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【手記的】オノマトペピアノ #毎週ショートショートnote

2歳を半年過ぎた息子にはダウン症がある。発達がゆっくりな故、意味のある言葉はまだ発することができない。けれど、誕生日にあげた「オノマトペピアノ」を使いこなしているためか、不安はない。

「ごはん食べる?」

と聞いたら彼は、ソの鍵盤を鳴らす。

そそそそそ!

とピアノが言うのだ。

「今日は楽しかった?」

ししししし!!

「好きな季節は?」

ミーンミーンミーン〜

「夏が好きなのか」

そそそそそ!

「何して遊ぶ?」

どー!どー!

「これ?」

ふぁ!

「これ?」

ふぁ!

「これかな?」

どー!どー!そ!れ!そ!れ!

他の誰かにはわからないかもしれないが、ぼくは彼と話している。この先、誰かが当たり前にできることが、彼には難しいということがあるかもしれない。それでも「いま」は、ぼくらのものだ。いまを愛すること以外、たいしたことじゃない気がしている。だって彼は、とんでもなくしあわせそうな顔をしているのだから。

らんらんらんらん〜

たとえピアノがなくたって、ぼくには、わかるよ。

(414字)



たらはかにさんのショートショート企画、楽しいお題をいつもありがとうございます。

今回の毎週ショートショートnoteは、ちょっと手記的なものになりました。

ぼくの息子にはダウン症があるのですが、ここに書いた通り2歳半で、まだ会話はできませんし、歩くこともできません。もはやハイハイのベテランで、ハイハイ競走に出たら、きっと圧勝します。

そして、キーボードや、音がなったりするものが好きで、音楽に合わせて体を揺らしてしています。

前は、会話ができないとコミュニケーションが取れないんじゃないかと思っていたんですけど、会話じゃなくても、コミュニケーションって取れるんですよね。

言葉の意味がわからなくても、こちらの言っていることが、ちゃんと伝わっているし、子どもが伝えようとしていることも、わかります(詳細がわかるわけではないけど、感情は伝わります)。

言葉に頼って生きてきたけど、もしかしたら、言葉じゃないものの中にこそ、本当の気持ちがあるんじゃないだろうか。

そんなことを教えてくれています。

そして、とにかくそんな息子を誇りに思っているということが伝わるといいです。


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