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「会ったら終わり」といわれてた中学生

アラフォー以上にはヤンキー文化は懐かしく思う人が多いだろう。僕の時代は音楽でいうとハイスタやDragon Ashといったハードコアが流行り、マンガの「特攻の拓」や「カメレオン」やドラマ「IWGP」といったカラーギャングが交錯する時代だった。

中学時代は周りにヤンチャな学校が多く、隣町に行くときなどは命がけだった。なぜなら隣町はその区域の中学生があちこちにたむろしていて、見つかると追いかけられるしボコボコにされたりお金をせびられるからだ。

なので学校内で「あの町のカラオケ○○の辺りはいつもいるからここに行くなら遠回りしてこっちの道から行ったほうが安全」なんてことも言われていた。当時携帯(PHS)が流行り始めた時期ではあったが高知の田舎の学生で持っている人なんていない。だから情報網といえば友達から伝わってくる話で常にアンテナを張っていた。

特に気をつけるべきことは「どこで出会ってしまうか」ではなく、「誰と出会ってしまった」である。隣の中学で「会ったら終わり」と言われる人物がいた。それがトクだった。
身長180cm以上あって体は中学生らしからぬほど体は鍛えられており、タバコはもちろんバイクを乗り回していて、目をつけられたやつは間違いなく病院送り。当然尾ひれ背びれが付いてると思うが、中学生の自分を怖がらせるには充分だった。
自分は運がよくチャリで追いかけられたり、壁一面に並ばされるようなことはあったがトクと会うことはなく中学時代を終えることができた。

そのトクとまさかの高校が一緒になり、クラスも一緒になってしまったときは驚いた。「関わらずに生きよう」そう入学初日に決めていたのに、3年間クラスメイトとして過ごすことになった。しかし、卒業時には誰よりも仲が良くなっていた。中学の時の自分に自慢気に言ってやりたい思いである。

仲が良くなったとき、病院送りにしていた話など中学の時に聞いていた話は本当なのかということを本人に聞いたことがある。全部事実だった。むしろ知らなかった話の方が恐ろしい出来事が多かった。当時本当に出会わなくてよかった。自分の強運に感謝したい。

僕は高校を卒業したあと東京へ。そして23歳の正月に高知に帰ったとき、久しぶりにトクともうひとりの同級生と3人で会うことになった。そのもうひとりの同級生もトクほどじゃないにしても相当悪かった人物。この二人とは中学の時に絶対会いたくなかった。それこそ“会ったら終わり”である。そんな2人と居酒屋で再開し、お互いの近況報告をしあったそのときの会話。

自分「いま二人は仕事はなにしてるの?」
友人A「実家を継いでニラ作りゆう」
トク「おれはJAにおる」

ニラとJA!!あれだけ中学の時に悪かった二人がニラとJAである。バイクの整備士とかなら分かる。違和感がない。ニラとJAは驚く。違和感しかなく目は見開くし脳がついていかない。しかも話は続く

トク「こいつ(友人A)が作ったニラをウチで検品するんやけど、どれも品がいいんよ。他の農家はこれはいいけどこれはイマイチやなってあるけど、こいつんところのは全部いい。」
友人A「まぁ、ウチはハウス(ビニールハウスのこと)にもこだわってるからね」

いやいやいや!!!!ウチらこのとき23歳よ。10年前に「会ったら終わり」とか言われた人がどんな会話よ!!


「文章は高尚なものでなくてもいい」をテーマに何の役にも立たないエッセイを書いています。暇つぶしにどうぞ。


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