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LINEを交換していない相手と、その事実を確認した。

ただ、それだけの話だ。

書くまでもないかもしれないと思ったのを、友人が「きょうだいとLINE交換してないの? 何で?」と大層驚いていたからこういう話もおもしろいのかなと思って書いている。

ここまでを下書きに書いて、気づけば1ヶ月が経とうとしている。勿論LINEは交換していない。何でLINE交換していなかったんだっけ。必要性も感じないけど。

この、LINEを交換していない相手というのは弟だ。母親は同じだけど、父親の違う弟。私は一応弟と表記するけど、世間一般的なきょうだいへの情を抱いたことはない。

親から明らかに甘やかされていたから、私は弟のことが嫌いだった。死んでくれとさえ思っていた時期もあった。今はどうでもいいと思っている。それから、いざって時に親の面倒を押しつけて、自分は何もせずにいるつもりでいる。きょうだいって便利だ、と最近思うようになった。邪魔で邪魔で仕方ないと思っていた頃と比べると、大きな進歩である。

嫌われているのにそれに気づいているのかいないのか、数年前の弟は私とコミュニケーションを取りたがった。嫌われているのになおコミュニケーションを取りたがるなんて正気ではないと心から思っていた。まとわりついてくるその手を払いのけるイメージで、私は弟を拒絶し続けた。関わりたくなかったから。

中学生の弟から問題がわからないとかかってきた電話を5秒で切ったこともある。極めつけはLINEを交換しなかったことだと思う。だって、用がないし、関わりたくなかったから。

LINEを交換しないまま数年が経ち、LINEを交換していないから何のやり取りもなく、ほとんど会うこともなく、その間に私は心を病んで実家に戻ってきた。

弟が帰省してきた時に会い、親と3人で出かけた。その間の会話は、ぎこちないけれど、あった。振り払って、追ってこなくなるまで言葉で痛めつけないといけなかったあの頃よりずっと、距離が取れていて、その遠さが心地よかった。

出先で別れて行動して、待ち合わせした時にさらっと弟が言った。

「LINE、交換してないもんな」

「そうね」

そのやり取りだけで、LINEの話は終わった。

不干渉を私は望んでいたのだ。何度もそう言ってきたのになかなか叶えられなかった。やっと今かよ、という思いはある。それでも思うのだ。自分の望む距離感を得られるまで、望まないものを拒絶し続けてよかった、と。

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