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35人学級でも個別の学びを個々の進度で行う方法(1)ベースとなる授業, 文法編

岩瀬直樹さんのFacebookのスレッドにこんな文面がありました。自分の学級でも毎年いろんな個別学習をやっていたのですが、一度もまとめたことがないので、この際書いてみることにしました。

自由進度の学びやイエナのブロックアワーのような「自分で学習計画を立てて学ぶ学び方」は、ややもすると進むこと、早く終わることがモチベーションの中心になりやすい。
そうなると学びが陳腐化する。そうなっている例がとてもとても多い。AIによる個別最適化も同様。個別化すればよい、という話ではないんだよね。
教師の力量の底が抜けることにもつながる危険性がある。どうすればその壁を越えられるか。いくつか道筋がある。
そんな話を尚人としてました。
ここ大事です。

授業はHOTsを意識してデザインする

これは感覚的なものですが、普段の授業の中でHOTs(Higher Order Thinking)高次思考と呼ばれる、創造や評価、分析を主にしていると、生徒にとってLOTs(Lower Order Thinking)低次思考、特に知識理解に関する部分は自分でやり始めるということです。ちなみに、最初からそれができるわけではなく、半年くらいかけて学びとはどういうことかを何度もクラスで議論します。そのうち、生徒は「自宅でできることを授業でしないでください。時間がもったいないので。」なんて言うようになりました。

先日ブログでも書いたように、授業では同じペースで暗記を強制することは一切していませんでした。例えば、英文法の授業。通常は、教師による説明→生徒による問題演習→教師による解説の順番です。皆さんも、経験があると思いますが、突然「えー、仮定法とはー」とか言われてもピンとこないものです。そこで、生徒に文法知識を得て、まとめ、分かりやすく応用して説明してもらうことにしました。

2015年入学の高校一年生、英語表現の教室より。

1. 文法項目に関する素朴な疑問を出し合う

この写真では別のテーマのようですが、ミニホワイトボードを使って気になることを「せーの」で出します。例えば、「現在完了形はなぜhaveを使うの?」ですが、発達段階によって問い方は異なります。簡単に黒板にまとめたら、生徒たちは調べたいことをチームで調べ始めます。

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2. チームごとに分かったことを発表

概略を発表し、オーディエンスの反応を見ています。このあと、説明動画を作るため、よりよい映像を作りたければここでもらった質問は貴重です。

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3. ロケに行きます

教室には大抵数名しかいません。あとは屋外や空き教室へ。時々気難しい先生の逆鱗に触れるので、教師の仕事の一つは誤りに行って事情を説明すること。

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4. 動画を編集・書き出し

仮定法を選んだ班は、206歳のおばあちゃんが亡くなってしまったと言う設定でした。

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「おばあちゃんがここにいたら、おにぎり作ってくれるのになあ・・・」たまに例文が間違っていることもありますが、何チームもあるので、ここでは全体像を捉えることを優先しています。

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5. WHY-HOW-WHATで説明

1枚目のスライドではなぜ疑問に思ったのか。2枚目以降ではでは動画での説明とスライドでの説明。最後に、さらなる疑問で締め括ります。

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6. SNSで意見の集約・共有

Edmodoを使って、生徒がスレッドを立て、他の生徒がよかった点や改善すべき点、理解などを書いていきます。

生徒がスレッドを立て、生徒が意見していくのがとても大事だそうなのですが、また次回。荒木貴之先生がEdmodo内に常駐して江藤学級を研究されていたのでご紹介させていただきます。

■ プレゼン概要
『非同期型eラーニング環境における調整学習』(前編)

1 to 1のPC環境の実現により、学校の中だけではとどまらず、時間と場所という制約を超えた非同期型の学びが実現されつつあります。教員と生徒が学習用SNSでつながったとき、どのような環境を整えることにより、非同期型eラーニングが促進されるのか。3年間の実証研究の結果を元にお話ししたいと思います



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