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さようならSUPER CHICO !

2018年頃にインスタグラムで出会ったSUPER CHICO 。
ダウン症のブラジルの男の子。
SUPER CHICO は彼のニックネームです。
その子をフォローしたのは甥っ子の赤ちゃんの頃の顔に似ていたから。

シーコの愛くるしさと、時に見せる達観した眼差しと、
家族を愛し、家族に愛される姿に魅せられて
シーコの成長を、地球の裏側で見守るのが私の楽しみになっていました。

その彼が、6歳の少年シーコが、
2月6日、突然、帰らぬ人となってしまいました。

フランシスコ・ゲデス・ボンビーニ。
妊娠30週で、腎機能障害・心臓病・甲状腺機能低下症・肺異形成症に問題を抱えて生まれ、3歳で7回の手術を受けました。
ブラジルにワクチンが入る前にCovid -19に2回感染、
それを克服したことで時の人となり、
ブラジルでは「世界で最も強い少年」と呼ばれ、テレビニュースにもなり、SNS上で席巻し現象となりました。

2023年2月6日、家族が寝るとき彼は元気でした。
午前2時頃、在宅看護師がバイタルサインがないことに気づき
母親は救命処置を施しながら病院へ向かい、
病院へ到着して20分後、心肺停止となりました。

シーコの母ダニエラさんは、
「私たちは皆、この人生で使命を持っていると確信しています。
シーコの使命は、人びとの心に愛の種を植えることでした」と
インスタグラム上で発信されていました。

亡くなったことを知り、
ブラジルのニュースや動画を検索し翻訳機能を使って読みました。
ミサ(葬儀)はインスタグラムで配信されていました。
シーコの亡骸に寄り添う母ダニエラの写真までありました。

翻訳を駆使して関係している方たちのコメントを読みましたが
直訳すぎて真意が読みにくい部分もたくさんある中、
シーコの叔父アダムの投稿が心に食い込みました。

「人生は短くても生きるのだということ」

少年シーコは6歳でしたが、病気のため2歳か3歳の姿であり、
言葉を話すことはできず、自分で立ち上がることはできませんでした。

この1年ほどの成長は著しく、体つきも乳児から幼児になり、
手を叩いて拍手したり、キスも日常的にできるようになり、
2人の姉とはしゃぐ動画も度々投稿され、
その可愛いさに魅せられました。

笑ったり、怒ったり、泣いたり、感情豊かで
「僕はなんでもお見通しだよ」と言っているような表情で
シーコは私の心にも愛の種を植えてくれました。

シーコが亡くなった2/6から10日以上経ちました。
シーコのダニエラによる投稿は今でも更新されています。

家族の悲しみははかり知れないことは当然のことで、
日本にいる私の日常も思い出すだけで気持ちが遠くなります。

腎臓機能障害で透析をやっていることは以前からインスタグラム上で知ることができていたので、この少年は何歳まで生きられるのだろうと漠然と思っていましたが、死というものはいつだって突然やってくるのですね。

可愛いシーコ。
私の心が荒みかけていたり、何かに苛立っているとき、
インスタグラムを開いてこの少年の愛くるしい姿が飛び込んでくると、
荒みかけた心や苛立ちは一瞬で消えました。

この少年が病気を抱えて頑張っているから共感していたわけはなく
ただただ、シーコを取り巻く周囲の愛の深さに
私は助けられていました。

シーコは数ある病気により
身体的苦痛を想像しきれないほど感じていたでしょう。
でも、彼は言葉を話すことはできない。
何が苦しいのかもきっとわからない。
与えられた体の苦痛と
与えられた家族の愛を純粋無垢のまま
毎日を生きていただけなんだろうと想像します。

病気が伴うことで、「闘っている」「頑張っている」と考えるけれど、
おそらく彼は、闘ってなどいなかったのではないか
頑張るということもおそらく知らないでしょう。
彼はただ、その体と一緒に毎日を家族と生きていただけなんだろうと
想像するのです。

彼の毎日は、ママの明るく大きな声で「ボンジーア シーコ!」で始まる。
大きなパパ、元気なママ、美しく可愛い二人の姉に
毎日抱きしめられていました。

看護師をしていていると毎日感じています。
「人生を長く生きることは苦しいことだ」
「人生は短くても生きるもの」でもあるのですね。

シーコからもらった愛の種を
生きているうちに芽が出るように、私は私の生活をする。

ありがとうSUPER CHICO 。
さようならSUPER CHICO 。
いつかあなたを抱きしめる日が来ることを心から願います。


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