見出し画像

寺嶋由芙オフィシャル・インタビュー⑥好きなものを好きでいつづけるには

さて、続いては、今までの寺嶋さんの記事をリリースの度に寄稿してくれている、めぐるさんです!

アルバム、聞かせていただきました。最近のシングル、ポップというよりは、落ち着いた感じの曲調プラス、ご自身を重ねるような曲が多くて、そこがまた好きです。すごく刺さってきて、いいなぁと思ったんですけど、そこで気になったのが、歌詞がきた時に、ご自身の経験を重ねていくのか、もしくはキャラクターを作っていって、それを歌にのせていくのか気になったので、教えてください!

寺嶋:曲によるので、「あたらしいわたし」とか、「サバイバル・レディ」とかだと、自分っていう感じがすごくして、私の感じで歌える。けど、「君にトロピタイナ」とか、「知らない誰かに抱かれてもいい」だと、なかなか自分に重ねようがないから…。「知らない誰かに抱かれてもいい」の時は、具体的にどんな女の子がどんな恋をしたかのプロフィールを自分の中で考えなさいって加茂さんに言われたので、それを応用して、今回「冬みたい、夏なのに。」とか、恋愛っぽい曲、あんまり自分の中にない要素が入った曲は、妄想を先にしてから、レコーディングに臨むようにしています。

 確かに「知らない誰かに抱かれてもいい」は自分と重ねにくいかなと。(笑)

寺嶋:そうだよね。“(自分と)重ねました”って言われても、オタクもびっくりするよね(笑)

すごい素敵な曲が多くて私はどの曲も好きです。今回のアルバムの中でも「Best Honey」から「Last Cinderella」の流れが、ムーディーで、大人っぽくて、ウィスパーで入っていくみたいな。

寺嶋由芙:オシャレゾーンね。

オシャレな曲、歌っている時に、歌いやすいみたいのはありますか?

寺嶋:歌いやすいのは、「サバイバル・レディ」とか「仮縫いのドレス」とかは割とすっと入ってきやすい曲で。「恋の大三角関係」、「彼氏ができたの」とかは、レコーディングの時よりは、ライブの時の方が勢いでいけるので、踊ってない時に歌うのが難しい曲。踊りの勢いで声出しているところがあるので。「Best Honey」、「Last Cinderella」に関しては、逆に、踊りながら歌うのが難しい。どうしいてもウィスパーボイスだったり、力を抜いて歌うのが、踊りながらだと難しい。ちょっと力を抜いた歌い方で、他の曲と息づかいが違うので…踊ってると思いがけず力が入っちゃったりするけど、踊りながらさらっと歌えるようにしたいの。踊りは力がいるから、下半身はもうとっても力を入れて踊ってるんだけど、歌は涼しい顔で軽く歌ってる、みたいなことを、ライブでできるように、「Last Cinderella」は練習したし、「Best Honey」は今特訓してます。

歌詞の話なんですけど、「Best Honey」はどういう情景で、歌われてるのかなってすごく気になってて。刺さる部分が多くて、いいなぁと思ったんですけど、幻想の世界と思ったので。この曲の自分を中で(歌の世界に)入り込む方法があれば教えて欲しいです。

寺嶋:レコーディングには、編曲のケンカイヨシさんがいらっしゃってて、どういう気持ちで歌いましょうかって話す時間をくれて。私の解釈としては、"公園通り 散らばる花びら”とか、具体的な情景もあるけど、基本は過去のことを歌った曲で、過去に好きだった、“Best Honey”だったあの子を想い浮かべながら歌っている男の人の歌である、と。多分、主人公にとっての“Best Honey”はあの時の彼女だったけど、甘くはない常識を知ってしまって、もうあの頃にはもう戻れない、という切なさ…。今はなんだったら、この主人公には、あたらしい彼女か奥さんもいるだろうなとか、結構そのぐらいまで具体的に話をして。世間の常識から見たらすごい素敵な幸せな、恋人なのか奥さんなのかもいるだろうな、でも心の中では、不安定だったけど幸せだった“BestHoney”との日々が忘れられない…みたいな話を、ケンカイさんと具体的に妄想して。じゃあその気持ちで歌いましょうみたいな。

かなり面白いですね。確かに今言われるまでは、男性目線の曲だったってことが分からなくて、全部ゆっふぃー目線の曲だと思ったんですけど、男性目線の曲だったらなるほどって思ったところがすごくありました。

