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わたしの関西旅2023 day1後編~地下街のドーパミン~

梅田を彷徨った日の後編です。


アチアチの串カツ

これぞ大阪の喫茶店や!と勇んで入ったが惜しくも神戸が本拠地のお店を後にし、ようやく旅のメインイベント、いつネキとの久しぶりの再会へと向かう。

集合場所は梅田地下街の串カツ屋さん。
先ほどの朝食に行き着くまでに通りがかったたので、ノールックでスマートに落ち合うことができた。
よく迷わなかったねと褒められたのでニンマリした。

ごはん少なめの串カツ御膳とグラスビールいういいとこ取りで、休日の醍醐味である昼飲酒とともに気持ちよく乾杯。

聞きたいことも報告したいことも山ほどある。
大将が一本ずつ丁寧に揚げて目の前に並べてくれるのを眺めながら、なにかと便利な始まりの合図「最近どうよ?」で弾丸トークの幕開けかと思いきや、亀より遅いテンポで生きているわたしとは正反対のせっかち日本代表ネキは「冷めないうちにはよ食べ」と急かす。
すでにネキは軽く3本は平らげている。
見えない。彼女の行動すべてが速すぎてわたしの動体視力の範疇を超えている。

つくづく、よくここまでテンポの合わないわたしの相手をしてくれるよなぁと感心する。
そうやってボウっと考えているとまた串カツに手を伸ばすのが遅くなり、笑われる。

なるほどアツアツのうちに食べるべきだ。そうだそうだ。
大将にも串カツにも申し訳ないし、出来立てがいちばん美味しいなんて辞書には載ってないが絶対だ。
猫舌だからすぐ食べられない・・・とか文句垂らしそうになったり、猫舌というフィジカルの貧弱さに嫌気が差したり、でもこの時ばかりは咀嚼アクセル全開でアチアチの串カツを味わいまくった。
おかげ様で美味しさが止まらなかった。
いつネキには感謝しかない。
店を出てお礼を伝えるも彼女はすでに5メート先をズンズン歩いていた。

ジュゴンの息継ぎ

大阪は狭くて大きい。
なんでも東京と比べるのもどうかと思うが、街がぎゅっとまとまっていて周りやすい。
大阪にお嫁入りした知人が、自転車さえあればだいたい事は足りると言っていたのを思い出した。
実際に歩いてみてそれをとても感じた。

勤め先の大阪支社が近くにあるからと、そのビルまで連れて行ってもらう。
大阪に着いてから4~5時間、いまのところほとんど地上に出ていない。
しばらく地下街を進んで、もはやここがどこか分からない状態でエスカレーターから地上へ一気に上がる。
眩しすぎてもう何も見えない。モグラの気持ち。

眼が日光に慣れてくると、まだ夏の暑さが激しく残る空気と排気ガスと人間の匂いがぐわしと覆ってきた。
梅田は地下も地上も人が多い。
綺麗に人の波がいく筋にも分かれて、歪むことなく流れている。
人が流れやすいような造りになっているのだろうか。
などと感心しながら大阪オフィスの近くを外から観察。

東京よりぜんぜん綺麗じゃね?
とぶちギレながらふんふんと鼻息荒く、展望デッキまできて一休み。
深く大阪の空気を吸い込んで、まるでジュゴン。久しぶりの酸素。

大阪もまたスクラップ&ビルドが盛んだ。
特にここ何年かはビルドラッシュで、来年にはまた全く違う顔を見せてくれそうな気配がある。見たい。また見たい。とてもそそられる。

そう言えば9月の大阪はアレでざわついていた。

そう、アレと言うのはコレ。

阪神、セ・リーグ優勝おめっとうさん。

どこもかしこもだいたいコレ。ARE。

関西で生まれ育つも、阪神でもオリックスでもとりあえず勝ったらお祭りに乗っかるくらいのいつネキと、高校野球ばかり見ていたらプロ野球は若干アレがあれで良く分かっていないわたし。
せっかくなのでお祭り会場(もとい優勝セール会場)を冷やかしに阪神百貨店へ行ってみたが、神々しく額に入いり高らかに掲げられたサインも、ずらりと並ぶユニフォームやグッズも、いったい誰の何なのか分からなくて恐縮し、また深い深い梅田の地下へと潜っていった。

