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「子どもが真ん中」を実践している学校 きのくに子どもの村学園

自治体の認可を受けた小中学校でありながら、宿題もテストもなく、1年を通して一つのプロジェクに取り組むことからたくさんのことを学んでいく「きのくに子どもの村学園」

そのうちの一つ、南アルプス子どもの村小中学校長の 加藤博さんの講演会を拝聴しました。

きのくに子どもの村学園とは

前段でざっくりご紹介しましたが、きのくに子どもの村学園は、県の認可を受けた小中学校、つまり義務教育の学習指導要領に沿う形で運営されている学校です。

そのため先生たちは、年度末になると次年度の「計画」を立てます。
ですがそれは、「○年生の○月にこれこれに取り組ませよう」という大人本位のものではありません。「この取り組みから、子どもの関心はこうやって広がって行くのでなはいだろうか」と予想を立て、あくまでも子どもの興味関心が真ん中に置かれます。

そして、いわゆる読み書き計算的な座学は、あまり多くありません。
カリキュラムの大半を占めるのは、演劇・農業・ものづくりなどのプロジェクト。
小1から中3までの子どもたちが、自分で選んだプロジェクトに1年かけて取り組みます。

こんな取り組み、きのくに子どもの村学園だからできるんでしょうと思われるかもしれません。実際、加藤博さんもよくその質問をされるそうです。
もちろん今すぐ全て同じにするのは難しいですが、エッセンスを取り入れることはできるはず。

どこでも誰でもできること

加藤博さんが教えてくれた、どこでも誰でもできること3つをご紹介します。

その1 うばわない
子どもの失敗経験をうばわない、おとなの「良かれ」をおしつけない。
大人がその子に合ったものを与えてるつもりでも、子どものやりたいことではないなら、その子の自主性をうばっていることになる。

その2 しからない
大人にとって「問題だ」と思うような行動をしている子どもに対しては、実況中継と子どもの気持ちを言語化する。
たとえば、話し合いをする場で騒いでいる子どもに対して「きょうは元気いっぱいだね!」と声掛けする。するとその子は自分の行動を言語化してもらったことで満足し、周りを見渡す余裕が出来る。
その結果、「あれ?周りの子は静かにしているぞ」と気づく。
ここで「今は静かに聞く時間だから、騒がず静かにしなさい」という声がけをするのは、大人が「道徳の代弁者」になっているのに過ぎない。子どもはそれを見抜くので、その場では言うことを聞いたとしても、だんだん「聞いているふり」になっていく。

その3 ホンモノの仕事
プロジェクトの中で作るものはすべて実用に供するホンモノ。
大人が用意したお仕着せの教材からではなく、ホンモノだからこそ学べることがたくさんある。

加藤さんは最後に、「子どもが真ん中」の意味についてこう話してくださいました。
子どもが真ん中というのは、大人のよかれを押し付けるのではでなく、「子どもが求めているものは何だろう?」と常に考えるということ。
自己決定が認められ、自分のやりたいことにめいっぱい取り組める環境があれば、子どもは自分で伸びていく。
加藤さんのお話はとても興味深く、もっとたくさん聞きたい!と感じるものでした。

まずは自分にできること

演会後、感想をシェアする時間があり、そこで公立学校の先生といっしょになりました。

その先生は、子どもが伸び伸びと育つ教育を目指しながらも、日々の業務に追われ、現実と理想の間で悩んでいらっしゃいました。
それでも、最後に「私はまず自分にできることとして、子どもが真ん中なクラスを作ります!」と、宣言されていていらして、その瞬間の笑顔がとてもまぶしく、心強く感じました。

今日ご紹介したきのくに子どもの村学園の他にも、「子どもが真ん中」とした学校は増えてきています。
その中の3校の様子を追ったドキュメンタリー映画「夢見る小学校」が、現在全国で上映中です。

上映規模は大きくありませんが、2022年夏ころからは自主上映も可能になるので、気になる方はぜひチェックしてみてください

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