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フリーランスライター2年目、営業なしでも“つながり”を生むポートフォリオのつくり方

2022年1月からはじまったフリーランスライター生活。失敗や反省もたくさんありましたが、なんとか1年目を終えました!

改めまして、ライターの村尾唯と申します。私は約2年間の副業ライター活動を経て独立しました。現在は研修会社で時短会社員としても働いており、二足のわらじなキャリアを楽しんでいます。(現状では、稼働も収入もフリーランスのほうがやや多め。来年はどうなることやら)

個人の仕事を振り返ると、副業時代からのリピートのほかに、紹介や新規のお問合せなどでも新たな出会いが広がっていった1年間でした。最近は、営業らしき営業をほぼしていません。

この状態が実現しているのは、ひとえにいつもお世話になっている方、紹介先をつないでくださった方のおかげですが、チャンスを少しでも広げられるように自分自身でもちょっとした工夫をしていました。それは、自分の「できること」と「やりたいこと」をきちんと発信すること。

やっと本題に入りますが、新しいご縁やお仕事を呼び込む際に大活躍してくれたのが自己紹介や仕事実績をまとめた「ポートフォリオ」です。クライアントやライター仲間から「村尾さんのポートフォリオを見てお願いしようと思いました」「わかりやすい!」などとよく言っていただけるので、今回はポートフォリオをつくる際に工夫している点をまとめてみようと思います。

※当方、主戦場がWebのため「執筆した記事がWeb上で公開されている」状態を前提としています
※長文のため、目次や太字を拾いつつ気になる箇所から読んでいただくことをオススメします

この記事は #ライターアドベントカレンダー 参加コンテンツです🎁🎄Twitterでの感想シェア、お待ちしています!(運営:ライターギルド blanks


ポートフォリオは「どんなライターになりたいか」から考えてつくる

全ての記事執筆は真っ白なドキュメントから始まると思います。(毎回絶望しています)ポートフォリオも、今は簡単につくれるサービスなどもありつつ、やっぱり一から項目を埋めていかなくてはいけません。

ポートフォリオをつくろうとしたとき最初に思ったのは、「で、何を書けばいいんだっけ?」。

担当した記事だけをずらずら並べていくのはなんだか味気ない気がする。そもそも依頼側は、どういった情報があれば判断しやすいんだろう……?

手が止まってしまったので、まずは自分がやってみたい領域のお仕事実績が豊富な「こうなりたい!」と思うライターの方のポートフォリオを見まくりました。たぶん、20名分ほど拝見した気がします。

読み込んでいくうちに、「私がもし依頼主だったら、この方にご相談してみたいなあ」と感じるポートフォリオの共通点を発見。たとえば、以下のようなポイントが記載されているといいなと感じました。

・人となりが伝わるプロフィールが記載されている
・本人の「得意」と「今後やりたいこと」が明記されている
・記事がジャンル(媒体)ごとにまとまって掲載されている

言葉にすると当たり前のことですが、今までにどんなお仕事をしてきて、どんなことに興味関心があるのかが伝わると、「この案件を依頼したい!」と思ってもらいやすそうだなと。

なんとなく完成イメージが見えたので、リサーチをもとに見出しを考えてから本文を肉付けしていきました。

掲載記事も、ゴールから逆算してピックアップ

また、掲載記事は「ポートフォリオを見た人にどういう印象を持ってもらいたいか?」の観点で選びました。

私の場合は「インタビューが好きで得意」「個人の物語を深く掘り下げるような記事に携わりたい」「情熱を持って事業に取り組む企業(と、そこで働く方たち)を応援したい!」あたりが伝わると嬉しいな~、というように。

そうして公開したのがこちらのポートフォリオです。

どんな項目と記事を載せるべきかは、書きたいジャンルやご一緒したいお仕事先によって異なってくると思います。自分がどんなライターになりたいのか、ざっくりとした方向性やキーワードだけでも考えてみるとよいかもしれません。

実績が少なくても、大丈夫! 何かしら「自分の書いた文章」を見てもらうべし

「なりたいライター像はあるけど、肝心の載せられる実績がない……!」

と、ポートフォリオ作成にあたってのお悩みを聞くことがよくあります。私もここは悩みどころでした。上にあるポートフォリオのnoteを初めて公開したのが2020年4月。当時はまだお仕事として受けた実績がめちゃくちゃ少なかったんです。

なので、当初は自主企画の取材記事や自分で書いたnote、ボランティアで書いた参加コミュニティのイベントレポートなどを掲載していました。私はインタビューライターになりたかったので、個人的なエッセイよりは「自分の見聞きした情報をまとめる」系のコンテンツを実際に書いて読んでもらえるといいのではないかと考えたんです。

実は、周りの編集さんから「とても熱意と意欲を感じる応募が来たんだけど、どんな文章を書くかわからなくて、お仕事をお願いできるか判断できないんだよね……」という話をけっこう聞きます。

せっかく勇気を出して手を挙げたのに、自分の文章を読んでもらわずにお見送りになるなんて、もったいない!!!