寺嶋:Honeyが女子だけを指す言葉じゃないのかもしれないけど、なんとなく佐々木さんに曲をお願いするときに、曲調とか私は全然口出しはしてないんですけど、男性目線の失恋の曲がいいですっていうことはお伝えしてて。それがあんまり自分のラインナップに今までなかったから。「君も好きだったんだね、夏」くらいしかないから、男の人の目線の切ない曲があってもいいかなと思って、お願いした経緯です。

ありがとうございます。今回、「みんな迷子」とか、「仮縫いのドレス」みたいな松井五郎さんの歌詞のすごい、“悟りを開いていますね”みたいな歌詞が多くって、特に“純粋なんて大人に使う言葉じゃない"とか、詩の世界だ!と思ったんですが、活動の中で、今回3枚目で、階段を登って行ったときに、見失ったり、壁にぶつかっちゃったときに、どうやって乗り越えてるのかな?っていうのが気になった話です。うまく歌えなかったときにどういう風にするのかな?っていうのと、どうやって持ち直しているのかな?っていうのを知りたいです。

寺嶋:人に聞くかな?レコーディング関係だったら、加茂さんとか、山田さん(テイチクのディレクター)に聞いて。

例えば、「冬みたい、夏なのに。」って曲を作るときい、デシちゃんの最初にくれた歌詞が、もうちょっと主人公の年齢が低い感じがしたというか。こんなに悲惨な恋じゃなくて、 もっとかわいい曲だったんですよ、最初。っていうのをもらったときに、大人の自分からすると曲の世界観がかわいすぎる気がして。どう歌うか馴染まないんですよねって相談したら、じゃあもう変えましょうっていうふうに言ってもらえたりもするから。あんまり、違和感があるのに無理矢理進んで何とか飲み込んで…みたいなものは実はなくて、作ってく中で寄せてもらっている。そういうことをやってもらえるのが、贅沢なとこだなって思っています。

なるほど、ありがとうございます。「冬みたい、夏なのに。」はさっき歌詞だけ読んで、結構ハードな感じでひどいよねって思ったんですけど、曲を実際聴かせてもらえると、かなりポップで、ライブで手拍子しながらの乗れるタイプの曲だなと思ってたので、このギャップがまた面白くていい曲だなと思いながらも、出来上がる工程を聞けて面白かったです。先日、つんくさんのnoteを読ませていただいて、“殻を破っていきましょう”こととか、 新しいことをやりましょう”ってことが今回も結構あると思っていて、やっぱり新しい一歩を踏み出すと、どうしても億劫になっているところがあるなって思っていますと、ゆっふぃーさんの場合は、“よっしゃー当たって砕けろ!”なのか、“ちゃんと頭の中でシミュレーションして進む”のかどっちの方が近いですかね?

寺嶋:シュミレーションかなー。ありがたいことに結構自分の意見を、アルバムもそうだし、その他いろんな活動に関して、めっちゃ尊重してもらえるんです。やりたくないことにそんなにめぐり合わないというか、嫌な意味での、そんなの無理でしょみたいなことがあまり起こらない人生になりつつある。最近はつんくさんにお話させてもらうとか、今度俵万智さんとご一緒するとか、びっくりするようなことは起こっているけど、それは別に自分から掴みに行ってないというか、本当にラッキーでもらってるだけなんで。それを、こういうことしたらびっくりしてもらえるかもとか、面白がってもらえるかもとか、狙って発想できるとこまでいけるようになりたいとは思います。

逆にそういうお話がちゃんとくるとかはすごいなと思っています。私も去年転職して、やりたいことだったけどちょっと違うなっていう、ギャップがあったりしたことがあったので、芸能の世界は、そのギャップが、もっと大きいんじゃないかって思っていて、勝手に思っていたんですけど、今のお話聞いて、やりたいことがちゃんとできていて、次の道進んでいってるところを見せてもらえるというのはとても嬉しいので、これからも応援していけたらと思っています。

寺嶋:ありがとうございます。なんと嬉しいことを。

好きなものがたくさんあって、サンリオのお話とか、好きなものがたくさんあるときに、今はこの時期、今はこの時期みたいのをわたしは結構思うタイプなんですけど、ずっと好きでいると飽きちゃったりすることもあると思うんですね。好きなものを好きでいるときに結構気をつけてることとか、何か気を遣ってることがもしあれば教えてほしいと思います。

寺嶋:あーでも、好きなものに対して、自分のものにできるとは思わない。例えば、サンリオさんとゆるキャラさんとか一緒にお仕事させてもらっても、だから私の意見を取り入れてくださいって運営には思わないタイプのオタクなんで。いただいたものをありがたくもらって、素晴らしものをもらったのでみなさんお裾分けですの気持ちで「マツコの知らない世界」に出る、みたいな。わたし結構、好き勝手に解釈したがるけど、それを運営にどうこうしてほしいって思わないタイプの、距離を取ったオタクだと自分で思っています。

