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「愛でロックを変えたい」―THE KEBABSに会ってきた!

こちらの記事は新型コロナウイルス感染症の流行とその影響によってライブなどの公演や活動が自粛される前の2月にインタビューが行われ、執筆編集されたものです。
THE KEBABSのツアーも当初3月に予定されていましたが、この記事を執筆後、延期を経て中止されています。

2018年11月「THE KEBABS結成」の報。
うれしい気持ちと同時にとても驚いたのを今でも鮮明に覚えています。
私がTHE KEBABSのメンバーを知ったのは、もう10年以上前の2007年頃です。
中でも解散後もいまだserial TV dramaの大ファンで、シリアル活動中からメンバーの各バンド(UNISON SQUARE GARDEN、a flood of circle、U&DESIGN)のライブに行っていました。
だからバンド結成を聞いた時、ドリームチームみたいな印象でワクワクしました。

そのTHE KEBABSが行うインタビュー企画へ応募したところ採用いただいてお話を伺うことができました。

私が「ユーザー」として、好きなロックやバンドに対して「関われる形がないか、力になれることはないか」とずっと考えていたんです。
「ユーザー」の立場から「ロック」は変えられるのか、「ユーザー」がバンドにできることは何かないのだろうか…そんな疑問を持ちながら大好きなバンドの、メンバー佐々木さんと田淵さんと話してきました。

「serial TV dramaに人生変えられた」

―企画に応募したのはTHE KEBABSが好きだからというのに加えて、10年以上前からserial TV dramaが好きで好きで…。解散まで全部のワンマンライブに行くほど好きだったんです。
そうやって「好きでライブに行くこと」は私の生活も気分も一変するほどのパワーがあったし、今でもserial TV dramaに人生変えられたと思っています。
それほどのパワーをくれたバンドや音楽、ロックに「何か恩返ししたい!」「より良くしたい!」って思って…ファンの、聴くだけの立場でできることを考えたんです。ライブレポとかイラストで描いて「私はこれが好きだ」って誰かに伝える…とか。そういう流れでこのインタビューをやってみようかなと。

佐々木:なるほど。

田淵:おもしろいね。

「しょうがないからメジャーデビューしようか(笑)」

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―ライブの時に「飲み会の代わりにライブやってる」っておっしゃってました。

佐々木:そうそうそう。本当にそうっす。

―他のインタビューも拝見しましたが、バンドをやっているのは音楽好きな仲間で集まって遊ぶ時に選んだのが、たまたまバンドだったとそう言う流れで客としても見てきました。
だから今回の1stアルバムが出るって言う時に「メジャーデビュー」って出たのが、ちょっと違和感があったんです。

田淵:…魂を売った!みたいなやつか。

―いや!!CDも会場限定販売で、結成と同じく「ノリ」で出してる印象が強かったので「あれ?」っていう違和感です!

佐々木:ちょっと「本気(マジ)なのか?」みたいな。

―はい。なんでなんだろう?と感じました。

佐々木:すごいシンプルですよ。各メンバーそれぞれ自分たちがメインでやってるところに別のスタッフたちもいて、関わってる人数が多いんです。本当はもちろん自分たちができることで遊んでいくみたいなことを考えていた。けど、やっぱりライブハウスに出たりフェス出ちゃったりすると結果的に必要になるんですよね。
かなり堅い言葉で「窓口」っていうのがあるんだけど「誰に連絡するか」っていう。THE KEBABSのスタンスとして「ライブハウスで3バンド、ブッキングできたけどあと4バンド目がいないんだよなっていうイベントがあったら呼んでください」「それでも良いからライブしたい」って言って。
だけど、それを誰に連絡するかがわかんない。スタッフは多いし、メンバー直接連絡するには「ユニゾンの田淵さんの所」になっちゃう。だったら「ここに連絡すれば良いっていう窓口を決めなきゃね」ってなった。
その時に、テイチクがやるって言ってくれたんで「しょうがないからメジャーデビューしようか(笑)」みたいな感じ。

田淵:しょうがないから(笑)

佐々木:メジャーデビューっていう単語が言いたかったわけじゃもちろんないので…「メジャーデビュー、カッコ笑い」って感じで言ってるっていうか…

田淵:インディーズのままでも全然良かったんすけど…何が一番みんなが嫌にならない形かなって思って。
僕的にはどこのレーベルであれ「バンドをやればやるほど僕らの利益でみんながHAPPY」っていうのをやりたかった。自分のこだわってる所と周りの人達がやってくれるとうれしい所の着地点探した結果「メジャーデビューになったぞ」っていう感じが近いっすかね。

