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梅雨の空を見上げる巫女

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小束弓月のオリジナル小説です。とある時代の若き巫女と、彼女を慕う少女の物語です。各章・朗読共に無料でお楽しみいただけます。 Twitter:https://twitter.com…
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2019年5月の記事一覧

梅雨の空を見上げる巫女・一の章(本文)

梅雨の空を見上げる巫女・一の章(本文)

一の章 梅雨の日の記憶

「いらない子...。」
「気味の悪い...。」
「いなくなればいいのに...。」 

その少女は俯いていた。幼くして両親に先立たれ、縁者も無く、独りぼろ屋に暮らす彼女に手を差し伸べる者はいなかった。 

 灰色の雲が低く立ち込めるある日、彼女はその日の糧を手に入れるため、鬱蒼とした山に入った。途中ですれ違う村人達は彼女を見ても、ただ迷惑そうな視線を向けるだけだった。彼女

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