子高齢化の中で、後継者を確保することは非常に難しいことです。理想としては継承したい、関わりたいと思う人が現れてほしいと思っています。この理想が叶えられなくとも、データでの記録によっていつでもどこでも誰でも情報にアクセスすることができ、文化について学ぶことができるようになります。また情報発信をすることで、より多くの方に文化について知ってもらう機会を作ることもできます。後継者不足による本当の課題は、地元の人々が地元への愛着を持てなくなることなのです。したがって、記録と発信の活動によって、十分文化の保存活動を行うことは可能であると考えています。

この方法を取ることを決めた経緯としては、一緒に日本の文化について考えてくれた大学の先輩、初対面にも関わらず同じ地元を愛する者としてアドバイスをたくさん下さった方々との対話です。ぼんやりした私の中の地元に対する想いの解像度を上げてくれ、実現させるための手法を一緒に考えてくれました。改めてこの場を借りて、この方々に感謝し申し上げたいと思います。

文化の後継者不足や地元への愛着が希薄になっている例は、私の地元だけではなく、全国に多く存在していると思います。少子高齢化や過疎化の進行によって、この問題はより深刻になっていくことでしょう。私たちが住む地域のつながりを保ち、私たちの地域コミュニティを守っていくためにも、文化の保全と保護の動きを広めていきたいと思います。


参考文献
文化遺産国際協力コンソーシアム「文化遺産とは?」(https://www.jcic-heritage.jp/heritage/, 最終閲覧日:2021年8月2日).
UN General Assembly, Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development (A/RES/70/1), 2015, (https://www.un.org/en/development/desa/population/migration/generalassembly/docs/globalcompact/A_RES_70_1_E.pdf, Retrieved on August 2, 2021).


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