だから、実績が少なくても、何かしら自分で書いた文章を載せておくといいと思うのです。

駆け出しの頃、自主的に書いた記事が大半を占める状態のポートフォリオを片手に、とある編プロさんに突撃したことがあります。オンライン面談の際に「まだご経験は浅いかもしれませんが、こういった文章を書ける方であれば安心です」と言っていただけて、無事採用に至りました。第三者の編集を加えていない状態なので、実力を判断してもらいやすいという側面もあったかもしれません。

とはいえ自主企画を立てるのも一苦労ではあるのですが、お仕事を獲得したい媒体を想定した記事などでもよいと思います。ぜひぜひトライしてみていただけたら……!

ポートフォリオを見てもらうための導線づくりも大事

ここからは、ポートフォリオを公開した後に行った(やっている)ことについても触れていきますね。

さて、ポートフォリオをつくって公開ボタンさえ押してしまえば、めでたくインターネットの世界に放たれます。おつかれさまでした!!

ただ気をつけたいのが、インターネットはまじで大海なので、そのままポートフォリオを漂わせているだけだと、なかなか見つけてもらえないのが正直なところ……。(その点、noteは全記事の末尾に「こちらもおすすめ」欄があって関連性の高い記事が表示される仕組みなので、若干見つけてもらいやすいかもですが)

私の場合は、2つの場所を経由してポートフォリオを見つけていただけるケースがほとんどです。

  1. Twitter(現・X。プロフィールのリンク欄にURLを貼ってます)

  2. 採用プラットフォーム(YOUTRUST、Wantedlyなど)

採用プラットフォームは、自己紹介と職歴を記載する必要があるので、そこも埋めておけるとアクセスしてもらいやすいです。

▼YOUTRUSTはこんな感じで職歴を載せています

え……職歴まで書かなあかんの!? めんど!!!! って思いますよね。私は思いました。これはレアケースかもしれませんが、私は独立を決める前に少しだけ転職活動もしていたので、そのときに「ミートキャリア」というキャリア支援サービスを活用して、職務経歴書の添削をしてもらったのがかなり役に立ちました。

自分のやってきたことって意外と一人で棚卸しするのが難しいので、第三者のサポートをもらうのも一つの手かと。(私は、自分の苦手なことは克服するよりさくっと課金してしのぐタイプ……)

SNSでめちゃくちゃ人とのつながりがあります! という人だったらここまでの対策は必要ないかもしれませんが、ご参考までに。

実績が溜まってきたら、複数の手段で運用&メンテナンスを

続いて、実績が溜まってきてからの運用方法についても紹介させてください。

基本、都度メンテナンス

ライターと一口に言っても、どんな場所で何を書いているかは本当に人それぞれ。仕事をしていくうちに「あのジャンルにも挑戦してみたいな」「当初とは違う方面で自分の強みを見つけた」など、自分のやりたいことやキャリアの方向性が変わっていくことも大いにあると思います。

それから、「みんなに読んでほしい自信作ができた!」という記事も増えてくるでしょう。

なので、今でもポートフォリオの「自己紹介」「できること・やりたいこと」「掲載記事」はわりとこまめにアップデートしています。

1年ごとのまとめnoteも書く

ポートフォリオは、主に自分の代表作(or自信作、もしくはこれからチャレンジしたいジャンルの記事)をざーっと見てもらってどんなライターなのかを理解してもらうための場所なので、全ての担当案件は載せられなくなってきます。

そこで、去年は1年間の実績まとめ記事を個別につくってみました。

ライターさんのなかには、月次の実績まとめ記事を出されてる方もいらっしゃいますよね。私はそこまでマメではないので諦めましたが(笑)、定点観測にもなるのでけっこうおすすめです!

公開可能な全記事を粛々とあげていくページを公開する

さらにさらに、私は公開可能な全記事をまとめたページも公開しています。

いろいろなツールがあると思いますが、私は更新のしやすさを考えてAmebaオウンドにしました。カスタマイズできる方なら、Notionとかもいいかもしれません。

このページは、各種採用プラットフォームとポートフォリオ内にURLを載せ、「最新の執筆記事一覧はこちらをご覧ください」と但し書きを添えて導線をつくっています。

なぜここまでやっているかというと、私が現在担当している案件はクライアントワークが多く、80%ほどがいわゆる「ノンクレジット(ライターの記名なし)案件」だからです。ライター名やSNSが載るクレジット案件であれば、過去に手がけた記事経由で依頼をいただけることもありますが、記名なしの場合はそうもいきません。

なので、ノンクレジット案件で新たなお仕事を始める際には、必ず「ポートフォリオへの掲載可否」「自分のSNSで『書きました』とシェアしてOKか」を伺うようにしています。

ポートフォリオをすみずみまで見ていただいてご連絡をくださる方も多く(お忙しいなかありがとうございます……!)、このページにしか載せていない記事を見てくれてご依頼につながったケースも!

