毎日超短話341「地上5センチメートル」 #シロクマ文芸部
ただ歩く。ウサギは走っているようだけど、カメは目の前の道をただ歩く。
ただ歩く。ウサギは昼寝をしているようだ。声をかけてみたけれど、ぐーぐー寝息をたてるから、ちいさく「じゃあね」と手をふって。
ただ歩く。角砂糖の丘のアリ、葉蔭の舞台のキリギリス、はらぺこなあおむしが、ダンゴムシを投げてボウリング、落ちた小枝の雨が降る。
ただ歩く。
誰とも競うこともなく、誰とも争うこともなく、地上5センチメートルの風景をただただ見たいためだけに。
詩のようになりました。
ありがとうございました。
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