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小学校クレーム近隣住民 ◆ 水曜日の湯葉[11/8-14]

11月8日 水

「小学校にクレームをいれる近隣住民」と聞いたらどう思うだろう。95%の方は「少子化の原因」「不寛容な日本社会の象徴」「自分にも子供時代があったという想像力に欠けた老害」といったフレーズを想像されると思う。

それには僕もおおむね同意する。だが、それを踏まえたうえであえて言わせてほしい。僕はこのところ近所の小学生にほとほと困っている。

僕の家から最寄りのコンビニに行く途中に小学校がひとつあるため、15時くらいに「よ〜しおやつでも買いに行くか」と出かけると、よく下校中の小学生にでくわす。たいていは5〜6人の塊を形成して歩いている。学年や性別がまとまっているので、おそらく集団下校ではなく仲良し集団だろう。

彼らとすれ違うと、そのうち1人(たいてい1人である)が僕に「こんにちはー」と声をかけてくる。僕が反射的に「アッこれは自分に挨拶をしているのか、最近の小学生は見知らぬ人に挨拶をするように教育されているのか、じゃこちらもちゃんと返すしかない、でも背後にいる別の誰かに挨拶していたら恥ずかしいので、どうとも取れる反応をしよう」と曖昧な会釈をする。

すると通り過ぎた直後に、挨拶した子供に対して他の子供が「あれは声をかけていい人なの?」と言い、いますれ違った大人の品評会をはじめるのである。3メートルくらいの距離で、小学生特有のよく通る声で。たいていはこちらの外見的特徴に言及しながら。

子供が元気なのは良い。「今日誰々の家いこうぜー」とか言ってるのを見ると僕も気分が明るくなる。ただ、「通りすがりの人の外見を品評するな」というのは「町の人に挨拶をしよう」と同じように教育してほしいと思う。

さらに悪ノリする小学生までいる。先日などは「車のエンジンがかからねえな〜」と思っていた僕に対し、通りすがりの小学生が「こんにちは!私は○○小学校何年何組の○○と申します!」と言い出し、「お前、知らない人に個人情報言っちゃダメだろ〜」「えー、でも悪い人じゃなさそうだよ?」と笑い出し、そのまま歩き去って行ったのである。君たちが仲良しなのはおおいに結構だが、見知らぬ人を仲間内のじゃれあいの素材にするのをやめなさい。将来きっと後悔するぞ。


11月9日 木

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