ーなるほど。

田淵:メジャーデビューするってなると、どうしても気を遣ってポスターみたいな予算とかを投入してくれたりするじゃないですか。
予算をかけてくれたからには「ちゃんと恩返しせな!」みたいな気持ちが当然人間だから働くので。このCD不況下で「ちゃんと恩返しできるほど、利益出ますか?」と。そこに慎重になってるが故に「ライブアルバムって聞いたことないからおもしろそう」みたいなアイデアがどんどん出てきたみたいなこともあって。

「あの曲コピーするの楽しいから隙間空いたらやりたい!」

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―私、家に10年くらいずっと「まばゆい」のポスター貼ってるくらい「まばゆい」好きで…

佐々木:エモいな。

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―それをずっと貼っているくらい曲も好きなんです。なんでこの曲選ばれたんでしょう。

田淵:最初のライブの時に、どうせ新曲だらけで客も別に盛り上がりもしねえだろうから、サービスでカバーとか演ったら良かろう。フラッドの曲もやったしユニゾンの曲もやるなら、やっぱ、シリアルだろって言って。「赤いパーカー」とかも…

佐々木:「赤いパーカー」も良いんだよな。

田淵:だけど俺はもう「まばゆい」!「まばゆい」演ろうって言って。元からすごい好きで、対バンしてた時からあの曲を必ず最後に演ってて、僕的にはすごい泣ける曲として思い入れが強かったので。

佐々木:うん。

田淵:1回やったらフラッドとユニゾンは現行で続いているからもうカバーはやらないで良かろうと思って。
「まばゆい」もこの後必ず演るつもりはないけど、あの曲コピーするの楽しいから隙間空いたら演りたい!みたいな感じに近いかな。ちゃんと許可さえ取ってれば僕らは自由じゃろ、みたいなところもあって「まばゆい」は2〜3回は演ったね。

佐々木:演りましたね。勝手に「まばゆい part2」っていう曲も作って盛り上げちゃって…ぜんっぜん「まばゆい」と関係ない曲調で…

―去年最初のライブの2〜3日前くらいに「まばゆい part2」の動画があがって、私の周りのシリアルファンはザワザワして…

田淵:伏線を作るのすごい好き。

佐々木:新井さんは全然恥ずかしがって「演りたくない」ってずっと言ってる。だから新井さんがシリアルの何かを蔑ろにしてカバーしてるとか絶対ないんで。

田淵:俺たちだけグッときてる。ライブ音源の仕上がり聴いたけど、俺2Aメロでちょっと泣いてるもんね。

佐々木:あははははは!こんなにエモさを排除してきたバンドなのに…

田淵:「新井くん聴いて!泣いてる」って言って。「ダサッ」って言って。

佐々木:聴きどころ、ライブ音源に一瞬だけserial TV drama時代を思い起こされる新井さんの絶叫が…

田淵:あ!そうそうそうそう。最後のサビの前に「イエーーーーイ」って。あのテイク。奇跡のテイク。

佐々木:それまで1回もやんなかったのに。

田淵:「まばゆい」を僕らの持ち曲にするぞ!っていう気持ちは全然ない。「客に聴いてもらいたい」とか「今一度シリアルを聴いてくれ!」みたいなそんな誇り高い気持ちも全然なく。

―私はやっぱりライブで聴くことはもう2度とないと思ってたので、最初に演った時も「うそでしょ!!」って思ったし、毎回聴けるたびに「めちゃくちゃうれしい!!!」です。

田淵:確かにね、解散したら聴けないっていうの、もったいない気がする。

「俺は聴かせらんないとこも笑えるかなって思ってたんで(笑)」

―「録音」のライブですが「録音する」ことで普段のライブと違うと、気にしたことはありますか。

佐々木:演奏はバリバリ気にしたと思います。新井さんが「これ」とか言ってたから…

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佐々木:ライブ盤っていうのは70年代のLed Zeppelinから直すの当たり前の世界なんですけど、直す時間ももったいないし嫌だなっていうのあったから丁寧に…2回目とか特に丁寧に…

