しっかりしろツバサ(甘口)

世に本を出すべく小説を書いている人。好きなものは酒煙草ギャンブル(今は休止中)。

しっかりしろツバサ(甘口)

世に本を出すべく小説を書いている人。好きなものは酒煙草ギャンブル(今は休止中)。

最近の記事

ぶつぶつ

 私はキャラクターに感情移入しながら小説を書いている。つもりだが、どんなに理解しようとしても言語化できなかったり、わからなくて延々と悩むことがある。または中途半端に思考や心情を決めつけて、ストーリーが軽くなってしまうことがある。  キャラクターの人生を想像する。  だんだんと涙が出そうになる。  答えの出ないキャラクターは心に深い傷があることが多い。私自身も無傷で生きてきたわけではないが、自分が負ってきた傷などまるで参考にならない。当たり前だ。そのキャラクターの人生と私の人生

    • 【創作】恩返し

       バイトが終わって自宅アパートへ帰ると、玄関ドアを背に髪の長い少女が佇んでいた。10月らしい涼しい風に、暗闇に映える白いワンピースが揺れている。 「うちに何か用ですか?」  いい子は寝る時間だ。恐る恐る声を掛ける。  振り向いた少女はアイドルか女優かという可愛らしい顔をしていて、僕の単純な心臓はまるで恋をしたように高鳴った。  彼女の控えめに色づいた唇が動くだけでドキドキする。 「恩返しにきました」 「え?」 「助けて頂いた」  言っていることがわからない。  美少女ーー

      • 最近のピピピピピーーーーーン

         一年ほど前からずっと、『書けそうなストーリー』に絞って書いてきた。主に他キャラとの出会いによって主人公の人生が好転していく、という話。  そもそも読書を始めたこの二年間で最も読んだのがそういうジャンルの小説であり、それ以外はびっくりするほど読んでいない。ミステリーもホラーもファンタジーも歴史ものも同性愛もぜーんぜん読んでない。生きてきた中で海外小説などは一冊も読んだことないし、ラノベもほとんど読まない。  だから単純に読んだことのあるものを書こうと思った。否、読んだもの

        • 【創作】好きあい

          「剣吾(けんご)君飲んでる?」  赤い顔をした剣吾を挟んで、僕と反対隣りに座る諏訪子(すわこ)さんが陽気に彼の肩を叩く。彼女のサマーニットから見える深い胸の谷間に、剣吾が吸い込まれるように視線をやったのを僕は見逃さない。薄暗い居酒屋で飲み会が始まってから剣吾がソフトドリンクしか飲んでないのも僕は知っている。胡坐をかくときに上になるのが右足だということも、おなかが鳴った時に誤魔化すようにこめかみを掻く癖も、考え事をしていると目を開けたまま寝ているのではを疑いたくなるほどぼうっと

          下手な癖など要らないのだよ。気をつけなければなのだよ。

          下手な癖など要らないのだよ。気をつけなければなのだよ。

          語り掛けのかたちでエッセイを書きたい

           突然だが。私も語り掛け(?)のかたちでエッセイ的なものを書きたいと思うことがある。「~しました」「~ですよね」みたいなやつ。  え、でも恥ずかしくないですか?(←これこれ)  だって誰に喋ってんだお前フォロワーさんも少ないし実のある話もしないくせによお、とか思っちゃう。で、何か偉そうに「~である」とか書いちゃうのである(←これこれ)。  そもそもいつか書いたように文章を人様の前に出すのが強烈に恥ずかしい。下手だから。小説に限らずエッセイも。だからこれは日記である。別名『肥溜

          語り掛けのかたちでエッセイを書きたい

          【創作】座敷童

           高校最後の夏休み、僕は一人で田舎の祖父母の家に泊まりにきていた。父の自室だったという二階の六畳間で寝起きし、蒸し暑く孤独な空間で試験勉強に励んでいた。  児童公園が近所にある自宅とは違い、静かで集中できる。祖母のつくる料理も美味かった。おおむね満足な生活を送っていたが、夜の寝苦しさに少々参っていたことは確かだ。  祖父に相談すると、寝相がいけないのではと抱き枕を貸してくれた。何でも、昨年小腸の良性腫瘍で入院した際に、看護師にアドバイスされて使っていたものらしい。  そのまま

          今更、自己紹介

           突如思い立ち、自己紹介的なものを書いてみようかと思う。 ペンネームの由来:中性的でありきたりなものを選んだつもり 性質:コミュ障、飽き性、不真面目 年齢:30代 血液型:A型 職業:元・医療従事者、現・主婦兼自宅警備員 生息地:田んぼの真ん中 好きな食べ物:パスタ類、辛いもの、ホイップクリーム 嫌いな食べ物:チーズ、白子、牛タン 好きなこと:買い物、散財、ASMR視聴、お香を焚く、耳かき 嫌いなこと:早起き、親しくない人とのコミュニケーション  好きなもの:古道具、ゴツめ

