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拝啓 かくことが好きだった私へ


昔から物語を創って文字に起こすことが好きだった。
小学生の頃国語の授業で「この物語の続きは自分で考えなさい」という課題があった。作文用紙2.3枚ほどの課題だったが、それじゃ満足のいくものがつくれないと中途半端なところで無理やり終わらせた記憶がある。

物語を考えるのはすごく楽しくて、許されるならずっと書いていたかった。

それから私は、色んな物語を自分で考えて文字に起こした。
内容こそ覚えていないけれど、少女漫画が好きだったこともあって恋愛系の物語が多かったと思う。ファンシーショップで買ってもらった可愛いメモ帳へ思い浮かんだことを書き殴る毎日が続いた。
私にとってそれは誰にも邪魔されない魔法の時間であり、ストレス発散できる時間でもあった。



”この思いが届くまで”


初めてノートを買って、そのノートのタイトルにそう記したのを覚えてる。
物語のタイトルなのかそれとも私自身の思いを指していたのか、今となっては分からないけれど何かを伝えたいという気持ちはずっと変わっていないんだなと思う。
ある時夢中になって書いていた放課後、親が部屋に入ってきて「見せなさい」と言った。特別厳しい親ではなかったけど、一人っ子だったこともあって全てを把握されていた記憶がある。

「小説(漫画)を書き写してるんだ!」と答えた記憶があるが、苦しすぎる嘘だったと今となっては思う。笑
それから私は、そのノートを肌身離さず持ち歩くようになった。
しかし今度は学校で友達に見られたのだ。
無断で机の中を詮索する友達が、なにも考えずにそのノートを開いたのだった。
その時なにを言われたか、どんな反応だったかは覚えていないがとてつもなく恥ずかしく、とても嫌な気持ちだったことを覚えている。

それから私は、書くことから遠ざかっていった。


数年前、あるアイドルグループにハマったことがきっかけでまた物語をかくようになった。「○○で妄想」というようなハッシュタグをつけて投稿していた。寝る間も惜しんでかいて投稿していると、フォロワーもどんどん増えて物語のリクエストや感想なども頂けるようになった。最初は楽しみながら取り組んでいたのに、今度はそれがプレッシャーとなり義務と感じるようになってしまった。
そして今度は批判コメントで傷を負ったのだった。

また、私はかくことを辞めた。


だけどそう簡単に一度ついた火は消せない。
もう一度かきたい。
浮かんだことを文章にしたい。
ただの自己満でいい。
誰に見られても、見れなくても、表に出してやりたい。

リハビリがてら、日常を小説風にかくことから始めようと思う。
それだけでも楽しくてしょうがないから。
またいつか物語を創って、文字に起こせますように。


「拝啓 小学生の、かくことが好きな私へ
何年の時を経て、また、かくことに向き合おうとしています。
切っても切れないほど楽しいことを見つけてくれてどうもありがとう。」



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