田淵:でも結局蓋開けてみればそんなにカチカチしすぎてたわけじゃなかったね。割と自由にやってたなっていう印象がある。

佐々木:俺はなるべく歌詞カードと違うことを歌おうと思ってたかも知んないけど。最初、何曲かはしっかり固めてって話をしてたんだけど…

田淵:どうでもよくなってきちゃった…どっちが良かったんだろうね。

佐々木:スタジオ盤と同じことやるようなライブ盤じゃ意味ないし、そもそもライブってそれじゃ意味ないんだから。スタジオじゃできない、お客さんがいてくれるお陰で出てくる言葉とか演奏とかニュアンスとか絶対あって、それはその瞬間のアートなんですね。その瞬間しかできないことだから、超「記録する意味」がある。
だから「ライブ盤がいいな」って思ってたし、直す直さないを別としてもその瞬間爆発してないと録る意味があんまないと思ってた。
メンバーそれぞれこだわりポイントがあるので…聴かせらんないのがあるから編集するって言う人もいるけど、俺は聴かせらんないとこも笑えるかなって思ってたんで(笑)そういうもんでしょ、って思ってやってました。

田淵「その場で起きてること」「ライブハウスで何が起きてるのか」っていうのを知ってもらうのも目的だったと思うんですよね。演奏は間違ってるより合ってる方がいいけど、くらいの感じに思ってますね。

佐々木:結構みんなバラバラの思想持ってるけど、バラバラのままOKでいられると良いなっていうのがなんとなくあるから。ライブ盤録る意味みたいなのが出てるといいなと思いますね。こんなバラバラな人たちなのになぜかシンプルになると合う!っていう。

「みんなの自由が認められるところがロックのいいところ」

―THE KEBABSは客もすごいバラバラな感じがしています。録音のライブの時に隣の男性は腕を組んで聴いていて、私たちは「きゃー」ってはしゃいでいて…

佐々木:それはめちゃくちゃ良かった。みんな曲知らないからそれがあるんだと思う。俺、一番危惧してるのはアルバム出てみんな曲覚えることによってサビでこれになること。

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田淵:みんなが揃っちゃうからなあ。

佐々木:これ結構辛いなって思って。そこを揺さぶれるかは大事にしたいなって思ってます。曲知ってくれてるのは全然うれしいんです。矛盾した気持ちなんですけど。うれしさの半面ドキドキさせたい。俺らもドキドキしたいし。

田淵:わかる。僕らは新人だし誰も曲知らないだろうからできていることが、みんなが知ってる状態でやるってなると「なんかつまんないな!」ってなるかもね。

佐々木:なりそう〜!

田淵:俺はあんまり客の方見てないから大丈夫だろうなって思ってるんですけど、予定調和感出てくると何か違うかもね。

佐々木:その人の反応によってこっちも変わってくるし、お互いそれが高まってくのがライブの良いところだと思う。いてくれて最高に嬉しいんだけど、それがルールっぽくなってきたり「いつもこの感じだなぁ」ってなるとお互いつまんない気が…ドキドキがあってほしいなみたいなのはある。

―ライブを見ている側としてもクラップや掛け声の「お決まり事」ばかりだと、みんなでやることが好きな人たちには良いと思うんですけど、違和感を感じる瞬間はあります。

佐々木:全部それだとね。

―そうなんです。学校の授業みたい。

田淵:俺ロック好きだけど「ライブってあの手拍子とかみんなで一緒に歌わなきゃいけないやつでしょう」っていう理由で行かない人、いるような気がしてるんです。せっかくロックに傾倒しかねなかった人をひとり掬えなかったことになる。そういう人に対してどういう風にやればいいのかなっていうのは結構考えるね。

佐々木HiNDSっていうスペインの4人組バンドが日本に来た時に「Clap!」って言ったら、みんな一斉にやり出したのがびっくりしたって言ってて…みんなにやってほしいって言ってないんだけど、みたいな。その軽さとそのいい加減さが俺、ロックにとって大事だと思う。
歌詞で「踊れるやついるか」とか言ってるけど、本当に全員に同じダンスしてほしいわけじゃない。その象徴がこないだの「猿でもできる」のMV。みんな変なダンスでバラバラでよくて、サビで手を挙げなくても良いし、俺が歌えって言って歌ってなくてもOK。
バランス感覚だと思うんだけど、HiNDSのその感想はすごい日本のライブ文化象徴してるなって思って。

