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『神無迷路』人は同時に二つの扉を通り抜けることができるか?

※明確なネタバレはしていませんが、プレイする際にはなるべく情報を仕入れずにまっさらな状態でプレイする事を推奨します。

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『神無迷路』クリアしました。
プレイ時間は真エンドと全実績解除を含めて12時間(4~5時間で終わるという方もいますが、私は何故か12時間かかりました)でした。

■ざっくり紹介

物理学等の科学をベースとして物語が展開していくSFホラーサスペンスです。

また、舞台は実際に日本にある場所をモデルとしており、過去に実際にあった事件を引用するシーンもあります。

かまいたちの夜をリスペクトした作りになっており、静止画と水色のシルエットの登場人物を背景にして、サウンドノベル特有のテキストが表示される形式です。プレイヤーの想像力を掻き立てます。

静止画と水色のシルエットの登場人物を背景にして、サウンドノベル特有のテキストが表示される

また、台詞は全て声優さんのフルボイスとなっています。
このボリュームに加えてフルボイスなのに価格が500円なのは大丈夫なのか?と少し心配になるくらい作りこまれています。

■モデルとなった場所

舞台となる場所は"合戸駅"という駅の中から462段の階段を下りて更にそこから地下2000mまで昇降機で降りた場所です。

その"合戸駅"ですが、実際に群馬県にあるJR上越線の土合駅がモデルとなっています。

実際に土合駅では462段の階段があり、作中でも言及されますが「日本一のモグラ駅」と呼ばれています。

作中の"合戸駅"の背景と実際の土合駅の写真を見比べると、たしかにモデルとなっている事が分かります。

実際の土合駅入口(上記サイトから引用)
作中の"合戸駅"入口


実際の土合駅の462段の階段(下から見た写真。上記サイトから引用)
作中の"合戸駅"の462段の階段(上から見た画像)


■ストーリーのキーとなるもの

平行世界
暗黒物質
二重スリット
宇宙線
液体キセノン
ツングースカ大爆発
千里眼事件/御船千鶴子
・地下2000m
・地下水、水
・加速度センサー
・予知、予感
などなど

上記のワードにピンと来る方は、本作のストーリーをある程度理解する事が出来るかもしれません。(それぞれWikipediaのリンクを貼ったので、気になる方はそちらを読んでみると良いです)

■分かり易いフローチャート

本作はフローチャートを使用し、既に進んだシーンへジャンプしながら、未選択の選択肢を選びながら進めていく事を前提としたゲームです。

その際のフローチャートがとても分かり易く、どこでフローが分岐したかや、シーン毎の選択肢の総数と選択済みの選択肢の数が分かるようになっています。

フローチャートの一部(ネタバレになるため一部しか貼っていません)

また、特定の場面の一部の選択肢には鍵マークが付いており、特定のエンディングを観て対応する"鍵"を取得してからでないと選択出来ないものもあります。

そのため、ある程度エンディングを観る順番は決まっており、だからこそ別のフローで、過去に観たエンディングの内容が影響してくる、といった展開になります。

■感想

プレイする前は、サスペンス物のストーリーだと思っていたのですが、話を進めていくうちにただのサスペンスではない、と気付きました。

実際の科学(物理学、宇宙論、暗黒物質、二重スリット…など)が作中で重要な役割を担っており、それを軸にしてストーリーが展開していきます。

どの用語も分かり易く説明がされており、作者の方はかなりの科学オタクなのでは、と思いました。

序盤に到達するルートでは、聞いたことのある宇宙論の話などが出てくるため、そこから徐々に物語に引き込まれていきました。

いずれも調べてみると空想ではなく本当にある理論だったため、それがどう関わってくるのかが見どころです。

また、ノベルゲームの醍醐味ではありますが、分岐によってストーリーが大きく変わるのが面白いです。

そして、フローチャートがある事によって、選んでいない選択肢はどのシーンにあるのかといった事が分かるため、それを一つずつ埋めていく楽しみがあります。

ストーリーとしては、序盤に本作のベースとなる科学に関する説明や、ストーリーの中で最後まで関わってくる事件の発生などが描かれ、中盤~終盤では、地下2000mの閉鎖空間での殺人事件とその調査・推理が描かれます。

特に終盤ではどの選択肢が真エンドに繋がるのか、を試行錯誤しながら何度もフローチャートをやり直して進めていきました。

また、登場人物たちもリアルな人間性を感じ、最後まで飽きさせません。

特に、霜月との信頼関係はプレイヤーとしても安心できるものでした。

霜月との信頼関係

■最後に

冒頭でも述べましたが、500円で良いのかと思うほど作りこまれており、ボリュームも充分ありました。

マルチエンディングとなっており、真エンドを観るまでには多くの"終わり"を観る事になります。

真エンドはちゃんと意外性のあるものになっているため、ぜひ最後までプレイしてほしいです。様々なエンディングを経てようやく到達した真エンドは、胸に迫るものがあります。


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