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冷蔵庫の残り物たちを救う、とっておきレシピ3つ

こんにちは!自炊料理家の山口祐加です。先日キリンさんと消費者庁さんがコラボレーションした「⾝近なことから考える食品ロス」の対談に出演しました。人生初めての霞ヶ関、人生初めての長官との対談でしたが、非常に楽しくまた勉強になる時間でした。詳しくは記事をご覧くださいね。

対談の中で印象に残っているのは「使う責任」という言葉です。SDGsの12番目に「つくる責任、つかう責任」があります。キリンさんを始め、製造業や小売業はここ数年でつくる責任を追及されていて、環境資源への配慮や製造過程に苦しい思いをしている人はいないかなどより健全なビジネスの仕組みのあり方を考えていると思います。

けれど、使う側つまり消費者側の「つかう責任」に関してはまだまだアイデアや発信が少ない状況にあるのではないでしょうか。私も個人的に取り組んできたことはたくさんありますが、つかう責任を発信するのはなんだか少し説教くさいような感じがして避けていました。でも使いたい人がいるから、作る人がいるわけで、持っている役割は半分こなはずなんですよね。

使う側も持続可能な消費を考えて、実践してみる。ちょっと面倒だけれど、ちゃんと分別して捨てる。リサイクルに出せるものは出す。そんなふうに小さなことから「つかう責任」を果たすことは始められます。責任を全うしているうちに「環境に配慮した仕組みがある会社を応援したい」ということになってくれば、企業もそちらの方向に自然と向いていくはず。作る側と使う側がお互いに「こうやって作ってほしい、こうやって使ってほしい」と話しながら、気持ちいい消費のあり方が作れるといいですよね。

さて、話を冒頭に戻します。食品ロスがテーマだったので、私が冷蔵庫の残り物たちを一斉に食べてしまいたい時によく作る「チヂミ・カレー・みそ汁」をご紹介してみます。と、言っても細かいレシピはありません。書いてあるヒントに従って、きっとおいしくできるはずと信じて作ってみてください。一期一会の料理には、名もなきおいしさがあります。

残りがちは葉物野菜をチヂミでおいしく食べ切ろう

小松菜、ほうれん草、水菜などの葉物野菜って、1/2束料理に使ってもう1/2束がずっと冷蔵庫にある…なんてことがよくある野菜ですよね。しばらく経つとしなしなしてくるし、なんとか今日食べ切らないと!というときに作るのがチヂミです。

衣の割合さえ覚えておけば、あとは野菜を刻んで入れて焼けばいいので簡単です。私がよく作るチヂミの配合は小麦粉:片栗粉=3:2で、大体60gと40gくらいをベースに卵を一個使ってとろとろとするまで水で伸ばします。水を少なめに加減すると硬めのしっかりしたチヂミになり、とろとろするまで水を入れて作ると野菜の食感がしっかりと感じられるタイプのチヂミになります。どっちでもおいしいのでお好みでどうぞ。

今回は1束買って使えていなかった水菜と甘さを加えるために玉ねぎ1/4個、うまみ食材として桜エビを加えました。この2つの要素は結構重要で、葉物以外に玉ねぎやにんじんが入ると食感にバラエティーがでておいしく感じます。また、うまみ食材は塩昆布、ツナ、豚バラ、シーフードミックスなどがおすすめです。

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衣を合わせたらそこへ3cm幅に切った野菜を入れ、全体にタレが絡んだら焼きます。多めの油で両面3〜4分中火で焼きます。この時、重い蓋などがあるとしっかりと焼き目がつくので、洗い物が億劫じゃない人はやってみてください。仕上げにつけるタレは醤油、酢、はちみつ、豆板醤、お好みですりごまを入れて作ります。

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パリパリに焼けたチヂミとビールは最高の相性!野菜、タンパク質、炭水化物全て摂れるので夜ご飯をこれだけで終わりにすることも多々あります。残り物を食べる時ってどうしても「食べないと」という気持ちになってしまうのですが、チヂミに関しては「食べたい!」という胃袋スイッチが入るのでよく作ります。多めに作って翌日あたためて食べてもおいしいです。

冷蔵庫の残り物はカレーと汁でどうにかなる

自炊をしていると使い切れない野菜や調味料が必ず出てしまいますよね。食べきれないおかずや、しなびた野菜という手強いものたちも冷蔵庫の中で今日もいまか今かと食べられる日を待っている。捨てるのは食べ物がもったいないですし、せっかく作ったのだから最後までおいしく食べきりたいところです。

そういうときに私が決まってつくるのは、みそ汁かカレーです。みそもカレールーもあらゆる食材を受け入れ、包み込んでくれる魔法の料理。具材を煮込んで調味料を入れる料理、という意味では同じ料理とも言えます。みそ汁は和の食材なら合わないものはないですし、洋風の野菜でもおいしくできます。

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例えば、ピーマン、ブロッコリー、トマト、パセリ、コーン、アスパラガス、マッシュルームなどは定番でおいしくできます。ちょっと作るのには勇気がいるかもしれませんが、みそがなんでもおいしくしてくれるのでえいやっ!と作ってみることをおすすめします。だしは顆粒だしでも、鰹節でも、なんでもOKですよ。