ダンジョンは終わらない

息継ぎを終えたジュゴンはまた深い海の底へ潜る。
いつネキに導かれるままに梅田の地下街へと舞い戻っていく。
自称梅田の申し子である彼女は歩みを止めない。
この日のために行きたいところリストでも考えておけばよかったのだが、行き当たりばったりこそ旅よなと思っているところがあり、それにネキを巻き込んでしまったもんだから目的地がない。それでも歩くあるく。

であればと、ひとつだけ用意していたカードを発動させた。
喫茶サンシャインである。

三度の飯よりお茶が好きな私にとって、旅先での喫茶店・カフェ巡りは欠かせない。一日に10軒以上廻ることも珍しくない。
この日2軒目の喫茶店、もちろん余裕である。
とは言っても腹の中ではまだ串カツたちが踊っている。
腹ごなしにも梅田ダンジョンの徘徊は有効とのことで、結局しばらく歩くあるく。

話が逸れるが、わたしは空間把握欲が強い傾向にあると思っている。
それは上京してから気づいたことなのだが、いろんな街を巡る中で、位置関係をすべて頭の中で繋げたいという気持ちになった。
地図をすべて把握したくなった。
街に行き、そのあとに地図を見て道や建物の位置を復習し、理解を深める。
それがなんと言うか、楽しいというか、快感になっていった。
ドーパミン的幸福。

そんなことを20年も続けていると東京の全体像が掴めてきた。
それでもなお飽きることはない。
東京と言う都市が賑やかになり始めた江戸時代から続く歴史とともに、繰り返されるスクラップ&ビルドで上書きされていく日々。
それを追いかけていると飽きるどころか、把握したい欲求は増していくばかり。これはもうライフワークとして続けていくしかないな。

ほんなことを思いながら梅田ダンジョンを歩け歩けすると、この20年間はいったいなんだったんだという衝撃にぶん殴られた。
地下街が二重三重になっているからだ。
地下1階を歩いていたら、吹き抜けから地下2階の飲食店街が見える。
実に綺麗な二度見。
なんやて?この手の3Dってあるの?(武者震い)
地下街の平面だけでも広大なのに、多重構造になってやがる。。。

まとめて言うと、東京ではなかなかお目にかかれない複雑な構造の梅田ダンジョンに心奪われた、ということになる。

こうなったら止まらない。
ヘイタクシー!とりあえず飛ばして!逃げて!
と言わんばかりにネキに進め進め!と伝えただただ進んでいく。
いつの間にか頭上の看板がホワイティうめだから、梅田第一ビルに変わっている。続いて第二ビル、第三ビル・・・いくつまであんねん。(第四まであるらしい)

左に右に、どこを曲がっても飲食店が途切れない。
複雑なだけでなく店舗数も桁違い。

とんでもない相手に出会ってしまった。これは把握のし甲斐がある。
勝手に悦に浸り、うっとりしていると喫茶サンシャインに辿り着いた。
と言うかネキが連れてきてくれた。多謝。

宇宙船に乗って惑星の合間を潜り抜けてワープした気持ちになった。

はじめましてミックスジュース

そういえば阪神優勝キャンペーンをやっているから、という理由でサンシャインに行こうとなった気がすするんだけど、そんなことすっかり忘れていた。
積もる話を両手いっぱい抱えていったはずなのに、
何を話したのかもまったく覚えていない。
この、中身のない話ができる相手っていいですよね、と最終的に本記事の着地点を見失ったのでここら辺で関西旅1日目の終了です。

この後は阪急電車に揺られて京都のホテルへ。
ありがとう大阪。ありがとう梅田の申し子。
また来るときも、梅田の地下街だけで一日を過ごしたいです。

お疲れさまでした。

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