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脳の意外すぎる働き〜「スマホ脳」ブックレビュー

■はじめに

 私たちの生活にすっかり浸透したスマートフォン。いつでも情報に気軽にアクセスできたり、コミュニケーション、エンターテインメントなど私たちの生活をとても豊かにしてくれる一方、たくさんの危険を秘めているとも言われています。

「自分は「スマホ依存」なんじゃないかな?」と思ったことのある人も多いんじゃないでしょうか?

 私も読書をしていると、まだ10ページも読み進めていないのに、スマホを触りたい欲求にいつも襲われてしまいます💦
(そして結局スマホを開けるw😅 読書慣れしてないだけかもしれませんがww😂)
特に何か連絡がくる予定があるわけでもないのに。

どうしてそう反応してしまうのか?
どうしてそれをしたいと思ってしまうのか?


この本には、
スマホが私たちに与える悪影響と、
なぜそういう現象が起こってしまうのかを、
脳のメカニズムから理由を解き明かしてくれる興味深い1冊です。

■私たちはなぜスマホ依存になるのか

 私たち人間には、新しい情報を欲しがる欲求や、SNSのイイネなど見返りを求める欲求、何か素晴らしいものを見つけることができるかもしれない期待をスマホに持っており、それらがドーパミンを大量に発生させる。
 ドーパミンは快楽を与えるが
その目的・役割は「人間に行動する動機を与える」こと。ドーパミンの働きにより、さらにスマホを触りたがるループに入っていく。

■スマホが私たちに与える悪影響と解決策

 スマホが私たちに与える可能性がある悪影響について、
集中力や記憶力・学習能力の低下や、睡眠障害、周囲への無関心、リアルな社交性の低下、SNS・フェイクニュースが人々の心理や社会に及ぼす悪影響、子供がスマホを使うことの危険性など、数々の実験から得られた根拠をもとに、実に興味深い解説がされています。

 また、悪影響を抑える対策について、睡眠、運動、対面での他者との関わり、スマホの使用の制限など、様々な対応策が紹介されています。

■全て脳がそうさせている

 この本を読んで私は、スマホが私たちに与える影響以上に、そのように作用させている脳のメカニズムについて強い関心を持ちました。
 ここでは、この本から学んだ、私たちの精神を左右させる脳の働きの一部をまとめていきたいと思います。

人間の歴史上、99.9%以上が飢餓、感染症、自然や猛獣などへの驚異と戦い続けてきたが、人間の脳も生存率が最もあがるよう進化し続けてきたという。
しかし、このデジタル社会はまだ数十年
しか経験しておらず、脳がまだ適応できていないという。

 この本で、私が一番驚いたことーーー。

 現代社会で多くの人が感じる、ストレス、恐怖、不安、うつなど、私たちを悩ませる精神症状。
 まさか、私たちの脳が『あえて』そうさせているだなんてーーー

ストレス
命が関わる危機状態に遭遇すると「闘争か逃走」ができるよう脳が身体に指令を出す。
(例えば、ライオンに遭遇して、闘うか逃げるのか)
どちらに転んでも即座に対応できるよう、
心拍数があがることで、身体がすぐに強いエネルギーで動くことができるようにする。
その時、人間の3大欲求である
睡眠、食欲、性欲などは後回しになる。

ストレスは人が生き延びていく上で必要なものだった。
ただ、昔のストレスは、命の危機の頻度は高いが一瞬の出来事。
現在は、命の危機は少ないけど、長時間に渡ってストレスに見舞われる(例えば、住宅ローンなども長期のストレスの原因になりうる)。

