That Elf said "Marry me !!"
32歳の誕生日に、駅の改札口でエルフの待ち伏せにあい求婚された。
エルフが言うことには、自分はエルフの国の王族で、成人年齢の1000歳の誕生日になったら伴侶と見初めた相手に求婚しにいく習わしらしい。
エルフは端整な顔の美青年で、夜の海に融ける月の光のように美しい白金の長髪だった。
が、朝のミーティングに遅れそうな私はイライラしており、たちの悪いYouTuberか何かだろうと考え「ごめんなさい。長髪は嫌いなんです!」とうったえ通りすぎようとした。
だがエルフがしつこくまとわりついて来るのでついに防犯ベルを鳴らした。駆けつけた駅員さんにエルフは連れていかれた。
結局ミーティングには遅刻した。
翌日、丸刈りにしたエルフがまた改札口にいた。
憐れんだ駅員さんが千円札をくれたので散髪に行ったらしい。
私は少し申し訳ない気持ちになり、今度は防犯ベルを鳴らさなかった。
それが私と駄エルフの馴れ初めだ。
【続く】
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