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心理学の学び

心理学を学びたいと思った理由

 私は、仕事で色々な相談者と出会います。基幹相談支援センターという相談機関に所属していますが、相談者の中には相談を希望してくる方ばかりではありません。
 例えば、過去の恋愛トラウマがきっかけで家に引きこもりがちになり、社会との関わりを閉ざしてしまっている娘のことを心配して、高齢の母が電話してくるケース、夫が他界後、食事が摂れなくなり、衰弱状態で何度か入退院を繰り返している高齢の女性を心配して友人が電話してくるケース。どちらも「障がい」の診断はない方。もしかしたら精神疾患の疑いがあるかもしれませんが、病院にもつながっていない方です。基幹相談支援センターの相談対象は「障がいのある人又は疑いのある人」とはなっているものの、名称に「障がい者」と記載されているため、診断されてない、又は障がい受容ができていない方にとっては、「相談すること」はとてもハードルが高いものになります。

 ※この名称が相談の敷居を高くしてしまっている気がしており、以前から課題と感じています。「〇〇相談室」「〇〇センター」など愛称を作り、なじみのある名称になったらいいのに…。自立支援協議会の地域課題として提案したこともあります。(この話は長くなるので今日はおいておきます笑)

 かつ、後者は65歳未満で高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターの管轄からも外れてしまう。要するに制度の狭間にいる方たちなのです。訪問して相談内容を聞き、支援方針を立てて支援していく、このプロセスがスムーズにいかない。信頼関係を築くどころか介入することすら難しいこともあります。例え、表面的にやりとりできていても、本当の気持ちを伝えてくれているのかな?心を開いてくれているのかな?と感じることもあります。そんな方たちに出会う中で、お話することで少しでも心が楽になったり、この人なら話してみてもいいかな、と思ってもらうことが大切だと感じています。

 仕事以外の場面においても、コロナ渦ステイホームの今、生活スタイルががらりと変わり、ストレスがたまり、うつ状態になる方も増えているという状況。今まで普通の暮らしをしていても、知らず知らずのうちに友人を誘いにくくなったり、リモートワークが増える中で、職場での何気ない会話がなくなることで、なんとなく寂しくなったり心理的にしんどくなってしまう・・という話をよく聞くようになりました。
うつ人口、人間関係に悩む人の増加、震災の影響などを受けてメンタルケアの社会的要請はどんどん高まっています。

 心の病、他人事ではありません!!

 そんな仕事や日常生活の背景があり…

・カウンセリングスキルをあげ、相談者との信頼関係構築に役立てたい。

・子育て、家族、友人などの人間関係にも役立てたい。

・新しい生活様式に変わった今、心がしんどい人に少しでも元気になってもらいたい。

 という目的で育休中の今、改めて心理学を学ぶことにしました。最初は、心理職として初の国家資格である公認心理師現任者講習をオンラインで受講後、受験勉強をはじめたのですが、分野によってはとても難しく、資格をとるための勉強になってしまっていることがきつくなってしまったので(泣)、「楽しく学ぶこと」を優先し、一端受験勉強は横におき、「メンタル心理カウンセラー」(民間資格)の勉強開始。

メンタル心理カウンセラーの勉強

 最初は、心理学基礎概論から。現代心理学の3つの学派(認知心理学・人間性心理学・新行動主義心理学)、フロイトの局所論(意識・前意識・無意識)・ユングのタイプ論、ロジャーズの来談者中心療法(受容・共感的理解・自己一致)、森田正馬の森田療法、吉本伊信の内観療法、マズローの欲求階層説(生理的欲求・安全の欲求・愛情所属の欲求・自尊欲求・自己実現欲求)、行動の背景にある動機の理論(親和動機・成功回避動機・達成動機)、記憶のメカニズム、発達課題(乳幼児期・幼児期・児童機・学童期・青少年期・成人期・壮年期・老年期)などについて学びました。
 後半のカウンセリング理論では、カウンセリングの初期から終期までの流れ、カウンセラーが守るべき倫理(専門家としての能力向上の責任・公私混同の禁止・守秘義務の厳守)、必要な資質(柔軟な思考・人間関係をみつめなおす力・客観的な視点で物事を把握する力・他人は変えられないという考え方をもつ)、クライエントの気持ちの理解、カタルシス効果(精神の浄化作用)、カウンセリングの運営(予約・インテーク・継続又はリファー・終結)、インフォームドコンセント、開業方法、等について。

