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「直感」文学 *一瞬の勇気*

 傑(すぐる)は、なんの躊躇いもなく、少し高いその場所から水の中に飛び込んでいった。

 「おーい!お前も早く来いよー!」

 少し離れた場所から届く傑の声に、僕は足を震わせて口を閉ざしたままだ。

 「大丈夫だって!怖いのはその飛び込む一瞬だけなんだから!そこから一歩だけ踏み出しちゃえば、あとは流れの赴くままなんだからさー!」

 傑は、僕を急かすように言葉を投げるけど、

 僕はこの場所から一歩だって動けそうになかったのだから、どうしようもない。

 〝その一瞬の勇気?〟

 それさえあれば、人間怖いものなんてなくなるんじゃないだろうか。

 ただ僕はそう思うばかりで、

 少し高いその場所から、傑を見つめることしかできなかったのだ。

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