さらに失敗なくおいしく作るなら、豚肉を入れて豚汁にするのがおすすめです。豚の旨味でだしがしっかりとれるので、だし入らずなのもいいところ。たんぱく質が入ることで栄養価も高く、お椀ひとつとご飯で食卓がととのいます。飲んだ後のシメにもぴったり。家飲みの最後に豚汁を出すとめちゃくちゃ喜ばれます。

他にはきんぴらごぼうや小松菜と油揚げの煮浸しなど、余ったおかずをみそ汁に入れることもあります。冷凍庫に入れていた結構前の鶏肉なんかもみそ汁に冷凍したまま入れて煮てしまえばおいしく食べられます。みそ汁は自炊のお守りのような存在です。

みそ汁より懐の深いカレー

冷蔵庫で余っている食材たちをなんでも包み込んでくれるのはカレーです。中途半端な野菜、賞味期限を過ぎてしまった調味料、あとちょっとだけど味に飽きたおかず……。そういった行き場のない食べ物たちをすべて受け止めてカレーの香りでまとめれば不思議なほどちゃんとしたカレーになります。私のカレーは冷蔵庫の残り物をスッキリさせたいときに作る「一期一会カレー」ばかり。

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例えば今回作ったはひき肉とトマトのカレー。入れたものは以下になります。
・賞味期限切れのマヨネーズ
・おつとめ品のセロリ
・買ってからしばらく経った黄緑色のパセリ
・使い切りたいトマトピューレ、しょうが
・たくさん作ってしまったにんにくみそ
・開けてから3週間経った日本酒
・玉ねぎ
・豚ひき肉
・カレー粉

新しく買い足したものは豚ひき肉のみで、あとは冷蔵庫にあったものです。
作り方はこんな感じ。まずは玉ねぎとしょうがをみじん切りにし、油の代わりにマヨネーズで炒めます。あとは適当に小さく切った野菜と肉を炒めて、カレー粉を馴染ませたら、トマトピューレ、日本酒、水で伸ばしてしばらく煮込みます。最後にナンプラーや塩など味を見ながら調えました。

仕上げにつけたのは買ってからしばらく経ったなすを素揚げにしたものと、皮のまま料理したにんじんのサラダです。香味野菜と豚肉の旨味がしっかりと出ていて、トマトピューレやマヨネーズの酸味も夏らしくおいしいカレーになりました。こういうカレーはビールにも合います。揚げなすとルーをすくって口に運び、後で冷えたビールで流し込むとたまらない爽快感。

過去にカレーに入れたのは、煮物の煮汁、少し残ったみそ汁、たくさんもらった梅干し、食べ切りたい鶏そぼろ、しなしなのほうれん草など、生活臭がぷんぷんする文字通り「冷蔵庫の残り物たち」です。でもカレーの味はパンチが強いので、冷蔵庫の残りものをごまかしておいしくしてくれます。必要なのは入れる勇気だけです。

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カレーに必ず入れるのは玉ねぎ、にんにく、しょうが、ひき肉、トマト類(生のトマトやトマト缶など)で、これさえ入れておけばおいしくできます。野菜はだいたい何を入れてもおいしくできますが、レタスやもやしなど水分の多い野菜は水っぽい仕上がりになるのと、日持ちしないためおすすめしません。

味付けはひき肉や香味野菜を入れるのであればカレー粉と塩だけでも大丈夫ですが、たんぱく質などの旨味食材がないときは、牛や鶏のエキスが入っているカレールーを使うのがおすすめです。野菜を細かく切って料理すると火の通りも早いのですぐできて便利です。

今日からできる食品ロス削減のアイデア

最後に私が日頃から実践しているおいしく食べ切るアイデアをご紹介します。

・野菜の皮を剥かずに使う。じゃがいも以外ほとんどの野菜は皮を剥きませんが、味に問題ありません。しかも皮には栄養たっぷりなので、剥く手間も省けて、栄養も取れていいことだらけ!

・きのこの石づきやナスのヘタなどはギリギリのところで切って食べられるところは全部食べる

・保存方法を工夫する。ニラやもやしやひたひたの水につけて3日に一度水を入れ替えるとよく持ちます。葉物はキッチンペーパーを濡らしたものを巻き付けておくと乾燥防止になってシャキシャキのまま。やるかやらないかで倍以上持ちが違います

・量が多い野菜は切ってから塩で揉むと長持ち。すぐ料理にも展開できます

・味に飽きたおかずはリメイクできないか検索してみる。庶民の工夫が集合知化したインターネットを活用するとき!

・そして一番大事だと思っているのは買いすぎないこと。お腹が空いている時に買い物をすると余計に買ってしまうので、空腹時の買い物をできれば避ける。そして値引き商品と量がたっぷりあるお買い得商品は「お得な感じがして食べたいかわからないけど買いがち」なのでよく考えてから買う

つかう責任と聞くと少し重たく感じてしまいますが、これから先も心地よく買い物をしておいしいものを食べるためには避けて通れない道です。まずは一つだけでも、できそうなことから一緒にやってみましょう!私も日々の工夫をまたnoteでシェアしたいと思います。

みなさんのサポートが励みになります。 「おいしい」の入り口を開拓すべく、精進します!