田淵:確かに、あれはなかなか変わらないもん。

佐々木:一体感が気持ちいい瞬間ってのも絶対あるから、それは別に悪くないし、そういう時間はあって良い。だけど画一的になっちゃうとつまんないっていうのは同じことを話してる気はするな。

田淵:僕は客として見に行ってるライブで、みんなバラバラな動きをしているライブが楽しいって思っていて…僕はずっとリズム取って踊っているんですけど…僕らの世代のバンドのファンの子たちのライブとかに行くと、みんなそもそも足動かないんですよね…最近は手しか動かない人が多い気がする。

 佐々木:一番好きなAメロで超盛り上がってもいいのにね。「このAメロは最高なんだ!」ってあるじゃないですか。

田淵:(笑)バラードで手を挙げてもいいし。
みんなの自由が認められるところがロックのいいところだと思っているので。なるべくロックバンドがライブやってる限りはみんな「そんな気兼ねなく自由な所作」を取れると良いなって思ってはいる。THE KEBABSでライブやる時はそうであってほしいなと。

佐々木:うんうん。

田淵:その空間を作ってあげるのはこっちの役目になっていくから。どうやればいいのかわからんすけど、やっぱりTHE KEBABSやっててすごく思うのは曲のシンプルさからなのか、体を動かしやすいのでは?っていう予感はあるね。

佐々木:1番歌ったら2番歌詞一緒だからみんなわかってる、みたいなね。

田淵:曲のメロディとか歌詞がいいってわかんなくても体動かしてれば1時間くらい経って終わるみたいな。それは結構THE KEBABSがやるべきライブとして近いのかなって思っている。

佐々木:この1年半くらいすげえ楽しかったのはそれがデカくて、みんな知らない曲なのに2時間楽しめるじゃんって思って。でもそれで本当いいんだよなぁ。
リリースしてそこが新しいことになっていくと思うんです。本当矛盾した気持ちなんですよ。曲を覚えてくれてうれしいっていうのは全然あるんだけど、それだけじゃない何かをこっちがちゃんと作っていきたいって思っています。そんな真面目な話を(笑)

田淵:いやいやいや。結構大事。

佐々木:なんかできちゃう気はする。

田淵:好みを限定したりこちらが命令したりするつもりは全然ないんですけど、自由度って低くなっている。
結局みんなただ聴いて、ただ手拍子してるだけだなぁって。そういうのもあって最近「より自由であれ!」とは、より言うようになってきたっていう自覚はあるかも。

佐々木:紐解かれたらこういう言葉になるけど、THE KEBABSはステージ上がった時にそれを説明しないでもみんなに伝えられるバンドだなって思ってる。「なんでもいいんだ、自由でいいんだ」って。そういう感じを大事にしていきたいなって。

田淵:THE KEBABSのライブは特に客に何かを投げかけるつもりがないので…「なんか大きい音出せてうれしい!」で成立する純度の高いバンドがもっといていいんじゃないかなって思ってた。だからTHE KEBABSやる時にはあんまり何も考えないようにしているかな。

佐々木:ステージあがっちゃったらね。あがるまでめちゃくちゃ考えているから。

田淵:セットリストのこととかめちゃくちゃ考えてる。

―おわりに

serial TV dramaに人生が変わるくらいのパワーをもらって、10年以上ずっとそのお礼をしたくて「音楽、ロックやバンドのためにできること」を探してきたように思います。だから、なんでも良いから何かしら返せるんじゃないかっていう場面に出会えると、私はとてもうれしかったんです。
でも「ユーザーがバンドのために何かできる」なんていうのは「エゴだな」とも考えていました。

インタビューの後、高崎のライブに行きました。結局私は「大好きなバンドが楽しそうに笑ってすごいプレイしてること」が何よりうれしいことだとも思いました。ものすごく根本的なことなのにあんまり実感したことなかったのかもしれません。

serial TV dramaの時も周りの色んな声に「どうにかしたい」とか、サポートしてるミュージシャンのライブでも「元々の空気を壊さないように」とか、私は半分無意識で色んなものに気を遣って考えながら動いてきたのだと思います。

佐々木さんが言う「自由でいいんだ」って、ようやく自分にとってただ楽しくて何にも考えなくて良い「遊び場」ができたってインタビューとライブで思いました。

だから「全然何も考えないで楽しんじゃおう!」と今は思っています。


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