なるほど

寺嶋:自分がつくってないということが大前提にあるから、全然辛くならないっていうか。いただいたものを受けとるのみの気持ちで、キャラクター関係もそうだし、楓浜(パンダ)とかも、私は見守るのみと思っているし、それが楽しい。自分が関わってない楽しさみたいなものを楽しんでいたい。

そうですね。どうしてもエゴが出ちゃったり、よくゲームのアンケートだったり、ここ改善して欲しいって書いたりするんですけど、でも結局それって何か自分のエゴにしか過ぎないようなところはあったんです。

寺嶋:わたし結構そういうアンケートは“今日もありがとうございました”って書いて出すタイプなんで。推しに求めないタイプ(笑)。求めないっていうと、良い言い方すぎるかな、別の人格の人がやっているものだって割り切る。

線引きがうまくできているのはすごいですね。

寺嶋:それが多分自分がいろんなものをずっと好きでいられる理由かな。苦しくなったことがないです。

ありがとうございます。すごく参考になりました。前は昔好きだったなぁというのことを思い出すことが多くて、それに変に罪悪感を覚えることが多いんですよね。

寺嶋:でも対象が人間だとそういうことって起こりうるのかも?同じ人間だと話せばわかるって思っちゃうし、わかってほしいと思うかもだけど、私は対象がキャラとかパンダなので、わかってもらえるわけがないから。彼らの発信を受け止めるのみで、こちらは勝手に解釈して楽しむものだと思っている。

今回色々と、MVもあったと思うんですけど、このMVの撮影すごく楽しかったなとか、逆に大変だったなと思ったりしたことはありますか?

寺嶋:「恋の大三角関係」の時は、「まじ!?」ってずっと思ってました。撮影してくれた、監督の島田さんが、「あたらしいわたし」とか「みんな迷子」とかも撮ってくれてる人なんだけど、基本的に私のことを肯定してくれる人なので、その人のフィルターを通したから、制服っていう案が出てきちゃったんじゃない?って。ドキドキしながら、“島田さんは(制服を)いいって言うけど、世間はどうですかね?”みたいな気持ちがあったけど、みんな喜んでくれたから安心しました。あ、一緒に出た同級生役の子がガチの女子高生だったことにもびっくりしました。

確かにでもあの、その差を感じさせないというか、曲にあってるというのは見てて思いました。

寺嶋:あとは「恋の大三角関係」は、自転車漕いで、めっちゃ坂道のぼるとか…体力的にはこの曲が1番大変だったかな。「あたらしいわたし」と「みんな迷子」は同じ日に撮ったので、朝6時からメイクして、夜中3時に撮り終わって…。なんだったら、その前の日ツアーで神戸に行ってて、帰りながら横浜に泊まって次の朝、朝6時から夜中まで撮影して、さらに次の日朝5時から別の撮影に向かうという。スケジュールがかなりハードっていうのはあったけど、でも楽しかったです。

確かに「みんな迷子」は夜のシーンでしたもんね。

寺嶋:そんなに、撮影が辛い!っていうのはないかな。「君にトロピタイナ」とかも楽しかったし、ダンサーさんがきてくれて。「恋の大三角関係」で虫が多くて怖かったくらいですかね。すごいでっかい、セミとハチの間みたいな謎の生き物が飛んでました。

なるほど。そういうアクシデントはありそうですね。最後に、「サバイバル・レディ」について伺いたいのですが、戦隊モノみたいな印象を受けたんですね。ゆっふぃーの中で強い人って、どういう人を思い浮かべますか?最後に質問したいと思います。

寺嶋:強い人は、自分の機嫌を自分で取れるというか、自分のことをちゃんコントロールできていて、だからこそ人のためにも動けるというか。自分のことは自分で何とかして、よその人まで気を配れるみいたいな。それは優しい人というのと、重なるかもしれないし、頭がいい人っていうのと、重なるかもしれないけど、自分のことをやった上で、誰かのために動ける人になれるといいなっていうのは自分にも思っています。

そうですね。強さって、メンタル的な強さもどうしても思い浮かべてしまいますけどやっぱそういうのって、優しさみたいのもあるんだなって今聞いて思いました。ありがとうございます。

--------------------------------------------------------------------

めぐるさんより、最後に感想いただきました!

この度は貴重なお時間、体験ができてありがたい限りでした。
歌詞をかなり読み込むタイプなので裏話を聞けたことでさらに曲が好きになれました。
また、ゆっふぃーの考え方に触れられたことがうれしかったです。
これからも応援してまいります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?