「直感」文学 *ねえ、頭の中見せて*
頭の中に入られる。
という感覚を味わったことがあるだろうか。
僕はある。
彼女のユメはいつも僕の頭の中に入ろうと必死だ。
「今何考えているの?」
「今どう思った?」
「ねえ、どうしたいの?」
質問の嵐は、僕を疲弊させ、そして狼狽させる。
彼女がなぜこんなにも僕の頭の中に入ろうとするのか、僕は考えてみるのだけど。
しかし、それで得られるメリットなど存在するのだろうかと、いつだって疑問に残るばかりな訳で。
「だって好きなんだもん。好きな人のことは全部知りたいから」
そう言って笑うユメを見ていて、僕は少し恥ずかしくて、とても嬉しかったりする。
「ねえ、今どう思った?」
そう聞くユメに、僕はなんて答えてあげようかと思考を巡らせる。
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