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【論文紹介】球速UPのためのベーシックロジックVOl.2

ハンドボールの科学は毎週金曜日に公開!
院生時代の研究テーマが「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」であったので,主にハンドボールの投げる動きに関しての記事が多くなっていくかと思います!しかし,ハンドボールの科学ですから,幅広い分野の研究を紹介していきたいと考えています.是非,明日の練習に!指導に!活かしてください!

文献情報


タイトル
肩甲帯を考慮した投球動作中の肩関節運動の運動学・動力学的解析

著者
中村康雄,中村真里,林豊彦,中溝寛之

ジャーナル
日本臨床バイオメカニクス学会誌(Vol. 25, 2004)

方法
・ProReflex TM MCU-500+でモーションキャプチャ
・対象は104名の投手
・年齢:18.8±6.08歳
・身長:1.72±0.097m
・体重:65.7±12.10kg
・投法:オーバーハンド,スリークォーター,サイド,アンダーハンド(ピッチャー)
・3球以上は投げ,最も球速が大きかった試技をチョイス
・肩に座標系を設定し,それと胸部の座標系とのオイラー角でその動きをみた
・肩甲帯の水平内外転と上方及び下方回旋を分析
・投球腕の手,肘,肩関節に加わる関節力とトルクを計算(ニュートン・オイラー法を使用)
・身体部分の質量などは阿江らのデータを使用
・統計処理:3群以上比較は分散分析,グループ間比較は多重比較.等分散を過程できる場合はボンフェローニ,できない場合はダネットのT3で,2群間の差の比較はT検定

わかったこと!

・肩甲帯の水平内外転の可動域は大きく,約30°程度であった
・肩甲帯は上方回旋されて,リリースにかけて徐々に下方回旋されていくパターンが示された
・年齢別の動作範囲の差に優位さはなかった
・肩関節への各方向の剪断力は各フェーズで様々であったが,フォーム別,年齢別に差はなかった


従来の投球動作分析の欠点?


従来の研究の多くは,肩甲骨の動きなどは考慮せず動きを評価していることが多いです.これは肩甲帯の動きを定量化すること自体が非常難しいからです.今回の研究方法でも確実にその動きを評価できたわけではないのですが,大方の参考にはなるデータです!

投球動作中の肩甲骨の動きとは!?


肩甲骨をやたらめったらストレッチしても,全くもって意味がないというのが,鈴木の考えです.そもそも肩甲骨は骨なので柔らかくなりません.肩甲骨を含めた肩甲帯の動きの良さが投球動作にいい影響を及ぼすのです.この論文のデータから言えば,非投球腕側の足が地面につく時にはすでに肩甲帯は水平外転しています.鈴木がここが肝だと思っています.すなわち,動き出しで全てが決まるということです.上方回線の動きも同様のことがこのデータから言えるでしょう!
また,約30°程度しか肩甲帯が動いていないのに肩甲骨周りの過度なストレッチが必要なのか疑問に思えてきますね.それよりも肩甲骨を含めた胸の中央から腕を動かすようなファンクショナルトレーニングの方が圧倒的に重要であると考えます.全く必要でないのではなく,それだけやってればいい!とはいかないということです!本論でも,投げ過ぎやスキル不足で僧帽筋が硬くなることがあると先行研究を紹介していますし,機能の向上の方が重要なのでは?

肩にかかる力からの怪我予防


特質すべきは内向きにかかる力,それも最大外旋から最大内旋までのその瞬間にとても大きな力がかかっていたことです.この力を分散させるのに,肩甲骨を含めた肩甲帯全体で投げることで,怪我の帽子ができると著者も考察しています!つまり,肩甲帯を動かせる能力を養うことで怪我の防止にもなるということです!
余談ですが,自分の研究で大学ハンドボール選手の試合中のジャンプシュートの肩の外転角度はリリース時に約120°であり,これを金谷ら(2004)の研究を参考に肩甲上腕リズムを考えると,1 : 1.8の比率で肩甲骨の関与が大きくなると予想できますので,肩甲骨が約30°ほど上方回旋したいたのではなきかと推測できます!もし,このように動いていなかったら,肩の怪我に繋がりますね!


まとめ


肩甲骨というより,肩周り全てにフォーカスした機能石なトレーニングをして,柔軟性よりファンクショナビリティを向上させましょう!

ハンドボールを徹底的に学び合えるオンラインスクール「kocs(コチ)」では,ハンドボールの投球動作に関する情報としてZOOMでセミナーしたりしてます!!もし,ご興味があれば,Facebookにてご連絡ください!また,公式Instagram,Twitterアカウントもあるので是非フォローを!


それでは!

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