ストレスで、不眠、食欲不振、消化不良、性欲減退など身体に出る症状は、
人間の脳にとって当たり前の反応であり、自分の意思に関わらず、身を守る為に必要だと脳が指令を出している。
恐怖
これから正におころうとしている危険を察知し、万が一に備えようとする反応。
不安
驚異になり得るものに対して反応する。
「もしも―」のことであっても、ストレスを作動させることで、危機に対処するためのコンディションが作られる。
うつ・気分の落ち込み
脳が気分を落ち込ませることで行動を抑制し、危険や怪我、感染症などの驚異から距離を置かせる
人間の脳は悪い噂が好き
人類の長い歴史で、人に殺されることは死因の中でとても高いものだった。
昔は、悪い噂は食べ物がどこにあるのかと同じくらい重要な情報だった。
自分自身のことを話すと脳が報酬を得たと判断する。
周りとの協力を強くし、自分の振る舞いを省みることで、行動を改善できるからだ。結果、自身の生存率を上げることに繋がる。
前頭葉は、感情や衝動をコントロールする
■運動前野(ミラーニューロン)は、他者の行動を映し出し、他者の痛みや気持ちを想像することができる


前頭葉は脳の中で一番成長に時間がかかり、子供のうちは未発達で衝動を我慢できないことも多い。
訓練で鍛えることができるが、デジタルライフはその訓練の機会を脅かすと言われている。
運動することで、すべての知的能力が向上し、集中力、記憶力が高まり、ストレスにも強くなる
(体を動かすことでストレスを発動しなくても「闘争か逃走か」のスタンバイができる)

 人間の脳には、私たちの想像を超えた様々な働きが存在する。
 だが、その目的は前述の通り、子孫を反映させ、生存率を高めることであり、長い年月をかけて進化・発達してきたものなのだ。

■感想

 スマホがこの世に現れてからまだ十数年。
私たちの脳がスマホに対応していけてないことがよくわかりました。

 それと同時に、なぜデメリットとなる現象がおこるのか、そのメカニズムをしっかり理解していれば対策もしていける。それらをしっかり解説してくれている本書は、たくさんの人々の力強いバイブルになってくれると思います。


 私たち人間はスマートフォンを名前どおり、「本当に『スマートに(賢く)』使いこなせていけるのか?」

 日々当たり前にスマホを使うようになった私たち人類にとって、真剣に向き合わなければならない大切な課題であり、
スマホが日進月歩のスピードで急激に進化しているのなら、私たち人間もスマホに任せて楽ばかりするのではなく、日々学び、様々な知識と思考力を高めていく努力をしていく必要があるのだと、作者のメッセージから感じ取りました。


よく「政治は国民のレベルを反映してる」なんて言われますが、スマホがこれからどう進化していくかも、私たち人間次第なところがあり、全く関連のない「政治」と「スマホ」のあり方に共通点があるように感じました。

この社会を構成する要素には、私たち「1人ひとりの知識や心」もきっと大きく関係していて、今ある社会の課題を解決していく為に、私たちは脳を進化させていけるといいなぁと思いました。

📘📘📘

🌿また、スマホとは関係ない話なのですが、
私生活でダイエット目的の運動習慣を取り入れるようになり、やりはじめてから体や心が元気になるのを感じたのですが、そこから、

「人間は体を動かすようにできてるんじゃないか?」とか、
「なぜ人は食べすぎてしまうのか?」
「なぜ人はもっともっと!と欲深くなるのか?」


など考えていたのですが、
その答えも本書から学ぶことができました。

「スマホ脳」は、一読の価値あり!
たくさんの方に読まれるべき1冊だと思います😊

余談:
本書では、ストレスで食欲がなくなる例がありましたが、私自身は子育てストレスでおやつなど食べたくなり過食傾向でした。
これ、なんでだろう??って考えてみました。

・・・考えた結果、恐らく脳が「逃走」したのかなと。食べるという行動は、安全な環境を確保していればこそ出来ることであり、食べたい!という衝動の指令を出すことで、逃走しなさいと(笑)しかも糖質たっぷりのお菓子を食べることでドーパミンもたくさん出るので、日々ストレスに晒されることでお菓子を食べ続ける行動を続けてしまい、太ったのだと思われます🤣🤣

同じストレスでも、発表会・職場のプレゼンなど、極度の緊張場面にある時は「逃走」は難しく、「闘争」を選ぶので、食事や消化は後回しになって、食欲がわかなかったり、人によっては、吐き気・腹痛がするのだと思います。

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