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Be the person you aspire to be: マーチンルーサーキングの日に寄せて

今日瞑想アプリを聞いていたら、マーチンルーサーキングの日だと知りました。実はもう6年前になりますが、「青い目茶色い目」といドキュメンタリーを見て衝撃を受け、差別と偏見に関する授業を13回ぶっ通しで行ったのを思い出しました。

青い目茶色い目とは

アメリカで行われた社会実験の授業です。アメリカのエリオット先生はまーチンルーサーキング牧師の暗殺に心を痛めていました。でも、それは1968年のアイオワ州。奇しくもわたしが3歳から1年間を過ごし、16歳で半年間留学したアイオワ州は、ほとんどが白人で、有色人種への理解は薄い地域でした。生徒たちにどうしたら理解させられるだろうと考えた彼女は生徒を青い目グループと茶色い目グループに分け、お互いを順番に差別するというとてつもない試みをします。

詳しくはこちら。

子供たちは驚いたことに当然の如くお互いを差別し始め、はっきりと態度に表します。

勤務校では、授業でこの動画を見るように指示されたのですが、あまりの衝撃に立ち上がれなくなりました。かくして授業が始まります。

アルポートスケール


一連の授業の中で使ったのがアルポートスケールです。ステージ1(悪口)、ステージ2(回避)、ステージ3(差別)、ステージ4(身体的攻撃)、ステージ5(根絶、抹殺)。

心理学者のゴードン・オールポートは、1954年に「オールポートの尺度」を作成しました。これは、社会における偏見の現れ方を 社会における偏見の発現を測る尺度です。この尺度には、偏見の5つの段階が含まれています。害を及ぼす度合いに応じてランク付けされています。

C:\Documents and Settings\laurawedekind\Desktop\Prejudice And Allport Scale.doc

この生徒のブログの説明が分かりやすいです。

生徒に出したお題はこちら: 差別と偏見の度合いを表すAllport's Scaleを使ってキング牧師暗殺当時のアメリカでの有色人種の置かれていた状況と、社会実験である『青い目茶色い目』の子供達の状況を分析した上で、子供達の問い、「なぜキング牧師みたいな素晴らしい人が殺されなければならなかったの?」に答える。グループプレゼンを経て、今度は一人一人がブログでアウトプットする。

生徒のブログはMedium、お互いに読めるよう、提出はPadletでした。

心揺さぶられると確実に頭が動き出す

この動画を見て驚かない人はいません。そして、それぞれの立ち位置や発達段階で、自分ごととして考え始めます。

ある生徒は「憎しみが新たな差別を生むこともあるのではないか」と書きました。なぜなら、最初に差別された茶色い目の子どもが逆の立場になると平気で相手を差別し始めたから。

ある生徒は、シャーロックホームズの言葉を借りてこう書きました。
「黒人が差別対象であるべき」と結論づけるための「判断材料」は備わっていない。なのに彼らは推論する。「黒人は私たちに害を及ぼす」と。「“Elementary, All Racists.初歩だよ、レイシスト達。There is nothing more deceptive than an obvious fact.” 明白な事実ほど、誤られやすいものはないよ。」

アルポートスケールを介することによって、歴史の1ページと心揺さぶられる動画が彼ら自身の経験や知識とつながり、自分ごとになった瞬間でした。

Be the person you aspire to be

瞑想アプリの中で聞いた言葉です。なりたい自分になる、目指す自分になる、目指す人物像に近づくというところでしょうか。

この日に考えるのは、黒人差別だけではなく半径5m以内の事象でもいいと思うのです。困っている生徒はいないか、家族のためにできることはないか、電車の中で辛そうにしている人はいないか。そして、エリオット先生やキング牧師のように命がけの取り組みをした人から感じたinspirationをaspirarionに変えていく。

さいごに

エリオット先生が広げた輪は確実に広がっています。子ども=未来。親として、教師として、毎日子どもたちと接していると麻痺してしまうことがあります。でも、考えてみれば彼らが持つ新たなものの見方がまさに未来の世界を作るわけです。未来からの留学生と日々接する中で自分ができることは、貪欲に学び、消化し、アウトプットして彼らに還元していくこと、彼らから学ぶことです。今日は、明日は、何ができるだろう。

Be the person you aspire to be


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