          自分でも卑屈だと思う

           「自分が書いた小説を誰かに読んでほしい!」みたいな意欲的な感情が全くない。仲良しさんの小説を読ませてくれとせがむことはあっても、代わりに私のも読んでね、とは思わない。  だって恥ずかしいから。  読んでいただく価値がないくらい下手くそな小説を書いている自覚があるから。  で、それを読んだ優しい人が一生懸命私を傷つけない感想を考えるのかと思うと申し訳なくなってくる。私自身、真の読書家ではないので、ハズレ小説を読むのにかかる時間や労力は察することができる。間違いなくハズレな作品

          かっこよく生きたいのに間違って転んで挫けてばかりだ。せめて自分のキャラだけは救ってあげたくて、支えになってくれる誰かや何かを創る。私の、もしくは不幸な誰かのもしもに思いを馳せる。実は光属性の創作者なのでは?と考える今日この頃。

          かっこよく生きたいのに間違って転んで挫けてばかりだ。せめて自分のキャラだけは救ってあげたくて、支えになってくれる誰かや何かを創る。私の、もしくは不幸な誰かのもしもに思いを馳せる。実は光属性の創作者なのでは?と考える今日この頃。

          小説を書く人が答える小説に関係なさそうでありそうな50の質問

          フォロワーさんがやっていたのを真似して…… *** Q.1 一番好きな飲み物を教えてください。 冷たいお茶。はんぱねえ飲む Q.2 一番好きな食べ物を教えてください。 トマトソース系のパスタ Q.3 苦手な食べ物を教えてください。 チーズ、白子、牛タン Q.4 なにか集めているものはありますか? 古道具や雑貨 Q.5 最近一番びっくりした出来事を教えてください。 血液検査で疲労を指摘されたこと Q.6 好きなアニメがあれば教えてください。 バジリスク甲賀忍法帖

          小説を書く人が答える小説に関係なさそうでありそうな50の質問

          あまり本を読めない。 読む時間があるなら外出したいと用もないのに車に乗る。 これもしや多動か?

          あまり本を読めない。 読む時間があるなら外出したいと用もないのに車に乗る。 これもしや多動か?

          【日記】コミュ障

          「コミュ障だよね」と、埋めたいほど嫌いなクズ野郎に言われたことがある。自覚がなかったので、心底驚いた。というか自分ではそういう能力はわりかし高い方だと思っていたし、それまでも人にはぶかれたり嫌われずにやってきたように思う。しかも夫に聞いても私はコミュ障だとい言う。  なんか無理してるというか、挙動不審なのだそうだ。  人にそんなふうに思われていたなんて恥ずかしい。辛い。これからどうやって人と関わっていけばいいの。今でも模索している。いや、今の方が困っているし、付き合いの浅い人

          作家志望としてポンコツ過ぎる。本読んでないし。 ていうか作家志望なのか? 『ポンコツ暇潰し物書きもどき』くらいが妥当か?

          作家志望としてポンコツ過ぎる。本読んでないし。 ていうか作家志望なのか? 『ポンコツ暇潰し物書きもどき』くらいが妥当か?

          【創作】詐欺

            女のくせにキャッチボールをしたがるから、塚田圭一(つかだけいいち)は愉快で仕方なかった。高校球児だった彼にとって、キャッチボールは特別な遊びだったし、同時にイップスで投げられなくなった苦い思い出を掘り起こすスイッチでもあった。 「圭ちゃん、早く早く」  何とか声が届く先で、恋人の桜井(さくらい)みなとがグローブのついた手を振っている。所望の通りにボールを投げると、みなとが受け止められなかったボールがフェンスのほうに転がって行った。必死で追いかける彼女の尻を、ドッチボールを

          【創作】I miss you

           見たこともない人間が住んでいた平屋で、レイとジルクは暮らしていた。外壁は蔦で覆われ、庭には放置された草花が窮屈そうに茂っている。  二人は互いの主君の許可も得ずに大地に降り立った。人間を装った生活に馴染むまでは苦労したが、慣れてしまえば天界よりも魔界よりも安全で気楽だった。永らく男二人でいることを不思議がる人間の目もあったが、二人には関係のないことだった。共にいられることが何より幸福だった。    幾度も体を重ねた。  墜ちてきた頃など毎日のように。  レイは汚れのない白