 この中で特に重要だと感じたことを記録しておきます。

・カウンセラーとは、人の心の苦しみに耳を傾け、共に問題解決に向けて歩んでいく存在。

・カウンセリングはカウンセラーの「人間性」「性格」「特性」がクライエントの回復過程に大きな影響を与える。

・カウンセラーの人生経験は価値観や常識となりその視点でクライエントの状態を見てしまうと、クライエントの状態を歪んで捉えてしまう。 

・理想のカウンセラーになるには、①自己理解を深め、自分の問題を解決する。②ストレス耐性を高める。③学び続ける貪欲さを持つ、ことが大切。

・自己理解のひとつとしてストレスチェックを定期的にすることが必要。ストレスセルフマネージメント法の実施。

・ストレスは恐ろしいもの。ストレスを放置しておくと重篤な症状(うつ状態や身体症状)となり私たちを苦しめる可能性がある。

・どんなに忙しくても自分の心の癒しを日常生活に落とし込み、自分自身をメンテナンスしていかなければならない。良質な睡眠はとても重要。

・人間の欲求を考える時は、欲求がどこの階層にあり、十分に満足して次の過程を目指すことができているかという視点が大切。

・子どもの時期は、発達課題を達成しながら社会生活に溶け込む大切な時期。発達課題がクリアできていないと問題行動が表れるので安定した居場所を見つけるための環境作りが重要。

・大人の発達段階は「これから自分らしくどう生きるか」が問われる時期。「どう生きたいか」と向き合うことが大切。

・カウンセラーの倫理を守ることはカウンセラーとしての品位を守ることにもつながる

・カウンセリングでは、他人ではなく自分の視点を変えられる柔軟な視点が大切。

・クライエントが勇気を出して相談に来たことに対して敬意を払う気持ちを忘れないようにし、真剣に話を聴く。

・心の深い内容を扱い、クライエントの自己成長を促す作業

・来談者中心療法は、来談した勇気を認め、共感的・受容的にクライエントを受け入れる、信頼関係を構築しやすい心理療法。一方的にアドバイスするのではなくクライエント自らが問題解決できるように支える姿勢が重要。

・無条件の肯定的配慮(受容)とは、カウンセラーの個人的見解を棚の上において、クライエントの話を聴くこと

・共感的理解とは、クライエントの立場に立って理解していくこと。親身になって考えること。①沈黙、②相槌、③繰り返し、④ドア・オープナーの言葉かけ、⑤要約、⑥気持ちを汲む、の6つのテクニックがある。

・自己一致とは、カウンセラーが自分自身についてきちんと理解できていること。自分の心と身体(行動)が一致している状態を保っておくよう心掛ける。

 どの内容も重要なものばかり。どんどんおもしろくなり、次のステップとして色々な心理療法が学べる上級心理カウンセラーの資格もとりました。交流分析、論理療法、認知療法、認知行動療法、芸術療法、内観療法、ソリューションフォーカストアプローチなど数多くの心理的アプローチ。これに関しては、座学だけではなくどこかで実践する機会があったらいいなぁと感じました。

座談会や傾聴練習会への参加

 また、資格取得のための学習や試験だけでなく、同じ受講者同士の座談会や傾聴練習会にも参加してみました。平日の受講にも関わらず、多くの参加者でびっくり。受講者の皆さんの学びのきっかけはさまざまでした。

「営業職で上司と合わずに精神的に不安定になった経験を活かして人の心を救いたいと思った」

「ママ友から子どもの不登校について相談されることがあり、何か力になりたいと思った」

「父が脳梗塞で倒れ要介護状態で退院、障がいを負った父とどのように関わってよいのか分からず、心理学を学び始めた」

「子どもが不登校で今までは相談する側(クライアント)だったので、地域で困っている人の助けになりたい」 

「介護職で後輩の育成に携わる機会が増えたので、コミュニケーションの勉強をしたかった」 など。

 仕事をしながら教養のために学んでいる人、今後この資格を生かして仕事をしたいと考えている人、副業で何かやってみたいと思っている人、すでにSNSでのチャット相談をボランティアで実施している人など。皆さんのお話を聞くだけでも本当におもしろかったです。ここで出会った方と今度カウンセリングの練習会を実施することになり、今から楽しみです。ここでの出会いもこれからの自分にきっと何か意味があるんだろうな。

心理カウンセラーとソーシャルワーカーの違い

 心理学を学んだ中で私がすでに実践しているもの、これから実践できそうなものがいっぱいありました。その中で、心理カウンセラーとソーシャルワーカーの違いについて考えてみました。両者とも困りごとを抱えている人に伴走し、解決を目指していくという点では共通していますが、

・心理カウンセラーは「心」を中心に支援する

ソーシャルワーカーはその人の背景にある「生活」を踏まえて、様々な制度やサービス、社会資源を活用して「環境を整備」する

 という感じですかね?

 どちらにしてもすべて「人」を支える仕事で、人には「心」があるということ。私は心理カウンセラーではないですが、ソーシャルワーカーとして心理学を改めて学ぶことで、相談者との信頼関係の構築に役立て、まずこの人に話してみよう、話してみてもいいかなと思ってもらえる人になる、そして、相談者の心を元気にし、問題解決に向けて一緒に伴走していくことを目指したいと思います。

 仕事でも人間関係でもためになる心理学の学び。もし興味のある方はぜひ見てみてください。働きながら、子育てをしながらでもマイペースに学べるのでお勧めです。心理学の資格がこんなに種類があることにも驚きました。

資格のキャリカレ
https://www.c-c-j.com/course/psychology/mental/about.html

 これからも私のペースで、楽しく、学び続けたいです。



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