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毎日超短話49「下山」

何があったというわけではないが、ひとりで小さな山に来ている。頂上まで登れば達成感みたいなものが得られるだろうと思ったけれど、とくに何かが満たされた感じがない。そんなに苦労して登ったわけじゃないからだろうか。

ねえ、おとうさん、青空ってどこまでも続いていないんだね。

親子連れが会話をしている。
確かに目の前は青空だけれど少し遠くに目をやると、雲が続いているのが見えた。

そうだね、でも雲の上はいつも青空だよ。

そっか、じゃあみんな青空の下なのかー

と子どもは大きく頷いた。

私は下山を始める。
足もとの水たまりに、青い空が映っていた。

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