自分が書いたものは、とにかく一覧にしておいたほうがよいな~と感じました。

ポートフォリオをつくって良かったこと

飽き性で根性がなくて面倒くさがり屋の私がこういったポートフォリオの運用を今も続けているのは、「やっておいてよかった!」と感じる瞬間がたくさんあったからです。私が思う、ポートフォリオ作成のメリットを4つ挙げてみますね。

自己応募の心理的ハードルが下がる

まずはこれです。特に駆け出しの頃はさまざまな案件に応募していたのですが、やっぱりクライアントやメディアの方々に最初のメッセージを送るのって、すごくすごくハードルが高いと思うんです。憧れの媒体や企業ならなおさら。どうしたら自分の存在を目に留めてもらえるか、メッセージの文面を考え、一生書いては消し……の繰り返しに陥ったことも数知れず。

その点、ポートフォリオが完成していると、とりあえずURLを記載して「エイヤー!」の応募が可能になります。もちろん、媒体に合わせて自己紹介やメッセージ文などは適宜カスタマイズしますが、いったん「型」をつくっておけるとだいぶスムーズになるはずです。

相手に、自分のことをより深く知ってもらえる

2つ目は、ポートフォリオを通じて私がどんな文章を書くのか、どんなライターなのかを理解していただけること。

自己開示をしていると、新規案件のご相談をいただく際にも「村尾さんの○○の記事を見て~~」「○○のご経歴があると知って~~」「こういうジャンルの実績が豊富なので~~」と、自分のどういったところにピンと来てもらえたのかを明記していただけるケースが増え、その後のすり合わせがしやすくなりました

また、ライター以外の経歴を書いておくと思わぬメリットも。ある企業さんからは、「人材系の会社に勤務経験があるので、いろいろな立場の方とのコミュニケーションがお得意だと思って」と、導入事例記事や経営者インタビューのお仕事をいただいたこともあったんです。

ライターの経験自体は長くなくても、自分の今までの経験は、全て強みになり得るんだなあと思います。

クライアントも、面識のないライターに発注依頼をするのってとてもドキドキされるはずです。お互いに不安なくお仕事をするために、事前に情報提供をしておけるメリットは意外と大きいのではないかと感じています。(もちろん、実際のお仕事で貢献することがゴールですが!)

紹介案件が増える

これは私も少し意外だったのですが、ポートフォリオを見ていただいて声をかけてくださる人たちは、本当に初めましてなケースはどちらかというと少なめで。(もちろん初めましてのご相談も大歓迎です……!)

すでに面識のある学生時代の友人、前職つながりの人から「最近○○のお仕事もやってるなら、こんな案件って相談できる?」とか、Twitterでゆるくつながっている方から「知り合いの企業でライターを探してるけど、村尾さん紹介していい?」とかいったご連絡も多いのです。

お互いに知り合っている状態でも、自分が実際にどんな仕事をしているのか、今はどんなことに興味があるのかって、実はあまり知ってもらう機会がないもの。逆に、私もその方を「発注者の立場である」と認識していなかったということもあって、思わぬご縁につながる嬉しい体験ができました。今までのお仕事、発信しておいてよかった~。

あとは、私の普段の仕事を知っている方が紹介先をつないでくださるときに「ポートフォリオ送っといたよ~!」と連絡をくれることもあります……!(神様)

達成感が得られる

最後は自己満かい! と思われるかもしれませんが、私にとってはけっこう大切なメリットの一つです。

フリーランスをしていると、やっぱり「この先やっていけるのかな」みたいな不安や焦りがふと頭をよぎることも。そんなときに、過去の栄光じゃないですけど、今までに積み上げてきたものに支えられる場面ってわりと多いなと感じている最近です。

私はインタビューライティングのお仕事が大好きですが、取材前はいつもめちゃくちゃ緊張しますし、素敵なお話が聞ければ聞けるほど、その後は「どこの会話もいい……けど全部は書けない……」とか「今回のテーマだとここを割愛しなければ……なんなら一番面白い内容なのに!!」とアウトプットの作業に苦しみます。次はもう原稿を書き終えられないのでは、と毎回震えます。

でも、そんなときに今までのお仕事を振り返ると「やっぱりこの素敵なお話を形にしたい。がんばろう!」と思えます。

また、自分の実績を振り返ると、思わぬ発見につながることも多いです。記事単位でお仕事を受けているスタイルのライターだと、基本的には一つひとつの取材と原稿に全力投球して案件を積み重ねていくと思います。

それらを並べて俯瞰してみると「こういうテーマだと特に燃えるな」「このジャンルは自分の“得意”だと言えるかも!」と、自分が楽しくお仕事ができる、かつ周りに貢献できる領域が重なるポイントを再認識できたり、志向の変遷が追えたりするんですよね。

自分の来た道を改めて振り返ってみるのも、ときに今後の指針やエネルギー源になるかもしれません。


ポートフォリオをつくらないと、絶対に仕事がもらえないなんてことはありません。紹介やリピートの案件が増えてお仕事が軌道に乗ってくれば、口コミや執筆した記名記事も立派な営業ツールになってくれます。

でも、自分のお仕事をまとめた場所をつくっておけると、思わぬところから出会いが広がるかもしれません。PULL型のコミュニケーションツールの一つとして、ぜひ参考になればうれしいです!

今年もあとわずかとなりましたが、残りの原稿がんばりましょうね……!!!(え、皆さんひょっとして終わってる……?)

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